【 Photo by Shun Kudo 】
言葉が
人を傷つけることも
愛を終わらすことも
そして
戦争を起こすことにも
気づかずに
飾りつけた言葉に酔い
意味のない言葉に悩み
喜びそうな言葉に笑い
生きてきた
だから
言葉を
すててみた
テレビも
ラジオも
ケータイも
ない
モノトーンの
ピアノが響く
無言の世界に
ただただ充ちて
そうして
浮かび上がってくる
言葉にならない言葉を集めたら
きっとあたらしい
詩がはじまるだろう
きっとそれが
ありのまま
自由に空をとび
時の流れと息をあわせ
川とともに流れてゆく
ありのままに
ただあるままに
目標もなく
終点もなく
ただ
愛を
知るために
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【 Photo by Shun Kudo 】
がむしゃらに生きてきた
そうなろうと したことがあった
いやきっとがむしゃらだった
きっとそうだったと信じたい
でも 本当は どうだったのか
わからなくなっている
わすれはじめている
自信がもてなくなっている
あの時を そう呼ぶのだろうか
寝なかった
損得なんかじゃなかった
何よりも大切だった
楽しかった
けれど
きっと 解剖しても わからない
燃やしてみても わからない
でも 言えることは
若かったからではない
誰のためだったのでもない
すべて その時を 必死に生きた
もしそれが ボクの真実だとしたら
それは ボクの人生 唯一の 絵画だ
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【 Photo by Keiko Aoki 】
夕方
消え去ろうとする
今日の
フェードアウトのはじまり
この瞬間
ワタシに
自由がやってくる
泣いても
笑っても
叫んでもいい
だから自由
今日を越えられたから
今一番スキな歌を唄う
ああぁ自由
今日が苦しかったんじゃなくて
ただただ終わった
それがうれしい
だからとっても自由
めったに感じない自由が
ひとつでも手に入れば
自由は夕陽といっしょに
ワタシに入り込んで
そして
終わった今日を溶かしていく
こうして
ワタシの自由は
またワタシとつながる
瞬間へと飛んでいく
早くまた
ワタシをみつけて
ワタシの自由
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【 Photo by Kenji Oouchi 】
花が変わった
それは
季節がわりの
報告か
静かにおちてくる
雨をうけながら
花は
命に
みちたりる中
花が気づいた
変わりめに
気づかないまま
ボクはまだ
変わりめを探して
すき間のない曇だけの空を
見つめている
生きるって
そんなことだと
誰かが詩に書いた
その詩を読んで
誰かが
生きるってことを
はじめて考えた
そして
詩人の
生きるは
誰かのものになって
また変わりめと
花をさがして
生きるを
教わりにいく
花は
誰にも
気づかれない所で
命と
終わりと
変わりめを
ただ見せつづける
誰のためでもなく
誰の願いでもなく
ただ自分のために
しずかな雨の中で
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【 Photo by Keiko Aoki 】
雲の行方を
じっとみている
考えるのをやめて
悩むことをすてて
忘れながら生きて
都合よく忘れる努力をして
止まれないないから歩いて
止まるのがこわいから走って
言葉で過去を消そうとして
消えた思い出をまた言葉にして
暑いから汗をかくように
哀しいから涙をながしている
ねえ雲
どっちがいい？
まだ何もきめてないけれど
この近くだったら
暮れかかった陽のあたりがいい
まだ蒼みが残る空に
月が出て
楽しげだったピアノが
ゆったりと時を刻めば
きっと決められる
今のボクと
明日のボクと
未来のボクの
どれを愛するかを
ほぼ群青になった空に
今日の未練がとけていく
ボクはどこからきたのだろう
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