Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
基本的には休日更新。

似鳥鶏『さよならの次にくる 卒業式編』

2013-11-16 10:20:17 | ミステリ


高校を舞台としたコミカルミステリ。
比較的ライトで、気軽に読めて面白い。
全四編収録。

主人公が何故か頭の切れる探偵なのではなく
右往左往して苦戦しながら、結局謎解きに失敗したりする痛々しさも新鮮。
・・・と思ったけど、最近のこういったミステリは地味目な男と探偵役の切れる女という組み合わせが
流行ってますよね。
本シリーズの探偵役は男だけど、まぁありがちといえばありがちなタイプ。
外見が良く天才肌で、興味の対象以外には見向きもしない。
最早ステレオタイプなので、そろそろ奇抜な新しい探偵の登場を望む!
(かと言ってメルカトルみたいなイカレた奴も困る。いや、メルカトルもこのタイプか・・・)

収録作はバラエティ豊かで飽きないですが、最初のトリックだけは「おい!」と思いました。
これがありならなんでもありじゃないか!
逆に、こんなことしたの!?って驚きがキモなのか・・・?

とはいえ、学園ミステリはやはり好み。
高校生なりの辛いことというのは、勿論たくさんありますが
振り返ってみればそれも良い思い出。
そんな自分の思い出を追体験できるから、好きなのかもしれない。

続編も積んであるので読みます。
だいぶ寝かせてしまったなぁ・・・

ジェフリー・ディーヴァー『ポーカー・レッスン』

2013-11-10 11:14:17 | ミステリ


最高。
どんでん返しの魔術師(なんて呼び名があるかは分からないけど)ジェフリー・ディーヴァーの最新短編集。
全16話で700ページ近くあり、読み応え抜群。
そのうえ、どの話も読者を全力で騙しにかかってきます。
後半になると、「つぎはきっとこうくるに違いない」と先を予想しながら読んでしまう。
しかし、その予想すら裏切ってくれる。
毎話映画を見ているようで、読了後の満足感といったらない。
非常に贅沢な短編集。

ライムの登場する『ロカールの原理』は、読むとますます長編が待ち遠しくなる、相変わらずの良作。
あとがきで恐怖のエッセンスを詰め込んだという『恐怖』もとても面白い。
乱歩の「類別トリック集成」の恐怖版といったところ。
人形や双子の少年が、人間に(先天的あるいは後天的に)刻まれた恐怖のシンボルだという記述は興味深い。
たしかに、映画などで登場する双子ってちょっと不気味なイメージがある。
少数派だから?

面白いミステリを求めている人や、騙されたい人には絶対おすすめ。

貴志祐介『雀蜂』

2013-11-04 20:17:29 | ミステリ


ものすご~くご無沙汰しておりました。
ここ二か月程色々あって全く読書していなかったもので・・・
仕事から帰宅しても本を読む気力がなかったり、GTA5を遊んでいたりして、本は買うだけ・・・
(それでも買ってはいるところがダメなところ)

本作も、出ていることを全く知らず。
ふと見つけ作者買い。まず外れない貴志センセの作品かつ、サバイバルホラーとくればもうね。

結論としては、とても面白かった!
200ページ弱で短いこともあり、サクサク読めてリハビリにぴったり。
あるミステリ作家が雪で閉ざされた山荘にて、スズメバチから逃げまどい、闘うお話。
作家は何故逃げるのか。それは、彼が以前一度雀蜂に刺されているため。
もう一度刺されてしまうと、アナフィラキシーショックを起こしほぼ確実に死んでしまう。
この「後がない」設定が非常に良い。
逃げ場が限定されるシチュエーションも相まって、最初からスリリングで緊迫感に満ちた展開が繰り広げられるのです。

しかし、そこは貴志作品。
どうにかして逃げられないか、蜂を駆逐できないか、知恵を絞って考え、実行する。
これもまた面白い。
雀蜂の習性と手持ちの道具をフル活用し、なんとか生き延びようとします。
そして終盤、思わぬ展開が・・・

やはり、貴志作品に外れなし。
また大長編のサバイバル・ホラー書いてほしいな。