二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947」

2021-03-30 20:50:31 | ヴァルハラの乙女

 

「え、あ、――――・・・?」

行きつけのカフェで唐突に出された目の前の代物について理解が追い付く。
これが何を意味するかは世界が変われど、意味合いはまったく同じである。

「結婚を申し込みたい」

どこぞの少佐と自動手記人形のように、
言葉を教えてもらい、生きるための道しるべを示してくれた人物からそう切り出された。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幕間の魔女「ゲルトルート・バルクホルンのパーソナルマーク」

2021-03-19 07:34:45 | ヴァルハラの乙女





原隊である第52戦闘航空団の部隊章「翼を生やした剣」と、
「ネウロイのコアを噛み砕くジャーマンポインター」が描かれており、俗に復讐の猟犬と言われている。
同じ復讐者であるグンドュラ・ラルのパーソナルマーク「翼を生やした剣を咥える狼」とデザインがよく似ている。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SS 目次

2021-03-17 07:16:38 | SS 目次

ここは連載する意志のあるSSのみを目次として掲載しています。
なのですべてのSSをここには載せていません。


「ヴァルハラの乙女」シリーズ
第1話「原作開始前」
第2話「原作開始」
第3話「原作開始Ⅱ」
第4話「バルクホルンの憂鬱」
第5話「バルクホルンの憂鬱Ⅱ」
第6話「前夜」
第7話「そして来る」
第8話「変化」
第9話「変化Ⅱ」
第10話「変化Ⅲ」
第11話「変化と後始末」
第12話「休暇」
第13話「過去」
第14話「ロンドンの休暇Ⅰ」
第15話 「ロンドンの休暇Ⅱ」
第16話「悩み」
第17話「信じて」
第18話「英雄再び」
第19話「病室」
第20話「スピード娘の期待」
第21話「芋大尉の思考」
第22話「ミーナの疑問」
第23話「芋大尉の雑談」
第24話「主人公の観察」
第25話「そのころパスタ娘は」
第26話「芋大尉とスピード娘の驚愕」
第27話「芋と兎の共同作戦」
第28話「魔女達の後日談」
第29話「黒猫の夜」
第30話「黒猫の疑問」
第31話「芋大尉の驚愕」
第32話「魔女たちの夢物語」
第33話「狼と兎の雑談、ときおり侍」
第34話「芋大尉の夜間哨戒」
第35話「魔女たちの無線交信」
第36話「魔女たちのガールズトーク」
第37話「魔女たちのテレビ放送」
第38話「魔女たちの覗き見」
第39話「魔女たちの夜戦、上」

幕間の魔女
幕間の魔女「勇敢な魔女たち語りけり」
幕間の魔女「勇敢な魔女たちの飲み会」
幕間の魔女「芋大尉の○○○な日」
幕間の魔女「優しいの巨人の夢」
幕間の魔女「アフリカの魔女は語りけり」
幕間の魔女「Ta152H-0」
IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947」



弓塚さつきの奮闘記シリーズ(完結済み)
第1話「始まり」
第2話「運命へ」
第3話「運命の始まり」
第4話「それぞれの行動」
第5話「遭遇と再会」
第6話「回想と後悔」
第7話「それぞれの思惑」
第8話「それぞれの思惑Ⅱ」
第9話「それそれの思惑Ⅲ」
第10話「それぞれの思惑Ⅳ」
第11話「参戦と再会」
第12話「現在と過去」
第13話「過去と今」
第14話「対峙」
第15話「対峙Ⅱ」
第16話「吸血鬼」
第17話「吸血鬼Ⅱ」
第18話「直死の魔眼」
第19話「ロア」
第20話「終幕」
第21話「可能性未来」(完結)



弓塚さつきの奮闘記外伝「奮闘記的アーネンエルベの一日」New
第1話「午前9:03」
第2話「午前9:23」
第3話「午前10:05」
第4話「午前10:30」
第5話「午前10:53」
第6話「午前11:25」
第7話「正午12:00」
第8話「午後12:15」
第9話「午後12:30」
第10話「午後12:50」




「アフリカの弓兵」(ストパン×Fate) シリーズ
パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
そんな世界に赤い弓兵がTSしてアフリカに降臨。
主に加東視点で進みます。
アフリカの弓兵
アフリカの弓兵 chapter2
アフリカの弓兵 ⅡーⅠ
アフリカの弓兵 Ⅱ-Ⅱ



皇国の守護者<凡人編>~若菜大尉かよ! (皇国の守護者)

