まだ地道に『次の足跡』を聴いている。
同じ曲を何回も繰り返し聴けば、余程ではない限り少しずつ良さがわかってくるものだ。現在はそういう状態。しかし、聴けば聴くほどどんどん好きになっていく「スルメ曲」とまで言える曲はまだない。もう出てこないのではないかという半分諦めの境地だ。そうまでしてなぜしつこく聴いているのか、自分でも不思議だ。
そんな中、タイプAには、不良少年が主役で、ストーリー性が高く、少し物騒な歌が目立つ。
高橋みなみら6人が歌う『JJに借りたもの』。
断片的に歌われる歌詞から、背後に隠れているストーリーを読みとろうとするが難しい。
主人公の「俺」は、久しぶりに生まれ育った貧民街に帰って来る。帰って来た目的は、JJに借りを返すためだ。JJとは何者で、どんな借りを返そうとしているのか?
JJがあの夜のことを忘れていたら、ビールを飲んで帰ると歌っている。「俺」にとっては忘れられないが、JJは忘れているかもしれない出来事とは一体何か?「俺」にとっては「ガキの頃から変わらない」プライドを傷つけられる出来事だったようだ。「イリーガルな世界にも守るべきルールがある」というルールをJJは破って、「俺」に深い傷を与えたのだろう。
「俺」借りの返し方は過激だ。守るべき「女房子供」を捨てることになりそうな行為。「あの夜の拳銃のトリガーを引く」、つまりJJを殺すのだろう。殺さないと返せない借りとは、JJに自分の親兄弟を殺されたのか?子供だった「俺」は復讐ができず、大人になった今、ついに恨みを晴らしに来たのか?でも、それでは「あの夜の拳銃」をなぜ「俺」が持っているのか?JJがそれを忘れていれば、なぜ復讐せずに帰るのか?説明がつかない。
聴き手の想像力を喚起する「謎めいた歌詞」というものがあってもいいが、その場合でも作者は辻褄の合う「正解」を一つは想定しているべきだ。作者にも解けないパズルを出題するのはルール違反だ。
この歌詞の「正解」をなかなか考えつかず、あまりに謎が多すぎて、本当に「正解」があるのか疑わしく思えて来る。
山本彩ら5人が歌う『10クローネとパン』。
『強い花』の成功に気を良くした北欧シリーズだろうか。これもストーリー性が高い歌だ。
この曲のストーリーは明快だ。不幸な少年が、日々のパンにも事欠くような悲惨な生活の中で、人生の価値を模索する歌だ。少年の母親は家族を捨てて男と駆け落ちした。残された父親は自暴自棄になって、酒びたり。そんな姿に、少年は「死ねばいい」と毒づく。実際に殺しはしないだろうから、不良少年とは言えないかもしれないが、物騒な歌詞ではある。
少年はパンやワインのために「10クローネ貸してくれ」と無心しながら、サーカス小屋の非日常に憧れる。
不幸な境遇でも、人生を諦めずに、矜持を守って生きている少年の姿は共感できる。山本彩の深刻ぶった歌唱が、こうした曲にはよく似合う。
しかし、この曲は重苦しいだけで、『強い花』にあったようなカタルシスがない。
サビの最初の「world」という歌詞が気持ち悪い。一番印象に残る場所だけに、この言葉の意味合いがよくわからない。「世界よ」という少年の呼びかけなのだと解釈するが、呼びかけているようには聞こえない。
チームAの『確信がもてるもの』。
この曲も不良少年の歌だ。授業をさぼってゲーセンなどで青春を浪費していたが、警官に補導されそうになった時、はずみで殴ってしまい、鑑別所行きになる。鑑別所(あるいはその後少年院?)ではじめて自由の意味を知り、新たな人生を歩き出すという内容だ。これからは「もう誰も殴るな」。
鑑別所で得た教訓が「もう誰も殴るな」というのは、間違ってはいないが、いささか軽い気がする。
若い頃の過ちは取り返しが利く、悔い改めてまっとうな人生を歩めばいいというのは、ジャン・バルジャンと同じテーマだし、意欲的な作品なのだろうが、なぜか全く心に響かない。それは、妙に軽快なメロディーのせいかもしれないし、女性アイドルグループの歌唱には向いていないテーマであるせいかもしれない。
細かな指摘で恐縮だが、「抵抗した瞬間 警官を殴った」の、「抵抗」という歌詞が気持ち悪い。音符が足りないので「ていこぅした」と乗せていて、確かに「ていこう」と聞こえはするのだが、意味がスッと入って来ない。「抵抗する」という動詞の途中を端折っているからなのかもしれない。
可愛らしい曲だけでなく、いろいろな曲があるのはいいと思うが、このような3曲を立て続けに聴くと、さすがに少し気が滅入る。
タイプBの『動機』も加えると、物騒な曲4曲だ。
同じ曲を何回も繰り返し聴けば、余程ではない限り少しずつ良さがわかってくるものだ。現在はそういう状態。しかし、聴けば聴くほどどんどん好きになっていく「スルメ曲」とまで言える曲はまだない。もう出てこないのではないかという半分諦めの境地だ。そうまでしてなぜしつこく聴いているのか、自分でも不思議だ。
そんな中、タイプAには、不良少年が主役で、ストーリー性が高く、少し物騒な歌が目立つ。
高橋みなみら6人が歌う『JJに借りたもの』。
断片的に歌われる歌詞から、背後に隠れているストーリーを読みとろうとするが難しい。
主人公の「俺」は、久しぶりに生まれ育った貧民街に帰って来る。帰って来た目的は、JJに借りを返すためだ。JJとは何者で、どんな借りを返そうとしているのか?
