ロシアのネオ・ユーラシア主義者であるアレクサンドル・ドゥーギンの北朝鮮観

●北朝鮮に関するアレクサンドル・ドゥーギンの見解: 「核兵器の配備は善である」　November 6, 2009

Alexander Dugin on North Korea: "Nuclear Weapons Distribution is Good" (w/ English subs.)


・この偉大な朝鮮社会は最後のマルクス主義者、社会主義者の根拠地であり、全世界からの強い圧力にも関わらずに屹立している。彼らの周囲の者は皆敗北を宣言してしまった。中国すら、資本主義にある程度譲歩してしまった。しかし、北朝鮮はまだ持ちこたえている。そして今、アメリカは北朝鮮に全力で圧力をかけている。
・アメリカは北朝鮮に何を求めているのか？北朝鮮にはたいした資源もない。アメリカの第一の任務は、事態を悪化させ、北朝鮮に対する全世界的な反対運動を誘発し、アメリカ自身の狙い-世界経済をアメリカのイメージに沿ったものにすること-への注意をそらすことである。
・もちろん、アメリカは間違っている。しかしながら、アメリカ以外の世界が何をしているか見てみよう。
・北朝鮮はアメリカ世界帝国に反対している。そして、その様な帝国はいらないと主張している。その一方で、他の国は、その様な帝国を求めているかのように行動しているのだ！彼らは北朝鮮の核武装に不満を漏らし、北朝鮮がそれを自国に対して用いるかもしれないと主張している。彼らは白痴のように不平を言う。我がロシア政府もその一員だ。
・もしロシア政府が事態を理解しているなら、彼らは堂々とこう言うべきだ。「我々は心から三代目を支持する。喩え選挙で選ばれていなくても、だ。我々は二代目の金正日を支持する。そして、彼のミサイルは我々のミサイルである。もし戦争になれば我々はそれを支援するし、核兵器以外の大量破壊兵器も供与する。」と。
・なぜ?なぜこれがロシアの指導者にとって正しいことなのか？それは、我々が事実をはっきりさせたいからだ。我々はアメリカ帝国を求めていない。我々は多極化した世界を求めている。そして、色々な発展形態が存在することを望んでいる。
・貴方が金正日の体制を好きならば、それは結構なことだ。そして、金正日の体制を好きでないならば、それも結構なことだ。貴方が自由市場を好きならば、それは良いことだ。そして、自由市場を嫌いならば、それも良いことだ。そして、もし我々が全体主義を望むならば、全体主義すら良いものになるのだ！なぜか？それは、人々は自由に発展形態を選べるからだ。そして、このことに反対するのはジュリエット・ケッセンがスーパークランと呼ぶ少数のアメリカ人の集団だ。彼らはあらゆる他人について何が最良であるか知っていると考えている。そして、可哀想な朝鮮人を攻撃している。
・欧州も、無知と臆病のもとに贅沢を続けるなら、近未来のある日、アメリカ帝国の辺境で墓の中にいることに気づくことだろう。そして、あらゆる他の文明も、自分が核廃棄物のゴミ捨て場にいるか、あるいはアメリカのための排水路にいることに気付くことだろう。
・現在、北朝鮮は我々のために戦っている。この小さな（三代目は）まだ選ばれてさえいないが、全地球のために戦っている。我々がここに座り、彼を支援しないふりをしたり、理解しないふりをしたりしている間もだ。我々は実際に彼を幅広く支持すると言うべきだ。我々は宗教的、あるいは美観の点で反対を受けるかもしれない。さもなくば、我々は無関心故に被害を被ることになるだろう。しかし、アメリカの支配の前で北朝鮮が人道主義と民主主義の種であることを無視することは、完全なひどい無視を示している。さもなくば、貴方の国が真に奴隷になっていることだろう。
・北朝鮮とは何か？それは自由だ。北朝鮮はキューバの様な、自由の島なのだ。とてつもない圧力に耐えている、非画一性の地図の上の点なのだ。
・私は韓国人を特に敵視している訳ではない。しかし、彼らのシャーマニズム、儒教、仏教、道教の文化が現在ではキリスト教（プロテスタント）にほとんど支配されてしまっていることを思い出そう。韓国では朝鮮民族の独自性が完全に失われている。その一方で北朝鮮ではそれが生き残っている。北朝鮮には「天国への道の友人」という道教の政党すら存在するのだ。そしてもちろん、最も重要なことだが、彼らは共産主義政党を持っている。このおかげで、真の自由と真の独立、そして真実の人道主義と民主主義が北朝鮮に存在しているのだ。
・もし我々が自由で独立していたいと思うなら、もし我々が人道主義や国家、社会の権威を維持したいなら、我々は北朝鮮の支援のために集結せねばならない。
・あなた達は、「それは戦争のプロパガンダだ」と言うだろう。でも、そうではない。これは平和のプロパガンダなのだ。もし貴方が平和を求めるならば、戦争に備えねばならない！
・独自の文化や発展形態を守るために動員された臨戦態勢の世界を見たら、米国人は皆をいじめることを止めるだろう。
・北朝鮮は完全に正しい！彼らにとってとても良い社会で、完璧によい体制だ。それは我々には合わないかもしれないが、そんなことは我々には関係無い。そして、アメリカ人にも確実に関係無い。
・それ故、我々は直ちに、アメリカの世界支配に対抗して北朝鮮を支援する活動を組織する必要がある。そしてもちろんのことだが、我々の軍の指導者に頼んで、核兵器を北朝鮮やイラン、ベネズエラ、そして他の例外的体制に与える必要がある。
・イスラエルは核兵器を持っているか?持っている。イスラエルは良い政府だ。彼らは核兵器を持っており、それは彼らにとって良いことだ。
・パキスタンは核兵器を持っているか?持っている。パキスタンは完全に無法の社会で、お互いに爆破しあっている。そして彼らは核兵器も持っているのだ。
・ヒンズー教徒を例に挙げよう。ブラーマンやシャーマンはお互いの亡骸を食べる。それは彼らの文化であり、彼らは核兵器でそれを守っている。
・だから、北朝鮮にも、核兵器を持たせて行進させよう。そして、韓国はアメリカによって防衛されるだろう。それ故、韓国と北朝鮮の違いは人間らしい気持ちだと私は考える。
・ドストエフスキーは、人間の心は善と悪、神と悪魔の戦場だと言った。我々は事実として、人類の心は南北朝鮮の戦いだということができる。紙に自分の名を書く価値のあるあらゆる市民は北朝鮮の側に立つべきだ。金正日の後に真実があるからだ。

