My Blue Heaven Missing link

魅力的な写真とそこからイメージした詩をお楽しみください。

can you imagine

2024-03-12 20:17:32 | Shun Kudo

 

春               

 

この季節がはじまろうとすると

少しづつずれながら

らせんを描いて

いつでも過去がやってくる

 

でもそのとき必ず ぬるい風がふいて

さあ心をほどけと言ってくれる

 

澄んだ空を見あげると

イマジンが聞こえてくる

まるで心の奥の奥を

確認するように

 

can you imagine

 

ひとつ深呼吸して

明日を思ってみる

もうひとつ深呼吸して

次の春を思ってみる

 

きっとそれが

いまの きょうの わたしだ

 

イマジンが終わって

リフレインされて 

またはじまって

 

 

去年とちがう春が 満ちていく

 

 

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まだ春に慣れそうにない

2024-03-01 20:09:24 | Shun Kudo

 

もう咲く頃だけど、まだ見ていない

あたらしい栖になったこの町で

まだ白木蓮を見ていない

 

出会ったのは

あの町ではじめての冬の終わりごろ

スッと空を見上げ

指さきを天へとのばした姿が

大理石の美人のようだった

 

もう咲いてていいはずなのに

まだ出会えない

静かな住宅街の

どの角を曲がっても

どこまでも行っても

 

わかっている

なにも考えずに

道を歩けていないから

角をまがったところで

ぶつかりそうになる

映画のような出会いが

やってこないのだと

 

あの木だって

春がはじまろうとしてるのに

道ばたの花もふくらんでるのに

すべての準備が終われば

春になってしまうのに

 

もう気づいている

梅が散りはじめてるから

バス停に立っている子の

マフラーが取れたから

いまこの瞬間に

落ちはじめた白木蓮の花を

自転車が踏み潰しながら

走り抜けていることを

今年は会えないだろうということを

 

にび色の夕空が合図なんだろう

きっと一日か二日たてば

突然、まっ青な春空がくるからね

 

そうしたらきっともう白木蓮はいないんだ

私にはその風景が見えている

すべてが幸せそうになった町に

少しだけモノトーンの

ため息が漂っているのが

 

あなたに会えなくなって

九年がすぎて

会えないことに慣れたのに

 

白木蓮に会えない春には

まだ慣れそうにない

 

 

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