【 Photo by Tokuyuki Takashima 】
窓の外を見てたら日がくれてきた
もうカラスも飛ぶのをやめたようだ
いつもボクがいれるコーヒーは
香りはそんなに強くないけれど
後味だけはずっと残るヤツで
行ったことのない
街の名前がついている
子どものころから食べてた
ビスケットとコーヒーをあわせれば
なぜが今が春だったことを
思い出す
華やかなものが
街にならぶのが春ならば
今日のボクは春らしくなくて
グレーな空と
グラデーションして混じって
陽のない席に少しずつ移りながら
暗い空の明るい部分をのぞいてる
音のするものを全部オフれば
窓の外から入ってくるのは
ようやく緑になった葉が
雨に打たれる音と
車の音が合わさった
晴れてない春の日の音
コーヒーの残り香はまだ続いていて
春もまだまだ続いている
すごくもないけど
悪くもなかった今日の夕暮れ
すごく立派になった並木の緑は
ずっとしらんぷりをしたままだ
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【 Photo by Keiko Aoki 】
最近のお気に入りは
駅の近くのパン屋さんの
堅い生地に
ソーセージの入ったパンを
必死にちぎっって
カミカミしながら
空を見ること
少し色が変わりはじめた
午後の空は
ヤバイほど堅いパンを
こんなにおいしく創った
職人を褒めるように
赤くなっていく
サケヲヤメマシタ
友のメールは
カタカナが寂しくて
ボクモ ソロソロ ヤメタイ ノデス
と書いたけど
アリフレタ言葉には
空の色を変える力はなかった
パンを一本カミ終わったら
誰も汚してない空があって
パンと空と
どっちが今日の
ハイライトだろうと
思っているうちに
ひとりの夜の入口が
大きく口をあけていく
今日も空はあった
きっと明日も空はある
マタ ノミ マショウ
この言葉を言わせてくれない
友の強さに震えながら
友のひとりの夜を思ってみる
今日も夜はくる
きっと明日も夜はくる
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【 Photo by Kenji Oouchi 】
自分よ ボクよ
今夜はどうしますか？
こっからは
アンタの時間です
ひとりだから
飲む酒はいけません
ひとりを楽しむ
酒ならgoodです
誰かと手を
つなぎたいからって
自分とつないじゃ
いけません
違う体温が
伝わってくるから
自分以外の命を
感じられるのだから
ひとりだったら
やわらかいソウルの
靴をはきませう
つきあげてくる
台地の強さを
少しでも感じないように
ひとりの夜は
誰とも
もちろん自分とも
戦ってはいけません
どちらかといえば
負けの方に足をいれてる
自分にやさしくしましょう
せっかくだから
夜桜でもどうですか
今ひとりなのが
さみしいのか
楽しいのか
きっと桜が教えてくれます
ひとりって何でしょう
さみしいってどんなでしょう
きっとボクよりも
少しだけ早く
その答が
わかっちゃった桜が
今のボクが
どんな所でもがいているかを
教えてくれるでしょう
春ですね
そう春なんです
そう
全部が春で
全部がボクなんです
春らしい
うすら寒い夜です
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