http://www.youtube.com/watch?v=ob6C7DU10Sc&feature=player_embedded#watch-main-area





●対北制裁、検証に壁…調査国入り「招待」必要　2009年11月22日 読売新聞

　【ニューヨーク＝吉形祐司】国連安全保障理事会が今年６月に採択した北朝鮮制裁決議に基づき、各国の制裁実施に「抜け穴」がないかを調べる専門家グループが、調査対象となる国の招待がなければ現地入りを許されないことが２０日、複数の外交筋の話でわかった。制裁に消極的だった中国、ロシアの強い要求で安保理の制裁委員会が合意したものだが、調査団受け入れを望まない国は事実上、拒否することができるため、制裁を骨抜きにしかねないとの指摘も出ている。

　制裁委を補佐する専門家グループは１０月末に始動し、制裁決議が守られているかを調べて、制裁委や安保理に勧告を行う。１１日に安保理に提出した中間報告では、北朝鮮による核・ミサイル関連物資や武器の偽装輸出の疑いを巡って、関係する国の現地調査を行う方針を示していた。

　しかし、外交筋によると、中露両国は、８月に専門家グループ７人が任命された当初から、現地調査は対象国の「招待」を前提とするよう要求していた。

　専門家グループは最近、米国による対北制裁実施状況を調査し、日本訪問も検討中だ。だが、グループには強制的に現地調査を行う権限はなく、北朝鮮と緊密だったり、ビジネス上の利害がある国の場合、招待を表明しなければ受け入れを回避できることになる。

　外交筋は「招待制で実効性ある調査が可能なのか」と疑問を投げかけるが、中露の協力を得るには、こうした条件ものむ必要があるのが実情だという。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091122-OYT1T00062.htm








【私のコメント】
私は、アレクサンドル・ドゥーギンほど北朝鮮を賞賛する人を見たことがない。彼が北朝鮮を支持する最大の理由は、北朝鮮が最後のマルクス主義国家、社会主義国家であること、それ故にアメリカと敵対していることである。ドゥーギンの価値観からは、アメリカに敵対する者は何でも賞賛されると言っても良いだろう。
ドゥーギンは多極化した世界を求めている。そこでは、様々な価値観・文化が善とされる。核武装したイスラエルやインド・パキスタンが善であるのと同様、核武装した北朝鮮も善であるのだ。独自の発展形態を持っているという点で北朝鮮は自由な国であるというのがドゥーギンの主張である。

ドゥーギンは、韓国では伝統的な儒教・道教・仏教・シャーマニズムの文化が失われ、プロテスタンティズムに支配されていると指摘している。そして、対照的に北朝鮮ではそれらの文化が維持され、朝鮮民族の独自性が保たれているとしている。「ドストエフスキーは、人間の心は善と悪、神と悪魔の戦場だと言った。我々は事実として、人類の心は南北朝鮮の戦いだということができる。紙に自分の名を書く価値のあるあらゆる市民は北朝鮮の側に立つべきだ。金正日の後に真実があるからだ。 」という最後の文章から、彼が韓国を敵、北朝鮮を味方と認識していることが読みとれる。

11月22日の読売新聞は、対北朝鮮制裁で調査国入りに招待が必要になったことを報道している。これは中国とロシアの両国の主張によるものであり、事実上両国が対北朝鮮制裁に協力しない、あるいは積極的に北朝鮮を支援する方針である事を示していると思われる。北朝鮮と軍事同盟を結ぶ中国の姿勢は理解できるが、特に同盟関係にないロシアの姿勢はやや疑問の残るところであった。ロシアの対北朝鮮姿勢にはドゥーギンの主張が反映されているのかもしれない。だとすれば、韓国にとっては、北朝鮮を吸収する形で半島を統一することは非常に困難になったと思われる。










↓↓↓　一日一回クリックしていただくと更新の励みになります。