皇国の守護者<凡人編>~若菜大尉かよ! (皇国の守護者)
2話「よし、逃げよう!」
3話「もう一度逃げるぞ!」
4話「まあ、そうなるな」
5話「夜戦馬鹿はお断りです」

その他
【短編】続・饗宴(星界の紋章SS)


最強のエンジニアのクロスオーバー
(短編)最強のエンジニアをクロスオーバーさせてみた (DeadSpace×魔法少女まどか☆マギカ)
(一発ネタ)ティロ・フィナーレ(物理)!
(短編)最強のエンジニアを第四次聖杯戦争に参戦させてみた(DeadSpace2×Fate/Zero)
(短編)アイザックさんが召喚されたようです(Fate×DeadSpace)
(短編)最強のエンジニアが艦これ世界で暴れるようです。(DeadSpace×艦これ「陽炎、抜錨します!」)



ガールズ&ドリフターズ!




弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編
ACT.1「冬の噂」
ACT.2「見敵」
ACT.3「闘争」
ACT.4「休息」
ACT.5「原因」
ACT.6「シオン」
ACT.7「敗北」
ACT.8「夜明け」
ACT.9「対立」
ACT.10「憂鬱」
ACT.11「会話」





GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
単発ネタ GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いた単発ネタ2 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ3 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ4 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ5 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ6 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ7 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ8 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ9 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ10 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ11 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ12 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ13 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ14 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ15 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ16 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ17 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ18 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ19 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ20 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ21 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ22 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ23 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ24 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ25 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ26 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ27 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ28 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ29 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ30 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ31 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ32 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ33 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
【接触編完結】続いたネタ34 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
【炎龍編】 続いたネタ35 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ36 夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ37 夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ38 夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ39 夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ40 夢幻会、彼の地にて戦いけり
GATE~続いたネタ41 夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ42 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ43 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり
続いたネタ44 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり



 

 

 

 

 




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

幕間の魔女「優しいの巨人の夢」

2021-03-16 22:43:26 | ヴァルハラの乙女

1947年 某月某日 カールスラント カイザーベルク郊外

戦争が終わった晴れた冬の朝、巨人が目を覚ました。
意識は既に覚醒していたが、カールスラントでも北の端。

すぐ隣にオラーシャやスオムスなど、
冬の寒さについて定評がある国と近い場所にある故郷。

カイザーベルク郊外の冬は寒く、
体温で温まったベットから出る気力がまるで湧かない。
おまけに今は軍から退いたのもあって猶更慌てて起きる気力が沸かない。

いや、理由はそれだけでない。
自分の胸を枕に寝ている愛しい人を起こしたくないからだ、と巨人は呟く。

「んー・・・」

栗毛の少女、いやかつては少女と言われた女が眠っていた。
ウィッチとして現役の時よりも丸みを帯びたとはいえ、未だ鍛え引き締まった肉体と四肢。
戦争で作った怪我の痕こそあるが、寝間着越しに伝わる彼女の肌は滑らかで、柔らかく、温かい。

それにしても「んー」と唸っている様子はまるで犬のようである。
思えば20歳を過ぎてからウィッチとして戦う技能、シールドが張れなくなり、
さらに少女から女となっても未だ律儀に仕えている使い魔も犬、猟犬だったな、と巨人。

もとい、ゴトフリード・ノルディング・フォン・バルクホルンは思った。

「・・・・・・・・・」

『小さなトゥルーデ』の愛称で呼んでいた時のように頭を撫でる。
愛情表現についてかつてはこの程度の関係であったが今ではさらに踏み込んだ関係ーーーー。

婚姻関係を結んで自分の妻となった彼女、ゲルトルート・バルクホルン
いや今はゲルトルート・『フォン』・バルクホルンをゴトフリードは優しく撫でた。

彼女との出会いは父親が新しい家族として2人の姉妹を引き取った時から始まった。
姓が貴族の証である「フォン」がないのを除けば同じ「バルクホルン」から分かるように、
「フォン」の称号を捨てた遠い親戚、遠戚筋に当たり、その縁で引き取ったとゴトフリードは父から聞いた。

元々妹が1人いたが、ここにさらに妹が2人増えた。
血の繋がりのない幼い2人の姉妹にゴトフリードは何をすべきは理解していた。
すなわち両親から自分がされ、妹にしたように身寄りのない2人の姉妹を愛することだ。

交通事故の衝撃か姉のゲルトルートは言葉を上手く話せず、
内に籠る傾向があり、夜中に泣いていた事もあった。
しかし、ゴトフリードが根気よく言葉を教えたら直ぐに話せるようになった。

