とても面白い!
主人公は狂気のマッドサイエンティスト「鳳凰院凶真」を自称する厨二病大学生、岡部倫太郎。
彼は、「機関」と戦うために様々は発明をする「未来ガジェット研究所」を設立。
その実はサークル活動のようなものながら、ある日「電話レンジ」なるものを完成させます。
電話とレンジを組み合わせたこの機械では、物がゲル状になったり、何故か冷凍されたりと不思議な現象が多発。
そこで、原因を色々調べていくうちに、「電話レンジ」は一種のタイムマシンであることが判明し・・・
ゲームのノベライズということですが、ネタびっしりの密度の高いSFです。
ネタびっしりと言っても、設定やSFにありがちな専門用語が満載ということではなく・・・
ネット・ゲーム・アニメのネタがびっしり。
特に、登場人物が口癖としている某巨大掲示板のスラング群が面白い。
まさにレスを読んでいるようで、著者も相当なユーザーか、取材したのか・・・
よくこれだけ詰め込んだものです。
舞台が秋葉原ということで、作品全体の雰囲気がアキバな感じ。
主人公の厨二病っぷりも凄まじい。笑えます。
が、幼馴染のまゆりの発言からは、昔の普通な主人公に戻って欲しいという思いも読み取れ、妙に切ない。
主人公に何かあったのか、二人の関係はどうなるのか、等気になる点が多々。
で、肝心のSF部分ですが、これはまぁリアリティを感じさせるような精密に作り込まれたものではないですね。
キーワードを繋げて、無茶苦茶しているようなものです。
が、ロマンが!タイムトラベル・タイムリープはロマンの塊なのです。
SERN、ジョン・タイターなどアヤシイ要素も大量に盛り込まれていて、ワクワクが止まらない。
青春SFとしてもとても楽しめました。
季節は夏。扇風機や蝉、青空の描写がとても好き。
喧噪から離れた、暑いながらも静かなラボ。・・・
よく出てくる表現に「扇風機のかたかたという音が~」というものがありましたが、これ好きです。
それだけ静かだということがよく分かりますし
同時に暑さやむわっとした空気の感触も伝わります。
ガヤガヤ感、静寂感、ギャグ、シリアス等対立する場面や流れが巧く配され、使われていて
情景がより鮮やかになっているように感じます。巧い。
さて、タイトルに1とあるように、物語が急展開を見せたところで最終巻でえある2巻へと続いていきます。
もう2巻も出ているので、すぐ読みたいと思います。
果たしてどう収拾をつけるのか・・・