Sunday Song Book #1480

2021年02月21日 | Sunday Song Book

2021年02月21日プレイリスト「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ PART 2」
1. JODY / 山下達郎 "ビッグ・ウェイブ" '84
2. DON'T ANSWER ME / THE ALAN PARSONS PROJECT '84
3. OOH I DO / LINSEY DE PAUL '74
4. FOXY, FOXY / MOTT THE HOOPLE '74
5. GIRL COME RUNNNING / THE FOUR SEASONS '65
6. 芽ばえ / 麻丘めぐみ '72
7. DO YOU REMEMBER ME? / YUKI OKAZAKI '80
8. 二人は片想い / ポニー・テール '76
9. 青空のように ('81 REMIX) / 大瀧詠一 '77
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■内容の一部を抜粋
・近況
達郎さんは曲を書いていて、締め切りを抱えているという。月末までに一曲上げないといけないそうだ。
最近、iPadを買い換えたとか。最新のiPadは画像がよくて、本の解像度が上がり、本を読めるようになった。古い漫画は文庫しか出てなくて、今まで小さくて読みづらかったが、電子書籍の漫画はiPadの大きさがちょうどいいので、防水の袋を買って、浴室に持ち運び、下半身浴しながら漫画を読んでいるという。いろいろな昔の漫画をダウンロードして楽しんでるそうだ。

・ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ PART 2
先週に引き続いて、フィル・スペクターが亡くなったので、フィル・スペクターみたいなウォール・オブ・サウンドを作ってみたい人たちの作品を集めて「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」。そのパート2。今週はリスナーからのリクエストを中心に。今週は聴取率週間だが有名無実となってるので、気にせずやるとのこと。

・JODY
1983年のアルバム『MELODIES』の一曲目に入ってる「悲しみのJODY」はひとり多重録音だが、そうしたウォール・オブ・サウンド、エコーびしょびしょのそういう世界でやってるという。今日はそれの英語版で1984年のアルバム『BIG WAVE』に入ってるアラン・オディ作詞による「JODY」。

・DON'T ANSWER ME
イギリスのほうがフィル・スペクターの影響を受けた人たちが多い。エコーがびしょびしょの音作りというのは、大体それをやりたいという人がいて、それでそういうレコーディングになる。アラン・パーソンズはエンジニア上がりの人。エンジニアからミュージシャンになって大成功した人というのはなかなか珍しい。アラン・パーソンズ・プロジェクトの1984年、全米15位の「DON'T ANSWER ME」。

・OOH I DO
イギリスでは1970年代の前半にフィル・スペクターのリイシューが大々的に行われて、そのせいで1970年代の中頃から一気にフィル・スペクター・クローンが発生した。達郎さんもそのひとり。その中で昔からフィル・スペクター好きだったのがロイ・ウッド(ELO)。当時、ロイ・ウッドと付き合っていたリンジー・ディ・ポールにスペクター・サウンドをやらせた。1974年、全英25位の「OOH I DO」。邦題は「恋のウー・アイ・ドゥ」。
曲をかけ終えて。「リイジー・ディ・ポール。美貌で、しかもキュートな声なので、日本でも大変人気がありますが。然してその美貌と裏腹にですね、曲は自分で書いておりますし、絵の才能もあるという。多彩な人ですけれども。でも恋多き女性でありまして、いろいろな人と付き合っておりますが、この時代はロイ・ウッド。その関係でこのロイ・ウッド趣味いっぱいのシングルが出てしまいました(笑)」と達郎さん。

・FOXY, FOXY
同じく1974年の作品。モット・ザ・フープルはUKのロック・グループ。リード・シンガーはイアン・ハンター。全英33位の「FOXY, FOXY」。この曲のキーマンになったのはエンジニアのビル・プライス。

・GIRL COME RUNNNING
フォー・シーズンズの1965年、全米30位の「GIRL COME RUNNNING」。このあとのシングルが「LET'S HANG ON」でベスト10ヒット。ボブ・ゴーディオ、ボブ・クリュー以下スタッフ、対抗意識ムンムンのトラック。

・芽ばえ
後半は邦楽から。ウォール・オブ・サウンドといっても、エコーがかかっていたらいいのではなく、音の隙間を塞ぐ音の厚さとか、演奏の表現力とか、いろいろなファクターがある。でも、音の厚さとか、隙間を見せない隙のなさが、日本の70年代のフィル・スペクター風の作品にはない。原因は録音技術の遅れだと考えられる。ひとつの例を紹介すると、麻丘めぐみさんのデビュー曲、1972年の「芽ばえ」。筒美京平さんの作曲。イントロのベース、ドラムはフィル・スペクターを意識したものだが、今聴くと音圧が少ない。今日はイントロだけ。
曲をかけ終えて。
これまで聴いてきた洋楽と比べるとドラムが圧倒的に小さい。キーボードもほとんど聴こえない。ストリングスはエコーびしょびしょ。これで歌が前に出る。歌の歌う底の音域を少なくすることによって、歌が前に出る効果を狙っている。当時の歌謡曲のバランスはこれでなくてはいけなかった。エンジニアは達郎さんが尊敬する内沼映二さん。洋楽好きの耳から聴くと、ちょっと物足りないが、今聴くと麻丘めぐみさんの歌がとってもきれいに抜けている歌。オリコン3位、レコード大賞新人賞受賞曲。制作方針が違っていたと言える。

・DO YOU REMEMBER ME?
1980年、YUKIというクレジットで発表された「DO YOU REMEMBER ME?」は加藤和彦さん、安井かずみさんのペアの作品。然してその実態は岡崎友紀さんの作品でオリコン18位のヒット。加藤和彦さんが「BE MY BABY」みたいな曲を書きたいと思って書いた曲。エンジニアは島雄一さん。ワイルドワンズの島英二さんのお兄さん。ちなみに今知ったそうだが、岡崎友紀さんと達郎さんは同い年。

・二人は片想い
ポニー・テール。この当時は二人組。歌っている相馬淳子さんは、のちにRAJIEという名前でソロ・デビューすることになる。荒井由実さんの作詞作曲、編曲は鈴木慶一さん。ムーンライダーズのメンバーなのでドラムはかしぶち哲郎さん。1976年の「二人は片想い」。
曲をかけ終えて。「モノラルであります。これはたぶん鈴木慶一さんの意思ですね」と達郎さん。エンジニアは伊豫部富治(いよべとみじ)さん。達郎さんがCMをやってるときにお世話になった人で、ロック・サウンドの草分け。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドほかたくさんやっている。

・青空のように ('81 REMIX)
日本におけるウォール・オブ・サウンドの志向は大瀧詠一さんにとどめを刺す。大瀧さんと達郎さんの二人で、吉田保さんというミキサーを挟み撃ちにして、こうしたエコー大会の千本ノック。吉田さんもリバーヴが嫌いじゃないんで、それのおかげでいわゆるナイアガラ・サウンドと呼ばれる分厚い音が作れた。大瀧さんのリクエストでいちばん多かったのは「青空のように」だったという。1977年のシングルで、アルバム『NIAGARA CALENDER '78』の収録曲。モノラル・ミックスにリクエストがあったけれど、モノラル・ミックスはプロモ盤しか出ておらず、達郎さんも探したが出てこなかったという。次の機会にとのこと。達郎さんの考えるベスト・ミックスは1981年に大瀧さんがリミックスした'81 REMIXだとか。これは全体的にミックスが真ん中に寄っていて、限りなくモノラルに近い。ストリングスは達郎さんが担当している。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2021年02月28日は「棚からひとつかみ+リクエスト」
http://www.tatsuro.co.jp

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