Shinya Watanabe 渡辺真也 @curatorshinya連続ツイート「エディプス・コンプレックスとアレキサンダー大王から考えるギリシャにおけるペルシャの影響について その４ ミケーネ遺跡から考える天空の城ラピュタと2001年宇宙の旅」
(ミ1)アテネから足を伸ばして、トロイヤ遺跡を発掘したシュリーマンが発掘し、アガメムノンのマスクが見つかったことで有名なギリシャ最古の遺跡の一つ、ミケーネ遺跡を訪ねて来た。神々しいという言葉がまさに相応しい、風光明媚な本当に素晴らしい場所で、鳥肌が立つ様な場所だった。
(ミ2)伝説上では、紀元前17世紀ころにミケーネを作ったのはゼウスとダナエの子で、メデューサの首を取り、エチオピア王女アンドロメダと結婚したペルセウスとされる。ペルセウスが、アジアから来た一つ目の巨人キュプロクスと、ミケーネの巨石神殿を築いたとギリシャ神話は伝えている。
(ミ3)ペルセウスの名はインド・ヨーロッパ祖語に遡れると言う。またアジア起源の一つ目の巨人キュプロクスは、象の頭蓋骨が一つ目の巨人に見えることから、地質学者オテニオ・アーベルは象が建造に使われた可能性を指摘、また象の骨はミケーネのみならずギリシャの島々でも見つかっていると言う。
(ミ4)ライオンの門をくぐり、山頂に位置する遺跡を歩いていたら、宮崎駿が『天空の城ラピュタ』のモチーフにしたのはこのミケーネ遺跡だろう、と直感した。ギリシャ神話の登場人物の名を冠した映画『風の谷のナウシカ』に続いて、宮崎駿はアニメを通じて、西方のシュリーマンへと応答したのだろう。
(ミ5)ムスカ大佐のムスカとはギリシャ料理の名前だし、するとラピュタを発見したバズーの父のモデルはシュリーマンとなる。ギリシャ文字シータはインドの叙事詩『ラーマーヤナ』のヒロインの名でもあるから、宮崎駿は、ミケーネの古代文明とギリシャ神話がインドと繋がっていると想像したのだろう。
(ミ6)宮崎駿はミケーネ遺跡を建設したこのアジアの巨人キュプロスを、ラピュタではロボット兵として描いたのだろう。これは手塚治虫の「火の鳥」からの影響が伺えるが、興味深かったのは、アガメムノンのマスクが見つかった王の墓には、4枚のモノリスにより守られていたと言う。
(ミ7)アーサー・C・クラークのSF小説『2001年宇宙の旅』シリーズの主人公はフロイド博士、そして発狂するコンピューターの名がHALだ。HALはIBMのスペルを一文字ずつ前倒ししたものだが、これはフロイドがヴァールブルグの病状を精神科医ビンスワンガーに尋ねた時の暗号と一致する。
(ミ8)おそらくアーサー・C・クラークは、精神を崩壊してビンスワンガーのサナトリウムの患者となったヴァールブルグとニーチェを枕にモノリスの謎に迫り、それをスタンリー・キューブリックが映画化したのだろう。そのキューブリックが映画『A.I.』の美術の依頼をしたのが手塚治虫だった。
(ミ9)モノリスの謎に挑むジーグムンド・フロイド、アビ・ヴァールブルグ、ニーチェらが『2001年宇宙の旅』の影の主人公だと気付くと、ゾロアスターを枕にニーチェが書いた『ツァラトゥストラはかく語りき』のリヒャルト・シュトラウスによる音楽的解釈がテーマソングとなった意味が理解できる。
(ミ10)おそらく宮崎駿は『2001年宇宙の旅』からも少なからず影響を受けているだろう。手塚治虫の死に伴い、生前のキューブリックは『A.I.』を完成することができなかったが、宮崎駿のルパンを絶賛したスティーブン・スピルバーグがそれを映画化したことは興味深い。（つづく、かも？）
以上、連続ツイート 「エディプス・コンプレックスとアレキサンダー大王から考えるギリシャにおけるペルシャの影響について その４ ミケーネ遺跡から考える天空の城ラピュタと2001年宇宙の旅」でした。読んで下さった皆様、ありがとうございました。
クレタ島では奇跡的な体験と、歴史的に大変重要と思われる発見をしてしまい、興奮して眠れなかった。岡倉天心、フェノロサ、梅原猛に続く貴重な発見になるだろう。これはぜひ文章にまとめて、世に問うてみたい。
クレタ島の田舎町にあるホテルにチェックインして、近所のカフェや飲み屋を回って、地元の歴史や神話に詳しい老人を紹介してもらった。その老人からはローマ帝国によってキリスト教会にコンバートされたゼウスの聖域を紹介して頂き、まるでドラゴンクエスト実写版かの様だった。