医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

チェルノブイリ原発事故後のガンの発症

2011年04月28日 | 
1986年のチェルノブイリ原発事故後20年間のガンの発症については有名な論文がありますので、過去から学ぶという意味でもご紹介したいと思います。この論文は関連する論文50編以上をまとめたレビューです。

Cancer consequences of the Chernobyl accident: 20 years on
J Radiol Prot. 2006 Jun;26(2):127-40

(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

ヨウ素131は半減期が8日と比較的短いのですが甲状腺が特異的に被曝を受けるため、子供たちの間にガンや機能障害などの深刻な影響をもたらしました。

まず、上の図はチェルノブイリ原発事故後20年間の甲状腺ガンの10万人あたりの発症数を示したものです。黒の実線は発生当時の年齢が14歳までの子供、青の点線は15歳から18歳まで、グレーの実線は19歳~34歳です。事故発生4年後ぐらいから発症が増えていますが、子供はその後発症率は減少している反面、それ以上の年齢では増えています。幸い致死的なものは少ないそうです。

35歳以上での甲状腺ガンの発症に関しては、発症率の上昇は明らかでないと以下のように本文に書いてあります。
While the increased risk of thyroid cancer in those exposed in childhood and adolescence
is well demonstrated, the effect of exposure on adults remains unclear.

白血病に関しては、ウクライナの研究では原発事故による発症の増加は明らかになっていますが、ロシアとベラルーシュの研究では関連性は認められていません。従って結論を出すには至っていないそうです。原文では次のように書かれています。
Thus, the current information is scant and conclusions cannot be drawn about possible increases
in childhood leukaemia following the Chernobyl accident

その他のガンの発症については、これまでのところは原発事故で上昇したというデータはないそうです。原文では次のように書かれています。
Today, nearly 20 years after the Chernobyl accident, the large increase in thyroid cancer
incidence among those exposed in childhood and adolescence continues; fortunately, few of
these have been fatal. In contrast, at this time, no clearly demonstrated increase in the incidence
of other cancers can be attributed to radiation exposure from the accident.

これらの結果からは、今回の福島原発事故では34歳以下の甲状腺ガン・白血病の発症に注意を向けるべきだと思います。

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1 コメント

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真実は? (Tarol)
2011-05-02 16:41:29
ここに書かれている事通りかなと最近まで思ってたけど
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html
ここを見つけてからは全然違うやないかいと疑問をもつようになった。
作業員の早老化とか悲しい…
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