大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

観光バブルが崩壊したら

2018年12月31日 | 日記

 今日は大みそか。本を探しに丸善によった後、錦小路(にしきこうじ:惣菜店が集まっているところ)に行った。朝のラッシュ時の駅ホームのような混みようだった。

 錦小路にはじめて行ったのは30年ぐらい前だが、人どおりは少ないものの卵焼き専門店など京都料理にかかわる惣菜店がずらっと並んでいて感心したことをを覚えている。

 いまは観光ブームの影響でイートインのお店が増えて随分様子が変わった。

 錦小路の変容は少し寂しくもあるが、これも時代の流れかと思う。

 ところで心配なのは、いまの観光ブームが一時的なバブルでなくこの先も続くかどうか

 京都新聞によれば、京都市は2020年までに4万室の宿泊施設が必要だと試算していたが、今年すでにその水準を突破して、こんご2年間で5万室に達する見込みだという。実際に、京都ではいたるところでホテルの建設が進んでいる。

 これは、これからも京都(日本)を訪れる方々が増え続けることを前提としているが大丈夫なのか?

 今から7,8年前、1ドル80円を超す円高で京都は海外からの観光客が激減。当時は、今のような国内の京都ブームもおこっておらず、京都のホテルや旅館は悲鳴をあげていた(秋春のシーズン除く)。

 その時から京都自体はほとんど何も変わっていない。

 かわったのは京都ではなく、外の経済環境のほうである。周りの国は豊かになり、それに円安が加わって日本への訪問が増えた。

 しかし現在、世界的な好景気(バブル)の終焉がささやかれるようになっている。

 観光バブルは何も京都(日本)だけでなく世界中でおこっている問題だが、バブルのあとに何が残り、何が消えていくのか気になるところである。


トランプ大統領、壁建設の予算が認められなければ、メキシコとの国境を閉鎖するとツイート

2018年12月29日 | 日記

  2018年12月28日(金)、トランプ大統領は国境の壁を建設する前金として50億ドル(5500億円:1ドル=110円)の予算が認められなければ、メキシコとの国境を閉鎖するとツイートした。

 国境閉鎖が、人の往来に限定したものか、物品も含むものか詳細は明らかではない。

  ただトランプ大統領は、NAFTA(北米自由貿易協定)のもとでアメリカはメキシコとの間で年750億ドル(8兆円)の赤字を生み出してきたので、国境閉鎖は利益を生み出すともツイートしており、物品を含むニュアンスを持たせている。

 壁の建設費用をめぐってトランプ大統領と民主党の間の対立は深まっており、アメリカでは政府閉鎖が長期化するとの予想もあらわれている。

 来年1月3日に民主党は過半数となる下院で、壁の予算を含まない暫定予算案を採択・可決することをめざしていると報じられているが、トランプ大統領がその法案を認めるとは思えない。

 政府閉鎖(暫定予算をめぐる攻防)がどのように収束、決着するのか引き続き注意してみていきたい。


トランプ大統領の中銀介入を与党上院議員が批判

2018年12月26日 | 日記

  アメリカ発の世界同時株安がおこっている。

 こうしたなか、 トランプ大統領は「中銀がすべての問題だ」と述べ、株価安定のため利上げを中止、延期すべきと中銀の金融政策に堂々と介入しようとしている。

 これに対し、来年1月に任期がきれるアリゾナ州のフレーク上院議員(共和党)は、ジンバブエの50億ドル紙幣をアップして、「私は国のトップが中央銀行を政治的に利用する国に生きている。FRB(連邦準備制度理事会)の独立性を尊重してください、大統領」とツイートした。

