はっと気づくと、小論文の締め切りが近い。なのに、テーマが何だったのか思い出せない。
「・・・」
しばらく考えてやっと・・・(ああ、そうだ『固執』だったっけ)
固執・・・。
すべてがこんな風であり、部屋の片付けよりも頭の片付けがとっくの昔に空洞状態になっていることに気づく。
「思い出そうとするだけでも脳は活性化されます」という脳科学者の言葉に甘えてはいるけれど、身体全体がゆっくり衰退していくのを実感する昨今であれば、すでに再起、回復の階段は崩落しているような気がする。
あの物はどこへ行ったんだろう、今ここにあったはずなのに、確かにこの目で見たのに消えてしまった。
(そんなことがあるはずがない!)
さんざん探し回ったあとで、確かに《ここ》にあったというようなことが再三起きると、自分自身にさえ確信が持てなくなる。
『固執』
人間が最後まで失わずにいるものは自分自身である。その自分への確信が薄らいでいくとき、人は人の資格を欠いてしまう。
固執とは記憶かもしれない。何としても放してはならないそのものへの欲望・・・。
固執は忘却力の増進に反比例していくけれど、その強弱に於いては推測の域を出ない。
「忘れたいのに、思い出せない」というギャクがあったけれど、忘却力の増進に関しては一笑に付す気楽さで、そのこと(忘却力の増進)自体を思い出したくない。
「・・・」
しばらく考えてやっと・・・(ああ、そうだ『固執』だったっけ)
固執・・・。
すべてがこんな風であり、部屋の片付けよりも頭の片付けがとっくの昔に空洞状態になっていることに気づく。
「思い出そうとするだけでも脳は活性化されます」という脳科学者の言葉に甘えてはいるけれど、身体全体がゆっくり衰退していくのを実感する昨今であれば、すでに再起、回復の階段は崩落しているような気がする。
あの物はどこへ行ったんだろう、今ここにあったはずなのに、確かにこの目で見たのに消えてしまった。
(そんなことがあるはずがない!)
さんざん探し回ったあとで、確かに《ここ》にあったというようなことが再三起きると、自分自身にさえ確信が持てなくなる。
『固執』
人間が最後まで失わずにいるものは自分自身である。その自分への確信が薄らいでいくとき、人は人の資格を欠いてしまう。
固執とは記憶かもしれない。何としても放してはならないそのものへの欲望・・・。
固執は忘却力の増進に反比例していくけれど、その強弱に於いては推測の域を出ない。
「忘れたいのに、思い出せない」というギャクがあったけれど、忘却力の増進に関しては一笑に付す気楽さで、そのこと(忘却力の増進)自体を思い出したくない。