東日本大震災は発生から50日を過ぎた。失ったもののあまりの多さに言葉もないが、しかしこれほどの被害に予兆は無かったのだろうか。スマトラ沖大津波の時は事前に動物達の姿が消えたという。大震災5日前には茨城県で50頭の鯨が海岸に打ち上げられ、2月のNZ地震前にも現地で鯨が打ち上げられていた。海生ほ乳類は地磁気を頼りに航行するので、地磁気異常を捉えていたのかもしれない。
ツイッターでは次のような文章を見つけた。「M9を記録した東日本大震災の40分前、震源地上空の電子の量が局地的に増えていたことが、北大理学研究院の日置幸介教授の調べで分かった。日置教授は震災後、昨年のチリ地震をはじめ、過去の大地震直前にも同様の現象が起きていることを確認。電子の急増は、巨大地震の前兆の可能性がある」とのことだ。太陽フレアから来る高エネルギー粒子が発生させる地磁気擾乱が、地震と何らかの関係があることは当ブログでも何度も書いてきたが、この線から科学的に地震研究が進むことを期待したい。
ところで占星術ではどうか。筆者はこの冬から春にかけての地震予想が出来なかった、というより心情的に予想することを避けていた。12月の皆既月食図では東日本に明瞭にグランドクロスがアングルを撃っていたのは分かっていたが、それを地震に結びつけることをしなかった。その理由は、1年半前に当ブログ上で、日本地域に大きな被害地震が襲う可能性を追っていたものの、地震のゆくえを見失い予想を誤るという苦い経験があったからだ。蝕図と地震の法則が不明瞭なまま地震予想は立てられなかった。
しかし、最近その1年半前にあった、つまり2009年7月の皆既日食が今回の大震災に関連しているという意見が2ちゃんねるの“マンデン”スレッドに投稿された。思い出したくないことだったので忘れていたが、そういえば確かにあの時、東日本で津波や原発被害を含む大地震が起こる可能性を、筆者は09年7月から8月にかけて必死に追っていたのだった。筆者が当時やってきたことは何だったのか。検証するため当時の様子をまとめてみたい。
◆2009年7月の皆既日食図と前後1ヶ月の新月図◆
この皆既日蝕図は東日本大震災の震源地付近でノースノードとICが合、天頂に日蝕の太陽-月が来る強力な配置で、確かにその夏は筆者も日本地域に起こるはずの地震の影を必死に追っていた。
しかし予想の本命となったチャートはその1月前の6/23新月図だった。これは大震災震源のおとめ16度に土星が完全な合を形成し、ASC-DSCに新月の太陽と冥王星のオポジションが乗る強烈な位相を示していた。
当時の様子を振り返ると、6月新月図で控えめながら地震に注意を示している。後の地震の動きから監視に本腰を入れ始める。
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6/23新月図を読む)
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新月に宮城県沖震度4)
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大分・福岡で震度4)
7/2には最も注意すべき地域として、東経141度の房総半島沖での発震を予想した。この頃世界各地でM6級地震が頻発する。
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房総半島に注意)
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地震-より活発に)
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18日にも注意を)
7/15にニュージーランド南端でM7.6の大地震発生。NZではこの後10年、11年と連続で大地震に見舞われる。
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ニュージーランドでM7.6)
目標としていた日本地域での発震はここまで無く、7月日蝕図とのコンボで地震が巨大化する懸念を持ち始める。
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水星とノードの合(その2))
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日蝕前夜の出来事)
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7月日蝕の影響が現れる時期)
各新月図の発震域として、6月=房総半島沖、7月=三陸沖、8月=北海道東方沖とした。
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そして危機は続く)
8/11に駿河湾を震源とするM6.6の地震が発生。筆者はここでもあくまで前兆地震であるとして、地震監視を継続。
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駿河湾でも前兆地震)
筆者はこの頃から、近く襲うかもしれない地震が、日本経済に大きな打撃を与えるかもしれないことを8/26のアスペクトから感じ、イマジネーション主体のシナリオを描き始める。それはその日、火星、水星、冥王星が同時にカーディナルサインのカスプに接触し、またノード軸と金星ヴェスタがフィクストサインカスプ上で合となるタイミングだった。ここからいわゆる“カーディナルクライマックス”の危機が日本地域でピークに達すると予想したのである。
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暗黒の8月27日(序章))
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八丈島の震源は扇の要)
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暗黒の8月27日(1章))
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暗黒の8月27日(2章))
8月の新月図の影響を加えて、津波被害もあると予想。
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風向きが変わった)
イマジネーション主体の妄想記事もピークに達し、原発被害を含めた首都圏被害を予想。
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暗黒の8月27日(3章))
ところが、危機感がピークに達した頃の8月25日にある事件が発生した。東日本で房総半島沖を震源とする地震が発生したという、緊急地震速報が発信されたのだ。しかし実際には地震は発生せず、後に誤報と報道されたのである。
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水星、てんびん座へ)
地震監視を継続するが、事実上筆者はここで地震追撃に挫折。予想の根拠となる法則が崩壊し、地震の行方を見失った。
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長期警戒態勢に移行)
この後、9月30日にサモアとスマトラで大地震が発生して数千人が亡くなった。起こらなかった日本地域の地震に目を奪われ、他の可能性を見ることが出来なかったことを筆者は悔やんだ。以降、特に蝕に関わる地震の予想は手に余る現象と捉え、判断を避ける傾向になったのである。
◆1年半前の日蝕図が大震災に影響?◆
2ちゃんねるの投稿にあったように、2009年7月の日蝕図を使えば、確かに震源地と地震規模の表示は法則の解釈の内に収まるだろう。しかしなぜ成立から1年半も経った2011年の3月に事象が発生したのか。この法則が見いだせない限り予想に役立たせることはできない。訪星珠という占星家
が著した「社会占星学」という本によると、日食の影響は2年先まで出ることもあるというが、筆者はこの本を持っていないので詳細は不明だ。
しかし今当時のいきさつを振り返ってみると、天体位相の分析を通して、なにかしら予感めいたものを筆者も感じていたのかもしれない。松村潔氏の言うように占星学は透視的リーディングのためのツールとして利用されるべきなのかもしれない。いずれにせよ、筆者が当時行った天体位相分析では、時期は大きくずれているが、津波、原発、日本経済への打撃というキーワードがこのたびの大震災と符合する結果となっていたのである。一概に関係ないとは言えなさそうだ。(つづく)