JJがあの夜のことを忘れていたら、ビールを飲んで帰ると歌っている。「俺」にとっては忘れられないが、JJは忘れているかもしれない出来事とは一体何か?「俺」にとっては「ガキの頃から変わらない」プライドを傷つけられる出来事だったようだ。「イリーガルな世界にも守るべきルールがある」というルールをJJは破って、「俺」に深い傷を与えたのだろう。
「俺」借りの返し方は過激だ。守るべき「女房子供」を捨てることになりそうな行為。「あの夜の拳銃のトリガーを引く」、つまりJJを殺すのだろう。殺さないと返せない借りとは、JJに自分の親兄弟を殺されたのか?子供だった「俺」は復讐ができず、大人になった今、ついに恨みを晴らしに来たのか?でも、それでは「あの夜の拳銃」をなぜ「俺」が持っているのか?JJがそれを忘れていれば、なぜ復讐せずに帰るのか?説明がつかない。
聴き手の想像力を喚起する「謎めいた歌詞」というものがあってもいいが、その場合でも作者は辻褄の合う「正解」を一つは想定しているべきだ。作者にも解けないパズルを出題するのはルール違反だ。
この歌詞の「正解」をなかなか考えつかず、あまりに謎が多すぎて、本当に「正解」があるのか疑わしく思えて来る。
山本彩ら5人が歌う『10クローネとパン』。
『強い花』の成功に気を良くした北欧シリーズだろうか。これもストーリー性が高い歌だ。
この曲のストーリーは明快だ。不幸な少年が、日々のパンにも事欠くような悲惨な生活の中で、人生の価値を模索する歌だ。少年の母親は家族を捨てて男と駆け落ちした。残された父親は自暴自棄になって、酒びたり。そんな姿に、少年は「死ねばいい」と毒づく。実際に殺しはしないだろうから、不良少年とは言えないかもしれないが、物騒な歌詞ではある。
少年はパンやワインのために「10クローネ貸してくれ」と無心しながら、サーカス小屋の非日常に憧れる。
不幸な境遇でも、人生を諦めずに、矜持を守って生きている少年の姿は共感できる。山本彩の深刻ぶった歌唱が、こうした曲にはよく似合う。
しかし、この曲は重苦しいだけで、『強い花』にあったようなカタルシスがない。
サビの最初の「world」という歌詞が気持ち悪い。一番印象に残る場所だけに、この言葉の意味合いがよくわからない。「世界よ」という少年の呼びかけなのだと解釈するが、呼びかけているようには聞こえない。
チームAの『確信がもてるもの』。
この曲も不良少年の歌だ。授業をさぼってゲーセンなどで青春を浪費していたが、警官に補導されそうになった時、はずみで殴ってしまい、鑑別所行きになる。鑑別所(あるいはその後少年院?)ではじめて自由の意味を知り、新たな人生を歩き出すという内容だ。これからは「もう誰も殴るな」。
鑑別所で得た教訓が「もう誰も殴るな」というのは、間違ってはいないが、いささか軽い気がする。
若い頃の過ちは取り返しが利く、悔い改めてまっとうな人生を歩めばいいというのは、ジャン・バルジャンと同じテーマだし、意欲的な作品なのだろうが、なぜか全く心に響かない。それは、妙に軽快なメロディーのせいかもしれないし、女性アイドルグループの歌唱には向いていないテーマであるせいかもしれない。
細かな指摘で恐縮だが、「抵抗した瞬間 警官を殴った」の、「抵抗」という歌詞が気持ち悪い。音符が足りないので「ていこぅした」と乗せていて、確かに「ていこう」と聞こえはするのだが、意味がスッと入って来ない。「抵抗する」という動詞の途中を端折っているからなのかもしれない。
可愛らしい曲だけでなく、いろいろな曲があるのはいいと思うが、このような3曲を立て続けに聴くと、さすがに少し気が滅入る。
タイプBの『動機』も加えると、物騒な曲4曲だ。