そして、家族とも仲が良くなり、
ゴトフリードの手助けを受けつつ勉強してウィッチの士官学校へ入学した。

妹のクリスティーネは両親にベッタリだったのを覚えている。
何せ自分とフェリラ、さらに実の姉ゲルトルートの3人が軍隊へ行ったため、
その分クリスティーネには両親の愛情、子供3人分の愛情がたっぷり注がれたからである。

「どうして私たちの子供は揃いも揃って軍隊へ行ってしまうのか?」

そう冗談半分嘆いた父親の姿も今でも思い出せる。

だが、それも遠い過去の話。
父親は予備役の招集で故郷カイザーベルクの要塞司令官に任命されて、
軍隊は好きではなかった果たすべき義務は知っていたので最後の1人まで戦って戦死。

裕福な中産階級の次女にすぎなかった母親だったが、
避難せず夫婦と供にありたいと願ったため軍の補助部隊に志願し父親と共に戦死。
妹のフェリラは陸軍のウィッチ部隊に所属していたが、ベルリンの攻防戦で戦死。
もっとも幼かったクリスティーネは乗船していた避難船がネウロイの襲撃に遭遇して死亡。

結局生き残った家族はゴトフリードとゲルトルートのみ。
親戚筋も代々が勇武をもって知られるバルクホルンの家系なだけにことごとく戦死してしまった。

例外は父親の弟、ゴトフリードが軍隊へ行く原因である叔父のエーベルトだけである。
もっとも、その叔父も勇武の代償にネウロイの瘴気を浴びたせいで年々死の気配を強めている。

戦争で大勢知り合いが死に、過ごせるはずだった青春も全て戦争で浪費された。
しかし、祖国を、故郷をついに取り戻すことに成功し、ネウロイは駆逐され、戦争は終わった。

戦後の身の振り方についてゴトフリード、
それにゲルトルートも軍人として数々の栄光と名誉を手に入れたので軍に残ることもできたが、

軍縮で少なくなったポストを巡る戦後の軍内部の権力闘争が嫌になった点。
加えて元々軍人になる気がなかったのでゴトフリードは軍から退くことを決断。

ゲルトルートも魔女として寿命を迎えた結果。
本人曰く「物語の役目を終えた」ので同じく軍から退くことを決断した。

その後は2人で故郷の復興事業に参加し、
失われた平和な時間を取り戻すかのように楽しい時間を過ごし、
互いに恋し、恋人として過ごした結果―――とうとう結婚し、夫婦となって今に至る。

「・・・それにしても若い、というよりも幼い、か」

何せ年齢については10歳以上差がある。
ゲルトルートはようやく20歳を過ぎたばかりであるが、
対してゴトフリードは元々厳つい顔だった上に戦陣暮らしの結果、
年齢以上に老成してしまい、見た目の歳の差については10歳では収まらない事態になった。
・・・娶った相手が親子どころか下手をすれば祖父と孫ぐらい歳に差があるメレンティン参謀長には敵わないが。

とにかく、歳の差について部下や知人からその点についてアレコレ弄られ、
ウィッチとして有名すぎるゲルトルートはマスメディアからガリア文学の「美女と野獣」に登場する人物。
野獣に嫁いだヒロイン、ラ・ベルに例えられ好奇な視線や低俗極まりない事を色々言われたが・・・今は静かである。

「・・・・・・んっ、おはようございます」
「おはよう、トゥルーデ」

眠りから覚めた犬のようにゲルトルートが目を開く。
仕草の一つ一つが成長しても昔と変わらず、愛らしかった。
なので再度頭を撫で、片方の手は別の場所を撫でる。

「で、朝から嫁のお尻を撫でるのは一体全体どういうお考えで?」
「わたしの魔女が魅力的すぎるのが悪い」

初めてではないが未だ羞恥心が強いので頬赤くしたトゥルーデが「このスケベ・・・」と呟きつつ睨む。
だが、ゴトフリードはトゥルーデは本気で嫌がっている訳でなく、実は期待しているのを知っていた。

