追憶の彼方。

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慈善資本主義

2017年09月02日 | 政治・経済
アメリカで2011年に盛り上がった「ウォール街を占拠せよ!」運動。そのスローガンは、「We are the 99%!」(私たちは、99%だ!)であった。
その意味する所は「トップ1%はますます豊かになっているが、残り99%は、ますます貧しくなっている!」。
このスローガンを裏付けるデータが発表されている。

貧困撲滅に取り組む国際NGO「オックスファム」は、1月17日から20日までスイスで開催される世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に先がけて、格差問題に関する最新の報告書「99%のための経済(An Economy for the 99%)」を発表した。そこでは、富める者と貧しい者の間の格差は、これまで考えられていたよりも大きく、世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有していることが明らかになったとレポートしたのである。
「世界では、10人にひとりが一日2ドル以下でしのぐことを余儀なくされている中、ごく一握りの人たちが莫大な富を有している。格差拡大は、何億もの人々を貧困の中に封じ込め、社会に亀裂をつくり、民主主義をも脅かしている。世界は今、99%のための経済を必要としている。各国政府は、労働者に適正な賃金が支払われるよう保障し、租税回避を阻止するだけでなく、競って法人税減税を推し進めるようなことをやめるために協力、協調しなければならない。そして、株主の利益だけでなく、従業員の利益と社会への貢献を考える企業への支援を惜しんではならない。」と警告を発している。

フォーブスの長者番付によると、上位8人の億万長者は以下の面々だ。
1位:ビル・ゲイツ(マイクロソフト社創業者)  
2位:アマンシオ・オルテガ(スペインの実業家。ZARA創業者)
3位:ウォーレン・バフェット(投資家)
4位: カルロス・スリム・ヘル(メキシコの実業家。中南米最大の携帯電話会社アメリカ・モビルを所有)
5位:ジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者)
6位:マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)
7位:ラリー・エリソン(オラクル創業者)
8位:マイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長)
レポートによると、上位8人の資産は合計で4.26兆ドルで、全人類の下位半分の資産に匹敵する。「大企業と超富裕層が税金を逃れ、賃金を下げ、政権に影響を与えることによって、いかに格差の広がりに拍車をかけているかを詳述している」と解説した。
世界経済を牽引するリーダーが毎年ダボスに集まる。自分たち自身と自分たちが経営する企業による公正な税負担、そして被雇用者への生活賃金の支払いを約束することこそその責務である、と訴えている。
ダボス会議常連の超富裕層は格差が拡大することを真剣に恐れ始めている。

米 マイクロソフト の共同創業者ビル・ゲイツ氏と投資会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、2010年に出した「ギビング・プレッジ(寄付誓約宣言)」で話題を呼んだ。世の中の超富裕層に富の大半を寄付するよう呼びかける取り組みだが、これが契機となって富裕層の間で前向きに社会還元しようという意欲をかき立てる一助になったと言われている。
今年のダボス会議直後にMS社創業者のビルゲイツの財団がウオーレン・バフェットから譲渡された「バークシャー・ハサウエイ」社株6千万株時価96億ドルを売却し慈善事業に寄付すると言う景気のいい話が新聞紙上を賑わした。この二人に加えフェイスブック創業者のマーク。ザッカ―バーグ氏も自社株の99%を慈善目的に使うと表明している。

宇宙開発・疾病撲滅・社会改革等自分の関心ある分野に貢献したい。政府や国際機関が行うべき分野に踏み込みその規模は小国の国家予算を超える金額に達しており、寄付で社会を変える謂わば「慈善資本主義」の様相を呈していると言われている。

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