『エナジー・ヴォイド』
新見 隆・・・日本のグローガルアート十選より(日経)
新見隆の十選がスゴイ、最初の福田平八郎からズキンと来るものがあったけど、イサム・ノグチの『エナジー・ヴォイド』に至って、ああ、やっぱりの感。
花崗岩、360×300×90㎝って相当な大きさである、にもかかわらずマンハッタンにこれの3倍の大きさにして据えたかったという作品。
ここを通る時に感じる霊感、傾斜した開口には恐怖というか畏れがある。ここには密度の濃いエネルギーが潜んでおり、開口の風は魔の香りに満ちている。ブラックホールにも似た強力な吸引力は神がかり的な呪術を思わせる。
日本的かもしれない、鳥居をくぐる時に感じる神秘、霊感、異世界への誘い。
岩を掘る、こちらからあちらへと空間をつなげる媒体。一歩踏み入れるにはよほどの勇気と決心がいるのは、あちらには見えない闇が存在しているからである。未知との遭遇を誘う装置、まさに神の領域と言ってもいいかもしれない。微妙な傾斜が現実世界の潜在的な不安を表象しており、以下でも以上でもない心理的な計算を基にした形態(傾斜)である。
ここを通る時は、否、通ることを阻む超空間である。
写真は新見隆「日本のグローカルアート」より(日経新聞)
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