この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

展開にメリハリが無さすぎる『ビバリウム』。

2021-03-14 16:39:27 | 新作映画
 ロルカン・フィネガン監督、イモージェン・プーツ主演、『ビバリウム』、3/13、中洲大洋劇場にて鑑賞。2021年12本目。

 本作は人知を超えた存在によって「ヨンダ―」という名の住宅地に閉じ込められてしまったカップルのお話です。
 人知を超えた存在によって超常的な空間に閉じ込められてしまうお話は昔からよくあります。
 子どもの頃に見たNHKの人形劇の『笛吹童子』にもそういったエピソードがあったような記憶があります(うろ覚えですが)。
 『ドラえもん』にもそういうお話がありましたよね。
 10月にリメイクが公開される『CUBE』もその亜流であると言えるでしょう。
 少しズレているかもしれませんが、「ダークシティ」も「ダークシティ」という脱出不可能な超常空間を舞台にしたお話です。
 それらの作品に共通するのは登場人物たちが単に超常空間に閉じ込められるというだけでなく、そこから何らかのツイストがあるってことです。

 しかし、「ビバリウム」はトムとジェマのカップルが超常的な住宅地に閉じ込められてしまった「だけ」のお話なんですよね。
 二人は人ならざる赤ん坊を育てることになるものの、やはりそれだけ。
 そのことで何かしら驚くような展開や結末があるわけではありません。
 『ビバリウム』は世にも奇妙な物語であれば30分で済むお話を無理やり90分に引き伸ばしたような映画でした。
 こういうテイストの映画は嫌いじゃないし、地平線まで続く、悪夢のような住宅地のヴィジュアルはむしろ好みではあるのですが、如何せん展開にメリハリが無さ過ぎました。

 冒頭、カッコウの托卵シーンがあるのですが、それも本作を上手く比喩しているようには思えません。
 托卵ってあくまで自分とは血の繋がっていない子をそうとは知らず育てることであって、本作のように無理やり子育てを強いられることではないと思います。
 そういういい加減な比喩も作品の評価を低くする一因です。
 監督は上手い例えになった!とでも思っているんですかね?

 お気に入り度★★、お薦め度★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント
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