山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

山に行けない日々は

2016-01-31 16:25:36 | 書籍
毎年この季節になると仕事漬けの毎日となって山歩きを諦める。
そんな時は愛読書が唯一の友となり、その時々の自分の心のありようで手に取る本も変わってくる。

山へタイムスリップしたいときは『深田久弥選集 百名山紀行』がいい。
この本を読みながら、久弥とともに稜線を歩き頂きに立って四周の大観に思いを馳せる。
北アルプスは先鋭で派手、颯爽とした英雄だとすれば、南アルプスは重厚で地味、鷹揚で野暮ったく胆の据わった豪傑である。
前者は直ちに人を魅了するが、後者はその魅力を理解するまでに時間がかかる、対照的な北アと南アを明晰に言い表している。

峪に分け入って岩魚を喰いたくなった時は『大イワナの滝壺』を読みながら峪に遊ぶ。
昭和30年代~40年代、殆ど情報のない人跡未踏の峪を大イワナを求めて山深い難ル-トを遡行する釣行記。
この本を読んでいると男の誰もが秘めている冒険心や探検心が沸々と湧いてくる、これはすこぶる危険な本である。





涙を流して心晴れやかになりたいときに読むのは『未踏峰』

溜りに溜ったストレスを一気に爆発させて雲散霧消させたいときには『光の山脈』がいい。
愛する者たちを傷つけられ辱められた若き猟師は、豪雪と蒼氷の南アルプスに立てこもり
猟銃と愛犬と山の経験と知恵を武器に悪辣な暴力集団と壮絶なサバイバル戦を繰り広げていく。





心がほっこりなりたいときは『ヤッさん』
公園を寝ぐらにする誇り高きホ-ムレスのヤッさんは築地市場と高級料理店を行き来して生活する。
驚くべき食の達人で、人情と男気あふれるヤッさんの哲学と生き方が痛快でおもしろい。





この時期は旨い酒に酔って、寝床に潜り込み目を閉じる瞬間が一番幸せを感じる時かもしれない。
あと二週間もすれば不眠不休の1か月が始まり、愛読書ともしばらく会えなくなるだろう(寂しい)





春の訪れが待ち遠しいですね!
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秀麗富嶽十二景

2016-01-18 00:52:20 | 山歩き.散歩
甲州には秀麗富嶽十二景に指定された山が12座ある。
中でも五百円札に描かれた富士の撮影場所である雁ケ腹摺山がその雄であろうか?
山名が日本一長い牛奥ノ雁ケ腹摺山も良いが、今回は奈良倉山で富士を眺めよう。
鶴峠からのCTは1時間20分となっているが、最後の急登の15分というのは何かの間違いでとんでもなく長くてきつかった。





急に思い立って向かったので山頂に辿り着いたのは1時を過ぎていた。
雪を頂いて輝く富士が美しかったのだけれど、逆光に邪魔されてうまく撮れない。





牡蠣ときのこのアヒ-ジョでビ-ルをやりながら、後から登ってこられた老夫婦と山の話に興じる。
アヒ-ジョのソ-スでバケットを食べようと用意していたのに車に忘れてきてしまったのが何とも悔やまれる。





芹をたっぷり使った寄せ鍋、簡単なのに熱烈に旨し!
バケットを食べる積りだったので煮込みラ-メンもなし、やはり穀物がないのは何とも寂しい!





午後3時、下山の途中で三脚を担いで登ってくる僕と同年輩の方と出会って30分ほど話し込んだ。
山岳写真家の白籏史郎の富士の写真に魅せられて10年ほど富士を取り続けているそうで
この写真は、第十四回秀麗富嶽十二景写真コンテストで最優秀賞を受けたものだそうです。
何でも年に100回ほどは富士を撮りに山に登るそうで、
この写真は雁ケ腹摺山でブリザ-ドの中で夜を耐え、翌朝のほんの一瞬の雲の切れ間を狙った1枚なのだそうです。


(三浦義朗さん撮影)

いやいや感動的な写真というのは腕の良し悪しもさることながら、何度も何度も足を運ぶことで
偶然に自然から与えられたシャッタ-チャンスをものにするという執念の賜物なのだと思い知らされた気がします。


コメント (26)
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初山詣で

2016-01-04 15:28:54 | 山歩き.散歩
心新たに新年を迎えられた皆様に謹んでお慶び申し上げます。
今年1年が皆様にとって大いに充実した幸多き日々になりますよう心よりお祈り申し上げます。

僕は毎年恒例になっている初山詣でに行って参りました。
先ずは庚申塔に赤鬼を供えて無病息災と今年の山の安全を祈ります。





子供の頃から踏みなれた登山道を歩いていると、いつの間にか心が穏やかになっていくのが分かります。





40分ほど登り続けると、僕のお気に入りの穏やかな尾根道が先へ先へと続きます。





遠く双耳峰が目に入ります、右の山がこれから向かう石砂山(いしざれやま)、左が峰山(みねやま)です。
手前の尾根の鞍部、小さな針葉樹林の右側が石砂と菅井への分岐、そこから右に伸びる石砂への稜線を辿り最後の急登を登ります。





石砂直下のクヌギ林から仰ぐ新春の空、ヘルニアの痛みもなくて気分爽快です。





樹間から望む富士、加入道山に隠れた半身の富士もなかなか乙なものでございます。
一番手前の大きな山が大室山、今年は霧氷を愛でに行きたいなあ。





ちょっと歩き足りなくて、篠原の登山口まで往復2時間を歩いてからいつものベンチで山飯です。





今年もこんなゆるゆるの山を楽しみたいと思います。
今年こそは月2の山歩きを続け体を十分に山に慣らしてから
9月の黒部周遊の山旅に向かいたいと考えています。





地球は本当に美しい!
そしてあまりにも小さい!
だから大切にしなければ!
宇宙飛行士の油井さんは宇宙船から地球を見てこう言われました。

この小さな地球に棲む多くの人たちは、おそらく善良で良識を備えた人たちであろうと信じます。
それでも国と国との政略や利害の対立や憎しみ、思想や宗教の違いによる戦争やテロは決して絶えることがないと思います。
人間の欲望から生まれる自然破壊も少しずつ進み、私たちの生存に不可欠な水や空気や食料もいずれ手に入らなくなるかもしれません。
私たち一人一人がどう足掻いても、知恵を絞っても、立ち上がって声を上げても見えない大きな力には到底太刀打ちできないでしょう。

だから僕は諦めることにしました。
私たちはテロや争いに巻き込まれて命の危険に晒されるかもしれません。
大地震に遭遇して命を落とすかもしれません。

私たちにできることは
家族や友人や自分と関わるすべての人たちと良好な関係を保つこと
自分に与えられた役割を誠実に遂行していくこと
自然に親しみ、なるべく傷つけないようにすること

本当に情けないほど小さなことだけれど、、、、、

コメント (28)
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