   身内(与党内)にこうした批判をする人がいるところがアメリカらしい。


アメリカで政府閉鎖はじまる

2018年12月22日 | 日記

  2018年12月22日(土)の午前00:01(米東部時間:日本時間午後2時)、アメリカでは暫定予算が期限切れとなり、政府閉鎖がはじまった。

 今週水曜日(12月19日)、上院国境の壁を建設するお金をまったく含まない予算案(ただし国境強化のための16億ドルの予算を認める)を全員一致で採択した。

 このころトランプ大統領の壁の建設についての発言がへり、一時、トランプ大統領は、暫定予算案に拒否権を発動しないのではという観測が強くなった。 

 しかし、そのような見方がふえるなか、トランプ大統領のコアな支持層から壁の建設を放棄するのは公約違反だとトランプ大統領への批判が噴出

 こうしたなか、木曜日(12月20日)、下院では57億ドルの壁の建設費を含む予算案が共和党の賛成多数で可決されることになった(中間選挙の結果が議会に反映されるのは来年1月3日からで、いまは下院でまだ共和党が過半数をしめている)。

 するとトランプ大統領はふたたび、壁の建設予算を含まない予算は承認しない(拒否権を発動する)との強硬な発言を繰り返しおこなうようになった。

  アメリカでは、両院で同一の法案を可決し、大統領が署名してはじめて法案が成立することになっている。しかし、結局、いまの暫定予算が期限切れとなる2018年12月22日(土)の午前00:01まで両院で調整してひとつの暫定予算法案をつくることができず、アメリカで政府閉鎖がはじまった。

 トランプ大統領は、政府閉鎖は長く続くと発言しており、来年1月3日から下院で過半数となる民主党もこの問題では一歩も引かない姿勢をしめしている。

  このため政府閉鎖がいつ、どのように収束するか予想するのは難しい状況となっている。今後の推移を注意してみていきたい。

 

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日銀が保有するETFの損益分岐点は1万8千円??

2018年12月19日 | 日記

 日銀は現在、年6兆円をめどにETF(上場投資信託)を買い入れている。

 2018年11月28日に日銀が公表した上半期の財務諸表によれば(4半期毎の開示はない)、2018年9月末時点で、日銀が保有する指数連動型の上場投資信託は28兆9,636億円(時価)。含み益は7兆2,045億円とされている。

 ところで気になるのが日銀が保有するETFの損益分岐点(平均買い入れ価格)。株式指数が、この金額を下回ると日銀に損失が発生するという重要な数字である。

 日銀自身はこの数字を公表していないので、簡単な推計をしてみたい。

 日銀は実際には日経平均やTOPIXなどに連動した複数のETFを購入しているが、計算を簡単にするためすべて日経平均連動型のETFと仮定してみたい。

 すると18,120円という数字がでてくる。

 実際にはTOPIX型などもかなりの割合を占め、また10月以降もETFの買い入れがおこなわれているので非常におおざっぱな概算である。ではあるが、ETFに採用されている指数の変動に極端に大きな差があるわけではないので、実際の数字とはそんなには違っていないと思う。

 ごく近いうちに日経平均がこの数字を下回る可能性は小さいと思うが、たとえば10年といった長いスパンで考えれば日経平均がこの数字を下回る可能性はかなり高い。

 ちなみにアベノミクスがはじまる前の2012年8月に日経平均は8千円台をつけ、第二次安倍内閣がはじまった2012年12月の日経平均は9千円-1万円台

 先の仮定にもとづけば日経平均8千円で日銀の損失は約11.5兆円1万円で約9兆円となる(ちなみに日銀の自己資本は約8兆円)。

 市場への影響が大きすぎて減らせないといわれる日銀のETF。その将来が気になる。

 

追記(2019/4/5

 2019年3月12日、日銀の雨宮副総裁は参議院において、2018年9月末時点で日経平均が1万8千円程度を下回ると簿価割れになると発言した

2020/3/10追記

 日銀の黒田総裁は参議院において、日銀が保有するETF の損益分岐点について「2019年9月末の保有状況を前提にすると、日経平均株価が1万9000円程度」と発言した。

 黒田総裁は、現在の損益分岐点は1万9500円程度とも述べている。

 

2019/12/02     2019年度上半期の日銀ETFの損益分岐点

2019/05/29     日銀ETFの含み益、半年前から半減: ETFの損益分岐点は1万8,340円近辺か