原点回帰的作品!
モリミーの作品は『ペンギン・ハイウェイ』以外は読了済み。
この作品は凄い。
何がって、モリミーの作品の中でも、一二を争う程読んで得るものが無い。
だが、それが良い。
四畳半という単語はついていますが『四畳半神話体系』の正統な続編ではありません。
こちらを先に読んでも大丈夫です。ただ、『四畳半神話体系』も傑作なので、是非読んでみて下さい。
『四畳半神話体系』とは世界観や舞台を共通にしている別の作品です。
それが嬉しくもあり、残念でもあり。
今回も、ファンタジーがかった男くさい阿呆な大学生の青春が描かれています。
その意味で『太陽の塔』あたりまで戻った感じを受けました。
金太郎飴と言われればそれまでですが・・・
途中幻想小説らしき方向へ進みかけたけど、あれはちょいと微妙でしたねぇ。
『四畳半神話体系』には大きな流れや筋がありましたが
それと比較すると本作の各編はそれぞれ独立の傾向にあります。
まぁどれも詭弁に塗れた阿呆な物語なんですけど。
言い回しや言葉使いのセンスがかなり独特で
波長が合うと読んでるだけで気持ち良いですし、笑えます。
結構な箇所でクスッとしちゃいました。
ところどころ「おっ?」と思ってしまう文章もあったり。
例:『彼女のプレゼントのマフラーというものはいいものだ。
でも荒縄で首を縛られている人みたいに見えるね』
ただ、合わない人はとことん合わないと思います。
どこか漢文的な、相当に独特な文体なので、正直読み難いです。
本屋で試し読み推奨。その場合は二話から!(一話は演説の台本みたいで格別読み難い)
とは言え、頭を真っ白にして読めるので
下らない本で気分転換したい時や
大学時代の青春(ただし、暗い青春に限る)を思い出したい時に読むのをおすすめいたします。
あ、あと表紙について。
今回は古屋兎丸氏によるもの。
これはこれで凄く良いです。
でも、やっぱり中村祐介氏が良かった・・・文庫版は表紙変わるんですかね。
そうしたらまた買ってしまいそう。