【 Photo by Keiko Aoki 】
蝉が夏に
青以外の色をつけて
線香花火が
夏の昼間を瞬かせて
夏の青を
より引き立たせるために
雲はより白くなっていく
すべてが違う
夏の欠片が集まって
今年物語の夏を
描きあげていった
今年の夏に
祈る願いは
もうなくなったけれど
去ろうとする夏に
手渡しておきたい
未練はまだここにある
慌てて走り去る
夏の後ろ姿を見た気がしました
襟足に汗のキラキラをつけた
少年のような後ろ姿でした
青の奥に秋がいます
青のむこうから
秋の匂いが流れてきます
もう隠れるところの
なくなったボクは
秋から何をもらって
秋のどんな色を纏って
また生きていくのだろう
あなたとの夏が
また遠くなっていきます
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