2016全仏オープン 錦織圭vsリシャール・ガスケ戦なんて、とてもまともに見られるわけないだろ! その2

2016年06月01日 | テニス

 前回(→こちら)の続き。

 「昔はよかったなあ」

 錦織圭の活躍に、なぜかそんな時代に逆行したため息をつく私。

 スーパーヒーロー錦織圭の才能は、われわれ「玄人」のテニスファンの予想すら、はるかに超えるものだった。

 グランドスラム決勝進出という、その瞬間彼の全身の骨が折れてキャリアが終わっても、充分すぎるほどの偉業を達成したのにもかかわらず、それだけではないどころか、むしろそこからがスタートだった。

 世界ランキングはシード権がどうとかなどフっ飛ばしてトップ10入り。どころか、最高4位にまで達する。

 ツアーは3とか4どころかすでに11勝。マスターズ準優勝が2回。日本人には鬼門のクレーの大会でも優勝している。

 デ杯はワールドグループ進出どころかベスト8に入った。グランドスラムもベスト8は目標どころか、今では「そこからいくつ勝てるか」が課題だ。

 正直、ここまでとは思わなかった。「見る目ないなあ」と笑われてもけっこうだが、でも予想できた人もそんなにはいなかったのではないか。いたとしても、どこか「希望的観測」だったはずだ。

 だからこその『テニスマガジン』の「速すぎる」発言なのだ。「ゆえに、我々がまだついていけてない」と。

 その証拠に、今でも彼の試合を見ると感覚が狂う。

 たとえば、最近勝った相手に、ロベルト・バウティスタ・アグートやアレクサンドル・ドルゴポロフといった選手がいる。

 ロベルトは最高14位で2014年には「ATPツアーでもっとも上達した選手賞」を獲得。アレクサンドルは最高13位でデビュー時から天才肌と評判だった。

 ふたりとも、すごい選手なのである。世界のトップ、一流のアスリートだ。

 日本ではあまり知られていないとはいえ、テニスファンなら彼らのことをリスペクトこそすれ、その力を疑うことなどないはずなのだ。

 その選手を、錦織圭はいとも簡単に倒してしまう。

 これまでなら、ロベルトもアレクサンドルも雲の上の存在。日本テニス界が望んでも、とてもじゃないが届くことのない綺羅星のごとき男たちだ。

 それを、6-2・6-3みたいなスコアで、あっさりとやぶってしまうのだ。

 それだけじゃない。ビクトル・トロイツキやフィリップ・コールシュライバー、アンドレイ・クヅネツォフといった面々にも、ふつうにストレートで勝つ。

 見ていて、目が点になる。あれ? 彼らって、こんなに弱い選手だったっけ?

 実際、ファンの中には本当に彼らを「たいしたことない」と思っている人もいるかもしれないが、もちろんそんなわけはない。

 そう、少年漫画のセリフのような話だが、彼らが弱いんじゃない、我らが錦織圭が強すぎるのだ。

 信じられないが、そういうことなのだ。

 もちろん、いまだビッグ4が君臨し、他にも強力なライバルは山ほど存在するが、それでも十分に奇蹟が「起こってもおかしくはない」位置まで来た。

 ここで話は冒頭のセリフに戻る。

 昔はよかった。まだ錦織圭がトップ50とか30とか階段を上がっている最中なら、ここまでハラハラせずに試合を楽しめた。



 (続く→こちら



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