ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

レンブラント(6)‐ ナショナル・ギャラリー(25)

2014年06月25日 |  ∟イギリスの美術館

 ライデンの粉引き職人の息子として生まれたレンブラント・ファン・レイン(1606-1669/オランダ絵画黄金期)。

 遠くローマから聞こえてくるバロック期の画家カラバッジョ(1573-1610/イタリア)やルーベンス(1577-1640/フランドル)の名声に野心を駆り立てられたのは想像に難くない。

 A彼は生涯に実に数多くの自画像を描いたとされているが、実際のところ一体どのくらい手がけたのか、正確には判らないのだそうだ。

 その多くの自画像作品の中で、ここナショナル・ギャラリーが所蔵するのは、画業の中期に置いて最も代表的な作例のひとつとされる 「34歳の自画像」(上)。

 最初期の作品とされる 「<自画像‐1628年>」(アムステルダム国立美術館蔵/下線をクリックすると入れます)から十二年後に描かれた本作、その構図など、盛期ルネッサンス期におけるふたりの偉大な画家が描いた肖像画からヒントを得たとされている。

 そのひとつがラファエロ(1483-1520)描くところの 「バルダッサッレ・カスティリオーネの肖像」(下/ルーヴル美術館蔵)。

 Bそしてもうひとつが、レンブラントが生涯にわたって強い影響を受けたとされるティツィアーノ(1488-1576/ヴェネツィア派)の 「<男の肖像 ‐ アリオスト>」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)。

 黒い帽子が、モデルの顔をくっきりと浮かび上がらせている点はラファエロの作品に由来。
 ポーズ、鑑賞者に対する直接的な働きかけ、そして、袖の豪華な布地の強調は、すべてティツィアーノから借りたものとされている。

 加えて、当時の衣装ではなく、ルネサンス時代の古典的な衣装を身に纏う姿で描いている点も特徴とされ、極めて入念に描かれた本作は、盛期ルネッサンスのふたりの巨匠ラファエロとティツィアーノに、張り合おうとした、のは明らかとされている。

 また、彼にとって黄金時代(1632年 - 42年)と呼ばれる1640年、つまり結婚の翌年に描かれた 「<フローラを装うサスキア>」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)から五年、上流社会にも認められ、当時画家として最も成功していた自身をこの作品に投影、彼の揺るぎない自信が顕れた作品ともされている。 (この稿、続く)
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.826

 ※ ロンドン・ナショナル・ギャラリーの旅(24)へは(コチラ)から入れます。

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