ワンピース型の寝間着をたくし上げ、今度はそっと太ももを撫でる。
墜落して派手にできた切り傷の跡を特に念入りに、じっくり優しく撫でる。

「~~~~~・・・・っ!!?
 朝からとか、せめて暗くして・・・」

「瞼を閉じたまま景勝地にでかける趣味はない、わたしには」

頬どころか耳まで赤くしたトゥルーデが顔を隠して唸る。
優しく、そして愛されている実感が嬉しくて、恥ずかしいから顔を隠して唸る。

「トゥルーデ・・・いいかい?」

じっくり、尻や太ももへのスキンシップを終えた後。
今度は上半身への攻勢を開始すべくゴトフリードは幼く若い妻の肩に手を添える。

「う、うん・・・」

慣れない快楽に戸惑いつつ、
期待感に満ち、緊張した様子でトゥルーデは頷く。

「じ、実は少し期待していたから、その、えっと。
 今日もたっぷり可愛がってほ、ほしいワン・・・ワタ、私の旦那様」

どうもトゥルーデは緊張しすぎて頭のネジが外れたようだ。
彼女は媚びるような性格でないし、そのつもりではないのはゴトフリードも承知している。

「――――――――――――――――。」

なのだが男性の雄を刺激するに十分すぎた。
ゴトフリードは無言でトゥルーデの寝間着を脱がし、一気に攻勢に打って出た。

戦争が終わった晴れた冬の朝。
青春を取り戻すかのように2人は互いに激しく求め合った。
何度も主導権を奪い、奪われ、新しい家族を求めて愛し合う光景はまるで夢のようで―――――。

「・・・・・・・・・」

事実、夢オチだった
先ほどの光景は夢であった、遺憾ながら。

その事実と共に厳しい現実をゴトフリードは再認識した。
虚脱と解放感が合体した感覚と一緒に眼が覚めてしまい、現状を確かめる。

まず時代は1944年。
残念なことにネウロイとの戦争はまだまだ続いている。

次に場所はオラーシャの農村の一軒屋。
今は指揮する独立戦闘装甲団《バルクホルン》の本部拠点となっている。

電気はなく部屋の明かりはランプのみ、
すきま風は常に吹き付けられ、歩けば床は常に軋む、などと粗末な家だがこれでも東部戦線。
オラーシャの戦いにおいて十分贅沢なのは数年の戦陣暮らしで身に染みていた・・・。

染みていた、の単語でゴトフリードは気づく、
濡れた股間の感触について如何なる生理現象が発生したのか思い出して赤面する。

どうやら股間の分身は夢の中でしっかり役割を果たしたようだ。
下着の処理の事を考えると、間抜けで、情けなく、さらに赤面する。
もしも何時ものよう従兵に下着の洗濯を頼めば暇な兵たちから弄られるネタを提供してしまうだろう。

「こうなったのも、全て叔父上が悪い・・・」

フロイト博士も大爆笑間違いなし、そんな夢に頭を抱える。
大声で喚きつつ、ベットの上でのたうち回りたい衝動に駆られるがゴトフリードはなんとか抑える。

軍隊へ入隊した原因である人物を好くべきなのか、
それとも憎むべきなのか今だ分からないが卑怯とは遠く、好感が持てる人物である。
士官候補生時代は叔父が指揮する騎兵連隊で、叔父なりに色々面倒を見て貰った面倒見の良さ。

さらに卑怯な振る舞いとは無縁の人物で、
戦争初頭において勇武を誇るバルクホルンの血のせいで負傷し、
悪くはなるが良くはならないのは、年々悪化する体調が語っていた。

付け加えるならば父親の弟であるので資産や家督、各種権利を奪おうと思えば奪えるはずだが、
そんな事をせずゴトフリードとゲルトルートの後見人を勤めていることから善人であることに疑いの余地はない。

しかし、だ。
善人ゆえに、善人だからこそ始末に負えない。
軍隊へ行くよう勧め、士官学校への受験を断れなくしたのも善意である。
父親と同様に庭いじり、それと読書三昧な日々を望んでいた本人の意思とは無関係にである。

そして最近は「小さなトゥルーデ」もとい、
ゲルトルート・バルクホルンと書面上だけでも構わないから結婚、
あるいは許嫁になるようにまったくの親心、善意で言っているあたり始末に負えない。

自分を兄として慕うゲルトルートと結婚する可能性。
それを提示されたせいであんな夢を見てしまったに違いない、そうゴトフリードは結論を下す。

だがしかし、だ。
将来もしもあの子が他の誰かと結ばれる未来が訪れた時。
素直にそれを祝福する自分が――――想像できなかったので誤魔化すように紙煙草をくわえて吸う。

ウィッチは美人であるのは常識であるが、
ゲルトルート・バルクホルンへの印象は「小さなトゥルーデ」と呼んだように、
10歳以上の年齢が離れた血の繋がりのない小さくて可愛い妹、という印象で長らく止まっていた。

しかし最近気づけば年齢相応の美女。
そして世界でも有数の勇武を誇るウィッチまで成長していた。
しかも自分だけでなく、かつて指揮していた中隊の部下2人と一緒にである。

