Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
基本的には休日更新。

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで 2』

2011-12-17 07:09:31 | ミステリ


お久しぶりになってしまいました。
ここ暫く仕事が忙しかったことと、ついに車が来たために、読書の時間が減っていたのでした。
これから土日は出かけることが多くなると思うので、更新頻度はちょいと落ちるかと思います。
(来月再来月と早くもスノボの予定が入りまくっているというね・・・)
まぁ、気ままに書いていきますので、どうぞよろしく。

で、本作。
本屋に行けば山積みされてるのでご紹介は不要でしょう。
前作の続編でございます。
前作は、キャラもののコメディミステリとしては中々楽しめましたが、色々と小粒でした。
本作は、前作より比較的ガッカリ感少な目な印象。
「そうきたか!」な驚きをちょくちょく楽しめました。
「そりゃあないでしょうよ」なトリックも結構ありましたが・・・
基本的には主人公麗子や執事影山といったキャラクターによるドタバタを楽しむ作品かな。

仕事が終わって帰宅して、疲れたなかでもなんとなく読める位のゆるさがとても良いです。



神永学『心霊探偵八雲 3』

2011-12-04 14:42:11 | ミステリ


過去2作と比較して、最も先が読めず、またヴィジュアル的な恐怖の強い作品。

「何度も自殺する少女の謎」と「あるバーに集まった人々の周囲に現れる霊の謎」が並行して語られます。
読み進めても先が見えず、そのため終盤の怒涛の展開が気持ち良かったです。
大変失礼な物言いですが、著者のレベルが1巻と比べると結構上がっているのでは。

トリックよりも、複雑に絡み合った事件と霊の真相に面白みがあるシリーズ。
あと、人間模様。
数々の事件をともに潜り抜けてきたことで、各人物間の関係が少しずつ熟成されてきていることが分かる巻でした。
信頼が強まっていく様子が分かるのが素敵。あと、愛?


良くも悪くも漫画的ですが、それもまた魅力。
この世界がどう収束していくのか、気になるところです。
(ラスボスの様な存在も、ちらちら見え隠れしていますが・・・)

もう少しホラー要素の強い話があると良いなぁ。

太田忠司『奇談蒐集家』

2011-12-03 22:55:40 | ミステリ


雰囲気がとても好みな連作短編ミステリ。

目立たない場所にあるバー、「strawberry hill」
隙のない「いかにも」なバーテンに導かれ、重厚な扉を開いた先に待ち受ける「奇談蒐集家」
彼は、持ち込まれた奇談を聞く。
「審査」に通った場合は、奇談を持ち込んだ人間へ高額報酬を支払うという。
そんな彼の元を訪れる、怪奇体験者たち・・・
果たして、彼らの「奇談」は本物なのか?

設定だけでニヤニヤしてしまい、即買い物カゴへ。
怪奇じみた謎の数々を、奇談蒐集家である恵美酒・・・の付き人?氷坂が解決する連作短編ミステリです。
各話のオチは大体読めてしまいましたが・・・
超絶技巧で衝撃なトリックなどはありません。
しかし、「奇談」としてしっかり味わえます。語りというか、書き方が巧いのでしょうね。
解決部分がなくてもそれはそれで楽しめる。
(まぁ実は不思議でもなんでもないんだよと解決されてしまうので、ある意味残念ですが)

最終話前までは「幻想怪奇な雰囲気を楽しめたからまぁいいか」位の感想でしたが、最終話で「おお?」な展開に。
これがあるから連作短編という形式は面白いですよね。
短編それぞれで楽しめ、更に短編により形作られた大きな作品世界でも楽しめる。
「二重の楽しみ」が素敵です。

雰囲気をつくるのが非常に巧みなよう。
初読の作家さんでしたが、なかなか良かったです。




石黒 正数『外天楼』

2011-12-02 22:37:54 | ミステリ


小説でなく、漫画なんですけどね。良質な連作短編(SF)ミステリでした。

外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。
エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 
謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜庭冴子は自分勝手な捜査を開始する。
“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 
奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!
以上、内容紹介でした(Amazonより)

エロ本を探す少年たちが遭遇した、ちょっと不思議な謎。
「日常の謎」に始まり、殺人事件を経て、最後には衝撃の事実が明らかに。

一話目の「エロ本の謎」はとても良い「日常の謎」モノ。
この一話目を読んだ時点で、「これは当たりだ」と思いました。
また、ある殺人事件モノはバカミスレベルながら、「なるほど」と言ってしまう絶妙なレベルで感心したり。
他にも、下手なミステリ小説よりよくできたミステリ短編が続きます。
各話の舞台や登場人物はヘンテコですが、中身はしっかりミステリ!
そして、最後に明かされる秘密・・・
日常を感じさせる異世界、境界的な『外天楼』世界は、余韻を残しながら閉幕。お見事。

こんなミステリ漫画、何処に連載されていたのかと思ったら『メフィスト』でした。
SFの混在した独特な世界観もこれで納得。
(メフィスト休刊でしたっけ?読んでませんでしたが)

自分のTLで話題になっていたので読んでみたのですが、大正解でした。
問題点も多々あるtwitterですが、このような新作の情報が豊富に入ってくる点は良いですね。