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熱海 MOA美術館

2017年03月07日 | +静岡・愛知

11か月の改修工事を経て2月5日にリニューアルオープンした、熱海のMOA美術館に行ってきました。国道135号から細くて急な坂道をうねうねと上った、海の見える高台にあります。JR熱海駅から路線バスも出ています。

展示スペースを設計したのは、現代美術作家の杉本博司さん。日本の伝統素材と最新技術を取り入れた、シンプルでクールな空間でした。現在、当館が所蔵するコレクションから厳選し、3月14日まで「リニューアル記念名品展+杉本博司『海景―ATAMI』」が開催されています。

リニューアル間もないこともあって、多くの来場者でにぎわっていました。

エントランスを入ると、広々としたロビーから熱海の海が一望のもとに見渡せます。

国宝 紅白梅図屏風 尾形光琳 江戸時代 18世紀

日本・中国の東洋美術を中心に、絵画、書、工芸、彫刻の逸品を所蔵するMOA美術館。その中には国宝3件、重要文化財66件、重要美術品46件が含まれるというから驚きます。特に知られているのは、尾形光琳の「紅白梅図屏風」。美術の教科書でもおなじみですね。

私は2年前に根津美術館の光琳展で鑑賞する機会を得ましたが、早くも再会できてうれしいです。梅の季節に見る紅白梅図はまた格別です! MOA美術館では毎年この時期だけ、この作品を展示しているのだそうです。

国宝 色絵藤花文茶壷 野々村仁清 江戸時代 17世紀

作品はほとんどがガラスケースに収められていましたが、低反射の特別なガラスが使われていて、目の前にガラスがあるとはまったく気がつかないほど。うっかり頭をぶつけてしまいそうです。ガラスケースの正面(つまり鑑賞者の背後)は黒い漆喰塗の壁で区切られていて、ガラスへの映り込みがないよう配慮されています。

そして日本の美術館にはめずらしく、紅白梅図屏風をふくめ(杉本氏の作品以外)すべて撮影可能となっていました。黒を基調としたシンプルな空間は美術品を最高の状態で鑑賞できるよう設計されていて、ライティングも細やかに計算されているのを感じました。貴重な日本画や伊万里の名品、漆工芸など、眼福の時間をすごしました。

このほか館内には、豊臣秀吉の黄金の茶室を復元したものや、能楽堂もありました。ここでアルゲリッチのピアノコンサートも開かれるそうですが、特別な体験ができそうですね。

本館から日本庭園に出ると、水の流れに添って紅白梅が植えられていました。紅白の配置は逆ですが、枝ぶりが光琳の絵とそっくり! この前には尾形光琳の屋敷を復元した建物があります。竹林もあって、のんびり散策が楽しめました。

本館のエントランスを出て海の方へと階段を下りていくと広場があり、ヘンリー・ムーアの「王と王妃」が海を眺めるように展示されています。その横になにやら建物の入口があったので入ってみました。

宇宙船のような通路をエスカレーターで下りていくと、ドーム型のホールがあり、天井に万華鏡のプロジェクションマッピングが投影されています。世界的な万華鏡作家、依田満・百合子さんの作品だそうです。刻々と変化する模様はいつまで見ていても飽きない美しさでした。さらにエスカレーターを下りていくと、バス乗り場に出ます。

再び本館の方にもどって、階段の上から海を眺めました。左寄りの向こうに初島が見えます。吸い込まれそうな青い海に心が洗われました。

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