Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
基本的には休日更新。

中原昌也『待望の短編は忘却の彼方に』

2011-06-26 20:11:18 | 文学


割と理解不能。

名前だけは知ってる著者。短くて読みやすそうだと思い、選択。
各短編は正直意味不明。
物語として捉えると、はたしてどんな意味があるのか、何故このような急展開になるのか等疑問だらけ。
が、登場人物の台詞や思いだけを拾い上げていくと、まだ意味のあるものになる。
帯にもある通り、これらの作品群は中原昌也という一人物の絶望と狂気、そして愛の叫びなのでしょう。

どんな賢い人間でも脳内では取るに足らないことを考えている。
そんな脳内は見られたくない。なら、カラッポになればいい。
カラッポになっていないと、自分の生きる現実には救いが無さすぎるから。
そんなことをあとがきで書く著者。
つまり、この世界に絶望した著者が、建前を捨ててやけくそで書いた文章群、なのか。
そんなこと言ったら怒られるかな。

色々な批評家が色々な深読みをしそうな作品たち。
でも、そんな批評は的外れで、意味なんてない。この著者はそう一蹴するんだろうな。

最後に伊坂幸太郎の小説を買った方が良いと言ったり、大層自虐的。
でも、この部分にだけは深い意味が込められている気がしてならない。


村上春樹『ノルウェイの森』

2011-05-28 14:09:36 | 文学
 

最初が全然面白くなくて、何度もポイしていましたが、いつの間にか読了。

正直この主人公全然感情移入できる人物じゃありませんでした。
でも、最後まで読みすすめると、少し考えも変わります。
心の一部、ある意味で全てを失った主人公が放つ救済の叫びが魂を打つ。

自分だったらどうするだろう。
読む時期、状況によってその先は変わると思います。
自分が精神的にプラスの位置にいるのか、マイナスの位置にいるのか、それによっても。
(今回の感想から評価すると、今自分は精神的にかなりプラスの位置にいる模様)

空気感の描写も特に鋭い。
間違いなく村上春樹にしか書けない文章たちは、とても味わい深いもの。

暫くして、いまとは状況が変わったらまた読んでみようと思う作品。