大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

カリフォルニア州、無人の自動運転車を許可

2018年02月28日 | 日記

 2018年2月26日(月)、カリフォルニア州は4月2日(月)から公道で無人の自動運転車の実験をおこなうことを許可すると発表した。

 これまでは自動運転車の実験をする場合、人が乗っていることが必要だったが、この条件がなくなる(ただし無線で自動運転車の遠隔操作が可能であることが必要)。

 これにより、ハンドルやブレーキ・ペダルなどがついていない自動運転車の登場が予想されている。

 ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、アリゾナ州など自動運転実験にまったく規制を設けていない州もあるが、シリコンバレーをかかえるカリフォルニア州はアメリカでもっとも活発に自動運転の実験がおこなわれる場所になっている。

 同紙は、同州がすでに50社に自動運転車の公道実験を許可していると伝えており、カリフォルニアがITについで自動車の将来をきめる場所になりつつあることを示している。


銃大手レミントン、破産法第11章の申請へ: トランプ大統領の誕生が経営破綻もたらす

2018年02月26日 | 日記

  アメリカではいま、フロリダの銃乱射事件をうけて銃規制についての議論が活発になっている。

 そんななか複数の米メディアは、銃製造大手レミントン(従業員3500人)が破産法第11章を申請の見込みと伝えている。

 レミントンは創業200年の歴史をもつアメリカ最大手の銃火器メーカー。

 アメリカの銃火器メーカーは先の大統領選挙で、ヒラリー氏が当選して銃規制を強めると予想。

 選挙前に、規制前の駆け込み需要を見込んで大量の在庫を積み増していた。

 ブルームバーグは、アメリカの十年前の銃生産は400万台以下だったが、2016年の生産台数は1100万台に急増したと伝えている。

 しかし予想に反してトランプ大統領が誕生し、駆け込み需要は夢に終わった。

 このため各社は大量在庫をかかえ、レミントン社は破産法第11章を申請する見込みとなった。

 銃規制強化に反対する銃メーカーが、実は銃規制でもうけようとしていたという話である。

 ちなみにブルームバーグによれば、アメリカでは銃の保有者が減少傾向にあり、1973年には47%の世帯が銃を保有していたのが、2014年には31%まで低下している。

 また一部少数者が銃を大量に保有する傾向が強まっており、成人人口の3%がアメリカにある銃の半数を所有し、平均17台の銃器を保有している(レミントン社のホームページをみると、安いライフルは4万円程度で、その気になればだれでも大量の銃を保有できることがわかる)。

 今回のフロリダ乱射事件の被告も少し前のラスベガス乱射事件の犯人も、大量の銃器を保有していた。

 今回、高校生の立ち上がりもあり、今までになく銃規制を求める声が強まっている。

 フロリダでは銃を購入できる年齢を18歳から21歳に引き上げることが検討されているが、銃規制がどこまで進むのかあるいは進まないのか気になるところである。

2018年4月1日(日)追記

 3月26日(月)、レミントン社は破産法第11章を申請した。


映画ドリームとマーシャル: 歴史をつくったアフリカ系アメリカ人

2018年02月24日 | 日記

 私は、岡山にいるときは近くにあったミニシアターの上映作をほとんどすべて観ていたというぐらい映画好きである。 

 京都に移ってからは忙しく映画館には行けなくなったが、面白い映画があるとなんとか時間をみつけてiTunesかアマゾン・プライムで観るようにしている。

 ところで最近、アフリカ系アメリカ人を主人公にした面白い映画を続けて2つ観た。

 ひとつは、人種差別が厳しくのこる1962年、NASAで活躍した3人のアフリカ系アメリカ人女性・数学者を主人公にした「ドリーム」。

 もうひとつは、連邦最高裁の判事にはじめて任命されたアフリカ系アメリカ人を主人公にした「マーシャル:法廷を変えた男」。

 映画は、全米黒人地位向上員会(NAACP)の弁護士(主人公)が、1941年に取り組んだ裁判を描いている(観る人の興をそぐのであらすじは書かない)。

 どちらも実話に基づいたもの。

 世間では、よく「アメリカ」とひとくくりにした言い方がされるが、こうした映画をみると当たり前のことではあるがアメリカと言ってもその中にはいろいろな人がいることがわかる。

 また、映画をみると、アメリカがもとから現在のような姿であったわけでなく、さまざまな人の努力によって徐々に形成されてきたものであることがわかる。

 アメリカの政治や社会に関心がある人にはぜひ観てほしい映画である。


3Dマップをめぐる競争 :完全自動運転の成否をにぎる?

2018年02月22日 | 日記

 先日、フィナンシャル・タイムズ(FT)3Dマップ(立体地図)についての記事がでた。

 現在、人がまったく操作する必要がない完全自動運転の実現にむけた競争がはげしくなっている。

 その実現に不可欠とされているのが歩道や標識、建物などを3次元であらわした3Dマップ(立体地図)である。

 自動運転車は周囲の状況を把握するレーダーをたくさん積んでいるが、データ量が多すぎるため、運転のたびにゼロから3次元地図を作成するのは難しい。

 そこで、あらかじめ3Dマップ(立体地図)を作っておいて、走行時にはレーダーでそれからの逸脱(違っているところ)を把握するということが現在考えられているようである。

 FTは、グーグル、アップル、テスラなどから技術者を集めたDeepMapCivil Maps Lvl5といったスタート・アップ企業が、4千万ドル(44億円:1ドル=110円)の資金を調達して3Dマップの開発をおこなっていると伝えている。

 それにしてもスペースXもそうだが、前例のない技術開発にも、必要な技術者がすぐに集まり、すぐにその成果を出しはじめるというのはアメリカのすごいところだと思う-収益性の高い事業、技術開発の可能性の見極めがうまい-。

 また資金については、その調達のしやすさもそうだが、その効率的な使い方(たったの44億円)にも驚かされる-経営能力が高い-。

 私はこの一因が、アメリカでは技術者の文系能力が高いことにあるのではと思っている(日米の学生で、数学力や理系力に大きな違いがあるとは考えにくい)。

 アメリカの理系学生は、高校・大学で歴史や社会についても深く学んでおり、学んだ技術、理論を社会にどのように役立てていくか考えるうえで有利な立場にある。

 日本では専門性をより高めるという方向に議論が行きがちで、文系不要論もあるが、すこし違うような気がする。

 なにはともあれ、今後の展開に注目したい。


一部の地銀で、外債の含み損ふくらむ

2018年02月20日 | 日記

 今朝の朝日新聞(2018/2/20)は、日本の地銀の一部で外債の含み損がふくらんでおり、金融庁が約20地銀にたいし外債運用体制の見直しを求めていると報じた。

 同紙によれば、2016年秋の金利上昇局面で一部の地銀で外債の含み損が発生。たとえばX銀行は、米国債で250億円の売却損をだすといった事態が発生した。これをうけ、金融庁は緊急調査を実施し、約20行に改善をうながした。

 現在、アメリカではふたたび長期金利が急上昇しており、金融庁はあらためて約20行に対し調査を実施。それらが、外債投資で含み損をかかえていることを発見した。同紙によると、「年間のコア業務に匹敵する含み損を出した銀行もあった」。

 アメリカでは今後も、金利の上昇(=債券価格の低下)がみこまれており、外債投資の含み損が拡大することが懸念される。