所謂「Fランク大学」の教師である桑潟幸一、通称桑幸。
彼と、顧問をつとめる文芸部の奇天烈な女子大生達が繰り広げるドタバタミステリ。
人は死なないし、小難しいことも何もないので気楽に読めます。
小難しいどことか、読んだ後「しょうもないな」という渇いた笑い以外何も残らない作品(褒め言葉)
実は今日ハーフマラソンやってきたのですが、そんな肉体と精神状態でも読める位ライト。
ユーモア・ミステリの看板通りクスッとしてしまう部分が結構あり、何故か悔しい。
特に何処が面白いかといえば、桑幸の人間性。
とにかく器が小さく、矮小で、卑しい。加えて怠惰なうえかなり貧乏。
これだけ書くとただのクズ人間のように思われます。事実ただのクズ人間なんですが、何故か憎めない。
この人間性が引き起こす行動の数々はあまりにも憐れで、同情を買うからでしょうか。
あとそんな人間でありながら、他人に迷惑をかけたり嫌がらせをすることが無い点もポイントか。
それらが妄想でとどまってしまうところも小さくて良い。
そんなしょうもない主人公によるしょうもない話。
勿論しょうもないので探偵的活躍は全くない。ある意味新鮮。
貶してるような文章ですが、そのしょうもなさが面白いユーモア・ミステリでした。
これは二作目なので、そろそろ一作目が文庫化するかな?