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2023年4月18日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の15

2023-04-18 08:08:39 | Weblog
2023年4月18日 弁理士試験 代々木塾 特許法184条の15

(特許出願等に基づく優先権主張の特例)第百八十四条の十五
1 国際特許出願については、第四十一条第一項ただし書及び第四項並びに第四十二条第二項の規定は、適用しない。
2 日本語特許出願についての第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「又は出願公開」とあるのは、「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
3 外国語特許出願についての第四十一条第三項の規定の適用については、同項中「特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「又は出願公開」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」とする。
4 第四十一条第一項の先の出願が国際特許出願又は実用新案法第四十八条の三第二項の国際実用新案登録出願である場合における第四十一条第一項から第三項まで及び第四十二条第一項の規定の適用については、第四十一条第一項及び第二項中「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、同項中「同項」とあるのは「前項」と、同条第三項中「先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面」とあるのは「先の出願の第百八十四条の四第一項又は実用新案法第四十八条の四第一項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」と、「同項」とあるのは「第一項」と、「について出願公開」とあるのは「について千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第二十一条に規定する国際公開」と、第四十二条第一項中「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」とあるのは「第百八十四条の四第六項若しくは実用新案法第四十八条の四第六項の国内処理基準時又は第百八十四条の四第一項若しくは同法第四十八条の四第一項の国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」とする。

〔解説〕

・184条の15第1項(適用除外)

<41条1項ただし書>
 41条1項ただし書は「ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。」と規定している。
 しかし、仮専用実施権に係る先の特許出願に基づく国内優先権の主張を伴う国際特許出願をするときは、仮専用実施権者の承諾を要しないこととした。
 PCT27条(1)により、PCTに基づく国際出願の形式又は内容についてPCTに定める要件以外の要件を要求することができないこと、仮専用実施権者の承諾を要件としたとしても受理官庁が日本国でない限り実務上承諾があったかどうかの確認をする手段がないからである。

<41条4項>
 41条4項は、「第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定している。
 国際出願における優先権の主張の手続は、PCT8条(1)により、PCT規則に従うこととされているため、41条4項は適用しないこととした。
 国際出願における国内優先権の主張は、願書において行うこととなる(PCT規則4.10)。

<42条2項>
 42条2項は「前条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、その主張を取り下げることができない。」と規定している。
 国際出願における優先権の主張の取下げについては、PCT規則90の2.3に規定されているので、42条2項は適用しないこととした。

 PCT規則90の2.3 優先権の主張の取下げ
(a)出願人は、国際出願において第八条(1)の規定に基づいて申し立てた優先権の主張を優先日から三十箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

 先の特許出願に基づく国内優先権の主張を伴う国際特許出願をした場合においては、国際特許出願における優先権の主張の取下げは、優先日から30月を経過するまでできるが、42条1項の経済産業省令で定める期間を経過した時は、先の特許出願が取り下げられたものとみなされるので(42条1項)、その後に国際特許出願において優先権の主張を取り下げたとしても、先の特許出願が復活することはない。

・184条の15第2項(日本語特許出願が国内優先権の主張を伴う場合)
 184条の15第2項においては、日本語特許出願が国内優先権の主張を伴う場合における41条3項の適用においては、「出願公開」を「国際公開」と読み替えることとしている。
 日本語特許出願については、出願公開がされないため(184条の9第4項)、国際公開(PCT21条)がされたときに、41条3項を適用することとした。

・184条の15第3項(外国語特許出願が国内優先権の主張を伴う場合)
 184条の15第3項においては、外国語特許出願が国内優先権の主張を伴う場合における41条3項の適用においては、「出願公開」を「国際公開」と読み替え、「願書に最初に添付した明細書…」を「国際出願日における国際出願の明細書…」と読み替えることとしている。
 外国語特許出願については、出願公開がされないため(184条の9第4項)、国際公開(PCT21条)がされたときに、41条3項を適用することとした。
 外国語特許出願について、41条3項により後願を排除できる発明は、国際出願日における国際出願の明細書等に記載した発明とすることとした。

