Marice in Wonderland

日々読んだ本の感想を綴る
基本的には休日更新。

深見真『ブラッドバス』

2014-07-20 15:18:59 | エンタメ


帯に「殺戮事典」と書かれていますが、言いえて妙であります。
『ヤングガン~』シリーズも容赦なかったけど、こちらも同じくらい容赦のない暴力の嵐。
いかに残酷に殺戮するか、楽しく考えながら書いたんじゃないかと思ってしまう。
それでも不快にならず、むしろ気持ちよくどんどん読んでしまうから不思議。

主人公と敵サイド両者ともひたすら残酷行為を繰り返しますが
そうするなりの理由があり、特に敵サイドは相当な下衆であるため
読み手も主人公たちを応援してしまうのではないでしょうか。

まさに、「読む」アクション映画。
映画ではとても表現できないような想像を絶する殺戮のオンパレードなので
むしろへたなアクション映画よりどれだけエキサイティングか。

村上春樹『『1Q84 BOOK3 後編』』

2014-01-03 12:45:22 | エンタメ


今年二回目の記事ですが、読み終えたのは元旦でした。読書初め!
去年からゆっくり読み始めた大作。
読了してみて、物語の構造は理解できましたが
数々の要素が結局何だったのか、何のために存在しているのかということまでは理解できず。
一体何を意味しているのか・・・空気さなぎとかリトル・ピープルとか。

とはいえ、それほどの理解不能な世界でも、愛する人と一緒なら生きていける。
そういうこと・・・?
読み終えて、全く何も残らないんじゃアレですが
どうもそういうことなのかと、前向きな気分で本を閉じることができたので良かったかな。
きっと色々な解釈や読み方ができるんだろうけど、それは疲れる。
興味深くはあるので、自分なりの感想をもてたところで、少し色々調べてみようか。

作中でも度々登場するヤナーチェックの『シンフォニエッタ』。
せっかくだからと思いラスト数十ページはそれを聞きながら読みました。
なんでこの曲を選んだのだろうか?
ピッタリ合う気もするけれど。

現実世界と、どこかが僅かにずれた世界。
少し不安な、地面から数センチメートルだけ浮いているような感覚。
最後にホッとしたということは、そのような世界にいたということ。
音のない無色透明な夢、或いはモノクロの鏡面世界。
不思議な世界を体験しました。

村上春樹『『1Q84 BOOK3 前編』』

2014-01-02 19:42:19 | エンタメ


あけましておめでとうございます。
無事新年を迎えることができました。
今年もよろしくお願いいたします。
昨年はあまり本を読まなかった一年でした。
読書欲がない時期が多かったというか、気力がなかったというか・・・
今年の抱負は「新しいことに挑戦」です!
本を読むという行為についても、気になった作品はジャンルを問わずどんどん読んでいきたいと考えています。

今回は昨年からまったり読み進めていた『1Q84』の5冊目です。
2014年最初の記事ですが、読み終えたのは2013年大晦日。
もう6巻も読み終えています。
すっかり1Q84の世界から抜け出しているのですが、本当に不思議な作品だったなぁと思います。

この5冊目でも、物語は淡々と進みます。
青豆を追う牛河パートは探偵小説のようで違う面白さがありましたが・・・
とにかく淡々としている。
(思えば村上春樹の作品は殆ど全てそうかもしれないですが)
登場人物たちが達観していて、何事をも受け入れ、理解する。理解できなくとも、そういうものだとして捉える。
そのような非人間的ともいえる言動が、非現実的な1Q84世界と相まって、独特な空気を形成しているように思えます。

最早面白いのかどうかよく分からないながらも、結末が気になってどんどん読み進めてしまう。
うーん、不思議な小説。

村上春樹『1Q84 BOOK2 後編』

2013-08-12 16:55:47 | エンタメ


うーん、物語は確実に前に進んでいるんだけど、一向に詳細が分かってこない。
空気さなぎだとか、リトル・ピープルだとか、そのあたり。
非現実的で、抽象的で。
もしかしたら正体はこれだと明示されずに終わってしまうのか?
何を象徴しているものなのか、存在する意味は何なのか。
読者が各々考えるものなのか?
・・・分からない。

主人公二人の距離はかなり縮まりましたね。
次の巻あたりでは会えるんだろうか。
この状況だけを切りとると、ロマンティックな恋愛物語になるなぁ。

ラストシーンでは、勇気を与えてくれるような良い台詞がひとつ。

真実を知ることのみが人に正しい力を与えてくれる。それがたとえどのような真実であれ。

うう、その通り。
怖がって、逃げてばかりではいけない。
知りたくないことを知ることで前に進めることもあるんだろう。

あと2巻でおしまいか。
この物語がどのように収束するのか、見届けたいと思います。

村上春樹『1Q84 BOOK2 前編』

2013-07-21 10:39:32 | エンタメ


面白くなってきた!
どのように交わるのか全く分からなかった二人の主人公が、少しずつ近づいていく。
お互いに厄介な問題を抱えながら、お互いに自分と向き合いながら。
天呉が父親を訪問し、真実を感じ取るエピソードは独特の空気があって好きでした。
「猫の街」も普通に読んでみたい作品。ホラーファンタジー良いですね。

二人の背景に存在する宗教組織についても、色々なことが分かり始めてきました。
しかしながら、恐らく本作品のキモである「リトル・ピープル」についてはまだまだ分からないことばかり。
「テレビ・ピープル」とは関係ないですね?

何にせよ、進展があった3巻でした。4巻も早く読まなければ!

ところで、この巻には「やっぱりこの人凄いな」と思った文章がありました。
それを引用しておしまいにします。

世界とは「悲惨であること」と「喜びが欠如していること」との間のどこかに位置を定め、
それぞれの形状を帯びていく小世界の、限りのない集積によって成り立っているのだという事実を、
窓の外のその風景は示唆していた。