Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
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相沢沙呼『マツリカ・マジョルカ』

2012-03-11 10:52:07 | ミステリ


一言で言うならふとももミステリ。

主人公は柴山祐希、高校1年生。
クラスに馴染めず、いつも一人。クラスメイトをどこか見下し、世界に無関心。
空気のように生きるシスコン高校生。つまりかなりダメダメ。
ある日の下校時、彼は学校近くの廃ビルから飛び降りようとしている女性を見かける。
急いで廃ビルに入っていくが、その女性は自殺しようとしていたのではなく、双眼鏡を覗いていただけだった。
「マツリカ」と名乗った彼女は、主人公に意味不明な無理難題やパシリを言いつけ始め・・・

主人公の周りで起こった不思議な出来事を、マツリカさんが解決していく連作短編ミステリ。
学校の怪談「走る原始人」、肝試しで出た幽霊の謎、学園祭のなか密室から消えたアリスの衣装・・・
そうした不思議を、廃ビルにいながらあっという間に解決する、新たな安楽椅子探偵の登場。
「普通に考えたらこうだ」と、問題や要素を自然に受け止め、論理的に真実を導いていく様が気持ち良かったです。

分類するなら「青春ミステリ」なんでしょうが、一般的に想像される青春ミステリとは一味違う。
今まで読んできたそれらは、主人公がなんだかんだリア充であるパターンが多かったですが、本作の主人公は完全に非リア・・・(笑)
読んでいてちょっと辛くなる位。
(でも女性とコミュニケーションとれてるじゃん!という非リア原理主義的な考えは一旦よけておく)

そんな彼が、マツリカさんに一目惚れし「彼女のために」動き始める。
その過程で、今まで自分が拒否してきた世界と交流を持ち始める。
結果、彼に、本当に少しずつではあるが変化が訪れる。
彼の青春は、これから始まっていくのでしょうね。

「希望を持たせながらも、全ては描かない」タイプのエンディングはその余韻が好き。
でも、高校卒業位までは続篇できそうですよね・・・?
『サンドリヨン』同様、シリーズ化したら追いかけます。


***
冒頭でふとももミステリと書きましたが、この作品何だかやたらエロいのです。
と言っても、直接的なエロさではなく、もやもやとした思春期的なエロさ。
何故って、マツリカさんのふとももやら胸への視線移動と妄想が忠実に書かれているから(笑)
ある意味物凄~くリアルな非リア男子高校生が、本作にはいます。
こんな主人公そうそういないし、いてほしくないけど。
ふとももとチラリズムフェチは外せない。
溢れるフェティシズムも楽しい一冊。
(こんなこと書いていいのだろうか)


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