久々の更新になってしまいました。
期末というものはやはり忙しく、帰宅しては寝る生活を繰り返した九月の末。
読書はリラックスできる、それはそうでしょう。しかしそうする気力も体力も無かったのでした。
それから十月を迎え、先週は旅行に出かけていました。
活動的になるかと思わせてくれる、秋の到来。大好きな季節です。
それから、漸くゆっくりできる休日となったので、読みかけの本作を一気読み。
書店になかったのでamazonを利用しましたが、少しずつ話題になってはいるようです。
続篇が出たらブレイクするかも。
『ビブリア~』の爆発的ヒット、『氷菓』シリーズのアニメ化があり、実は秘かに盛り上がっているのではないかと思われる『日常の謎』ミステリの新顔です。
なにかにつけて『ビブリア~』と比較するのも作者様としては不服に思われるでしょうが、本作も「ちょっと変わった職業+日常の謎」ミステリ。
(私が今名付けたジャンルです。恐らくこんなジャンル存在しません。)
『ビブリア~』の主役は古本屋の店主、本作は「バリスタ」です。
「バリスタ」とは、珈琲界の専門職人。乱暴に言えば珈琲版バーテンダー。
「バリスタ」切間美星が本作の主人公。
一方のワトソンくん、アオヤマは物語冒頭に彼女のホームズ的洞察力にやられてしまいます。
同時に、彼女の淹れる珈琲の味にも。
珈琲大好き人間であるアオヤマは「理想の一杯」を探していて、彼女の珈琲がまさしくそれだったのでした。
それから彼は彼女のお店「タレーラン」に通いつめ、そこで様々な「謎」に出会い・・・
とにかくキャラクターが魅力的。舞台が魅力的。
ジャケットの女性が美星なのですが、聡明さと無邪気さの共存する不思議な魅力を持っています。うん、かわいい。
(読了した今思い返してみれば、この魅力にも理由があったわけですが・・・)
舞台は京都。私の中にある京都像は、森見登美彦によって途轍もない混沌世界に改編されていましたが、恐らく本作で描写される京都が正しい京都なのでしょう。信じられませんが。
古色蒼然とした街並みに、生命力溢れる学生が跋扈する様はどこかミスマッチなようで、そうではない。
歴史のなかに今を感じ取ることができる、不思議な世界。良いですね。
勿論「タレーラン」も魅力的。
家屋と家屋が織りなすトンネルをくぐった先に突如現れる、古めかしいたてもの。
そこで、美味しい珈琲と、かわいいバリスタに迎えられる。
客は殆どおらず、店内にはジャズが漂う。静謐とした空間は、この世の隠れ家。
こういうお店、行きたいなぁ。
ミステリとしても面白い。特に『ビタースウィート・ブラック』が良かった。
物凄い技巧が仕掛けられているものではないけれど、どの作品も楽しめました。
読了後の味は、甘かったな・・・
見返してみると、なんともオシャレなタイトル!
こういう読了後のセカンドインパクトが大好きです。
続篇出るでしょうね、これも。
決め台詞はドラマ向けだし、売れ出せばそっちへも展開するのかな。
あと、珈琲に関する豆知識も面白く読みました。珈琲好きな人はもっと楽しめるかも。
また、良い世界を見つけました。存分に浸ったなぁ。満足!
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「ちょっと変わった職業+日常の謎」ミステリ、思い返してみれば色々ありますね。
たしか落語家もいたはずだし・・・
まだ出ていない職業で、これから出そうなものはなんでしょうね。
ビルメンとか?
SE・・・は伊坂幸太郎の作品にいたかな。
トリマーとか、美容師とか、コック・・・は既にいそう。
何でも屋なんかしょっちゅうだし・・・
フィギュアの原型師なんかはいないはず!・・・ミステリにならないか・・・