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99章解説

2010年08月12日 | ジュズ・アンマ解説

بسم الله الرحمن الرحيم
99章解説

1. 大地が激しく揺れ、
2. 大地がその重荷を投げ出し、
3. 「かれ(大地)に何事が起ったのか。」と人が言う時。
4. その日(大地は)凡ての消息を語ろう、
5. あなたの主が啓示されたことを。
6. その日、人びとは分別された集団となって(地中から)進み出て、かれらの行ったことが示されるであろう。
7. 一微塵の重さでも、善を行った者はそれを見る。
8. 一微塵の重さでも、悪を行った者はそれを見る。

 この章が啓示された当時の多神教徒たちは預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)に、「審判の日はいつか?」「この世はいつ終わるのか?」といった質問を多く投げかけていました。そしてアッラーはこの章を介して彼らに、かの日の兆候のみについて解明し給うたわけですが、それがいつ起こるかはアッラーのみがご存知であることを彼らに知らしめるためでした。

この章は、審判の日に起こるさまざまな恐ろしい出来事や、人間たちが受ける彼らの行為に対する完全に公平な裁きについて語っています。

 まず、審判の日に見られるいくつかの恐怖の描写から章は始まります:
「大地が激しく揺れ、大地がその重荷を投げ出し、「かれ(大地)に何事が起ったのか。」と人が言う時。その日(大地は)凡ての消息を語ろう、あなたの主が啓示されたことを。」

 審判の日に、大地では地震が起きますが、地震はもっとも恐怖心を湧かせる自然現象です。起こるのは地震だけではありません。大地はその中に埋めていた死人、財宝、鉱物などを吐き出します。こういった光景によって大地に大きな異変が起きたことを人に分からせ、人間が恐れと悲しみを感じながら、大地に何が起こったのかと自問させるのです。「その日(大地は)凡ての消息を語ろう」つまり、その日には人間たちが地上で行っていた悪行、善行を大地が語るということです。この節ついて、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の言葉が伝承されています。彼は言われました:《(皆にたずねて)この消息が何か分かりますか?教友たちは、アッラーとその使徒が最もよくご存知ですと答えた。その消息とは、大地が全ての男と女のしもべがその上で行ったことを、彼はかの日このように行ったという形で証言することです。これが消息です。(アッ=ティルミズィー)》アッラーはその日、通常語ることのない大地に話す力を授け給うて、それらについて話させるとも言われます。「あなたの主が啓示されたことを」つまり、人間よ、あなたの主がそのようにするよう大地に命令し給い、大地はその実行に急いだにすぎないのだ、という意味になります。

 次に、人間たちが清算の場から去っていく、二つ目の光景について述べられます:
「その日、人びとは分別された集団となって(地中から)進み出て、かれらの行ったことが示されるであろう。」

 つまり、人々は幸せ者と不孝者の中間に分けられた各グループに向かうために清算の場を後にしていきます。それは、自分たちの行為に対する報いを知るためです。現世においてアッラーに従う善行を行っていた人は、自分の行為とアッラーが準備してくださっている喜びを目にするでしょう。そしてアッラーに背いていた悪者も自分の行為に対する報いである地獄に入るという屈辱を目にします。

 つづけてアッラーは来世における再生の目的と、報復の公正さを人間に解明し給います:
「一微塵の重さでも、善を行った者はそれを見る。一微塵の重さでも、悪を行った者はそれを見る。」

 つまり、現世で一微塵分の重さに相当する善を行った人はそれに対する報奨を来世で見い出し、一微塵分の重さに相当する悪を行った人はそれに対する報いをそこで見い出す、ということです。

 これこそがアッラーがしもべたちである人間に対して行う来世における公正な裁きです。そこには不正はなく、誰の行いも減らされることはなく、現世で横行している編愛やコネなどもありません。

 不正に耐えている信者たちの心をなぐさめる、この公正な裁き。この世では善と悪が競い合っていて、ときに悪が善に勝つことがあります。信仰ある人間は、自分が行う善行に対する報いに与かれないこと、そして悪がその罰に遭わないことをとても重要視します。ここでアッラーは、人間がどのような行為を行っても、それがどんなに細かくて小さくても、アッラーはそれに対して必ず審判の日に清算し給い、公正な報いを与えることを私たちに示し給いました。

 またこの章は信者に、どんなに小さくても、善行をしようということを思い起こさせてくれます。そしてこの小さな行為はアッラーのもとで無くなってしまうことは決してありません。また預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は多くても少なくても何か善いことを行うよう勧められており、通り道の邪魔になるものを取り除くことも呼びかけられました。《道から害を取り除くことはサダカです。(アン=ナサーイーとアル=イマーム・アフマド)》

(参考文献:ルーフ・アル=クルアーン タフスィール ジュズ アンマ/アフィーフ・アブドゥ=ル=ファッターフ・タッバーラ薯/ダール・アル=イルム リルマラーイーン(P152~154)

②アッ=タフスィール・アル=ワスィート/ワフバ・アッ=ズハイリー薯/ダール アル=フィクル(第3巻P2913~2916)


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