税理士 田村直樹の 「建設業者の会計・税務・経営のポイント」  個人事業から会社へ、決算、調査、相続に安心で対応

税理士 田村直樹 が、建設業者の会計・税務・経営のポイントをやさしく、わかりやすく解説します。

相続税対策2 預貯金を不動産にシフトする

2022-09-14 09:38:34 | 建設業者の税務調査のポイント
相続税対策2 預貯金を不動産にシフトする

鈴木「次に不動産ですが、よく手持ちの現金や預貯金を不動産にシフト(移す)すると相続税対策になると言われていますが?」

私 「相続財産の評価は原則、時価ですが、具体的には相続財産の種類ごとに決められています。

例えば現金1,000万円の相続税評価額は1,000万円です。これはシンプルです。

では、建物の相続税評価額は、鈴木さん覚えていますか?」

鈴木「固定資産税評価額ですね」

私 「そうですね、固定資産税の納税通知書でわかりますね。納税通知書では建物のことを家屋と表記しています。

この固定資産税評価額が建物の相続税評価額になるわけですが、この固定資産税評価額は建物の建築価格の約60%が目安となっています。

この評価の差額を相続税対策として検討します。仮に手持ちの預貯金(現金)3,000万円で自宅を建替えると

預貯金(現金)の相続税評価額 3,000万円

建物の相続税評価額 3,000万円×60%=1,800万円

評価の差額 3,000万円-1,800万円=1,200万円

つまり財産価値は3,000万円で変わらないのに相続税評価額は1,800円に減少、

1,200万円も評価に差額が生じてきます」

鈴木「なるほど、現金や預貯金を不動産にシフト(移す)すると財産価値は変わらないのに相続税評価額は変わるのですね」

私 「評価の違いは相続税対策となります。ここでは考え方を伝えていますので省略していますが、

建物は年月のともに古くなりますし、手持ちの現金や預貯金もインフレで価値が目減りするかもしれません」

鈴木「私の元同僚の中には年金の足しにしようと退職金でワンルームマンションに投資をしている者もいます。

この場合も現金や預貯金をワンルームマンションにシフト(移す)していますから同時に相続税対策になっているのですね」

私 「考え方は先ほどの自宅の建替えと同じです。仮に手持ちの現金や預貯金からワンルームマンションを1,500万円で購入すると

預貯金(現金)の相続税評価額 1,500万円

建物の相続税評価額 1,500万円×60%=900万

評価の差額 1,500万円-900万円=600万円

つまり財産価値は1,500万円で変わらないのに相続税評価額は900万円に減少、600万円も評価に差額が生じてきます」

鈴木「600万円といえば基礎控除額の比例控除と同額ですね」

私 「ワンルームマンションには建物だけではなく土地部分もありますし賃貸物件には相続税評価の減額の規定もあります」

鈴木「なるほど! ワンルームマンションの投資は年金の足しだけではなく相続税対策になりますね」

私 「投資はあくまで自己責任です。

将来のワンルームマンションの価値の下落や空室の対策、受取る家賃の滞納など賃借人とのトラブル、

借入金で購入した場合の返済などリスク面の検討も必要ですね」

鈴木「わかりました!」

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