・184条の15第4項(先の出願が国際特許出願の場合)
 184条の15第4項は、国内優先権の主張の基礎とされた先の出願が国際特許出願又は国際実用新案登録出願である場合の読み替えを規定している。

 PCT8条 優先権の主張
(1)国際出願は、規則の定めるところにより、工業所有権の保護に関するパリ条約の締約国において又は同条約の締約国についてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができる。
(2)(a)(b)の規定が適用される場合を除くほか、(1)の規定に基づいて申し立てられた優先権の主張の条件及び効果は、工業所有権の保護に関するパリ条約のストックホルム改正条約第四条の定めるところによる。
(b)いずれかの締約国において又はいずれかの締約国についてされた先の出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願には、当該締約国の指定を含めることができる。国際出願が、いずれかの指定国において若しくはいずれかの指定国についてされた国内出願に基づく優先権の主張を伴う場合又は一の国のみの指定を含む国際出願に基づく優先権の主張を伴う場合には、当該指定国における優先権の主張の条件及び効果は、当該指定国の国内法令の定めるところによる。

 先の出願が国際出願で、後の出願も国際出願であるときは、PCT8条(2)(a)のパリ条約の優先権の主張となる。国際出願は、みなし全指定となるので、1の国のみの指定を含む国際出願とすることができないからである。
 先の出願が国際出願である場合において、PCT8条(2)(b)が適用されるのは、後の出願が日本国の国内出願であって、かつ、出願人が国内優先権の主張を選択した場合である。出願人がパリ条約の優先権の主張を選択したときは、パリ条約の優先権の主張として扱われる。

<41条1項及び2項の読み替え>
 41条1項及び2項の先の出願の「願書に最初に添付した明細書…」は、先の国際特許出願又は国際実用新案登録出願の「国際出願日における国際出願の明細書…」と読み替えることとしている。
 先の出願が国際特許出願又は国際実用新案登録出願であるときは、国際出願日における国際出願の明細書等に記載された発明について国内優先権を認めることとしたものである。
 先の出願が外国語特許出願であるときは、外国語書面出願の場合と同様に、国際出願日における国際出願の明細書等に記載した発明について国内優先権を認めることとした。

<41条3項の読み替え>
 41条3項の「先の出願の願書に最初に添付した明細書…」は、「先の出願の…国際出願日における国際出願の明細書…」と読み替えることとしている。
 先の出願が国際特許出願又は国際実用新案登録出願である場合において、41条3項により後願を排除することができる発明は、国際出願日における国際出願の明細書等に記載された発明であることとした。
 41条3項の「出願公開」を「国際公開」に読み替えることとしている。先の国際特許出願は、出願公開がされないからである(184条の9第4項)。

<42条1項の読み替え>
 42条1項の「その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時」は、「…国内処理基準時又は…国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」と読み替えることとしている。
 PCT23条により、優先日から30月を経過する前は、指定官庁は、出願人の明示の請求がない限り、国際出願の処理又は審査を行うことができない。
 国際特許出願のみなし取下げは、国際出願の処理に該当する。
 そこで、国内優先権の主張の基礎とされた国際特許出願又は国際実用新案登録出願は、国内処理基準時を経過するまでは、取り下げられたものとみなされないこととした。

 先の国際特許出願又は国際実用新案登録出願について、経済産業省令で定める期間を経過するのが、国内処理基準時よりも先であるときは、その後の国内処理基準時を経過した時に取り下げられたものとみなされる。
 先の国際特許出願又は国際実用新案登録出願について、経済産業省令で定める期間を経過するのが、国内処理基準時よりも後であるときは、その後の経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げられたものとみなされる。

 もっとも、先の国際特許出願又は国際実用新案登録出願がいずれ取り下げられたものとみなされるので、出願人は国内移行手続はしないはずである。そうすると、この場合は、国内処理基準時が確定するのは、国内書面提出期間が経過した時となる。

 経済産業省令(特施規38条の6の5)
 特許法第百八十四条の十五第四項において読み替えて適用する同法第四十二条第一項の経済産業省令で定める期間は、一年四月とする。



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