続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『礼節の教え』

2017-02-25 07:01:12 | 美術ノート

 『礼節の教え』

 晴天でも荒天でもない曇り空、大地はどこまでも平野が続いているという景の中の《巨石と大樹》の並置である。

 巨石(無機)と大樹(有機)、普遍(死を迎えないもの/地学的に長いスパンでは循環は有るかもしれない)と輪廻(生死を余儀なくするもの)である。
 互いに領域を犯すものではなく、共存を前提とした世界にあるが、対照的に比較しうる要素を必要としない。なぜなら硬質である岩石に樹木が生えることも育つことも不可能だからである。
 岩石が倒壊すれば樹も倒壊するかもしれないが、地中の根が再びの芽を用意するだろう。そして樹は、何をもってしても岩石に対抗する術を持たない。

 巨石と大樹には、精神界に属さないという共通項があり、ただ宿命のままに存在するだけである。意志は抑制制御されているというより、《無》に他ならない。

《ただ、在るがままに存在し、存在価値は等価である。》
 これが『礼節の教え』の基本である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『城』2563。

2017-02-25 06:27:04 | カフカ覚書

わたしたちは、償いをすることなど自分たちにはできっこにということを知っていましたし、また、わたしたちがお城とのあいだにもっている有望なつながり、つまり、父に好意をもっていたソルティーニとのつながりもこの事件のために手のとどかないものになってしまったということも承知していました。


☆わたしたちは、償いをすることなどできないということを知っていましたし、またわたしたちが死にむすびつける唯一の答えとのつながりもこの事件のために立ち入れないものになってしまいました。