朝食を終えて再びバスに。
この頃になって小雨が落ちてくる生憎の空模様、それに、10月の下旬にしては寒い。
並木が僅かに色づく小さな村を過ぎたかと思えば、見晴るかす緑の丘陵に放牧された牛や羊が長閑に草を食む姿が遠くに望め、農業国フランスの面目を躍如する景色が続く道をバスは走る。
昼も過ぎた頃、ようやく遠く車窓に蜃気楼のように浮かぶ姿が(上段左)。
幸いなことに雲も流れ、青空から薄日が差すまでに天気も回復、パリから300km、「遠いところまで来たもんだ」と改めて思う。
草原の向こう、旅行案内などでお馴染みのその姿(上段右)は、聖堂、僧院、はたまた要塞と、どの表現が当てはまるのか判らない。
陸と島を結ぶ堤防の傍らの駐車場にバスは停車。
そこから直ぐ、石組みの壁がそそり立ち、島全体が城砦(中段左)、このように表現するのが一番相応しく思えたの。が、まさにそこに聳えて在った。
ここはヨーロッパ最大の干満の差があったという。
かつて満潮になると島への道が消えてしまい、人が近づくことを拒むかのように波にのまれた巡礼者も数多くあったとか。
そんな厳しい自然であればこそ、修道の地に相応しいとしたのだろうか。
今は大型バスも通行可能な堤防によって結ばれ、潮の満ち引きに関係なく訪れることができるようになり、巡礼者や観光客で溢れる。
しかし、皮肉なことに近年は、その堤防のせいで砂が堆積、島の周りを海水で囲まれる(中段右)ことは稀となってしまったとも聞く。
馬が駆けてくるような速さで海が島に押し寄せる激しい光景は、残念ながら滅多に見られなくなってしまったとか。
駐車場から石造りの階段を登り最初に潜るのが、この城砦化されてしまった島唯一の前哨門、ラヴァンセ門。
この先トイレがないらしくここで暫く休憩。
待つ間にカメラをカタリナ に向けていると、あのひとり旅の可愛い女の子、「シャッターを押しましょうか?」と声をかけてくれた(下段左)。
さらに、ラヴァンセ門を抜けると、道の両側に土産物店や名物のオムレツを食させるレストラン、それにホテルなどが軒を連ね(下段中)、その先に王の門(下段右)がある。
そこを過ぎると修道院までの大通り、グランド・リュー。
大通りといってもこの参道?小路ほどの道幅しかなく、しかも曲がりくねり、そしてかなりの坂になっている。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.470