おまけに部下もウィッチとして前々から注目を浴びていた有名人である。
1人はその美貌と神秘的戦闘技術から「北アフリカの星」と称賛されるハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。
もう1人は愛らしく、幼い外見とは裏腹に確実にネウロイを撃墜する「黒い悪魔」ことエーリカ・ハルトマン。
そんな2人と一緒に撃墜数250機超の世界の頂点に至り、前人未到の300機を目指して記録を更新しつつあった。

だからゴトフリードはかつて小さなトゥルーデ、
と可愛がった義理の妹が成し遂げた偉業に軍人として、身内として非常に誇らしく感じている。

しかし、そんな彼女の幸福について、特に将来について考えると心中穏やかでない感情。
一瞬、嫉妬に囚われた感情について数々の言い訳を考えてみるが、
軍隊で覚えたニコチンとタールが気分を落ち着かせ、素直な感情を吐露する勇気をようやく得る。

「叔父上は相変わらず始末におえないが――――」

紫煙を吐き出し、
少尉候補生になってから面食らった昔のように、
生まれて初めて得た感情と戸惑い、迷いつつも元騎兵将校らしく結論を口にする。

「わたしが小さなトゥルーデに惹かれているのは否定できない・・・」

海を隔てた先のブリタニアにいるゲルトルートに優しい巨人は想いを馳せた。


 

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第39話「魔女たちの夜戦、上」

2021-03-11 23:11:53 | ヴァルハラの乙女


「しっかし、さっきは何なんダヨー。
 みんな大尉の顔を見て急に笑い出したしなー」

「エイラの言う通り、何だったんだろうな、アレは・・・?」

雲海から出た時。
月明かりで銀色の髪を輝かせたエイラがそう会話を切り出した。

サウナから出た後。
テレビに集合していた皆と合流したが、
自分を見るなり爆笑されたり、尊敬されたりで大騒ぎになった。
ミーナと坂本少佐からは半休ではなく数日休むよう言われたし・・・何があったんだ?

「そうですよね、
 ペリーヌさんなんて爆笑して床に転がったし、
 シャーリーさんもバルクホルンさんを見るなり大笑いしたし・・・」

「私、ペリーヌさんがあんなに笑ったの、初めて見ました・・・」

宮藤、サーニャが首を傾げてその時の様子を回想する。
シャーリーならいざ知らず、まさかペリーヌがあそこま笑うなんてな・・・。
今まで見たことがないから驚いたけど、肩の力が抜けていているようで何よりだ。

「話が変わりますけどバルクホルンさんは、
 夜間飛行は久し振りって言っていたけど、全然平気ですよね」

「飛ぶだけなら問題ないさ、
 こう見えてネウロイ戦争が始まる前から訓練を受けていたからな」

「え、じゃあ・・・5年?」

「いいや、大雑把に見て8年~9年という感じだ。
 少佐なんてもっとウィッチとして空を飛んでいたはずだ」

「それ以上!ふぇー坂本さんって、本当に凄い人なんだ・・・」

ふぇー、と宮藤は純粋に感心している。

「ちなみに私は10歳の時から空を飛んでいるから、5年だぜ」

「私は4年くらい、です」

「え!サーニャちゃんもそんなに飛んでいたの!
 ・・・もしかしてこの中で私が一番短い?」

前世で見たネット広告のような表情を宮藤が浮かべる。
彼女の顔は毎日見てるが一々表情が変わるから見ていて面白い。

「この中どころか、
 部隊全体でみればルッキーニ以下ダゼ、宮藤♪」

「ルッキーニちゃん以下!!?」

自分よりも年下の女の子以下と言われて宮藤は大変ショックを受けていた。

「まあ、そう落ち込むな宮藤。
 それを言うと実はシャーリーは1943年に軍隊に入隊したばかりで、
 飛行時間的にはルッキーニよりやや多い程度しかなんだよ、ああ見えて」

「あ、そうなんですか。
 よかったー・・・てっ!?そうなんですか!
 去年軍隊に来たばかりなんですか、シャーリーさんが!?
 でも、気配りできるし、仕事も出来るし、階級はバルクホルンさんと同じだし・・・?」

ワタシの語りを聞いて宮藤がさらに驚く。
気持ちは分からなくもない、自分だって驚いているし少し嫉妬しているからだ。

軍隊に入隊して1年以内に少尉、中尉、大尉と一気に昇進を果たすなんて、
どこぞの魔術師ないし、某金髪の小僧レベルの昇進スピードをリアルで成し遂げたの見れば、な。

真面目に勤務し、戦って、勉強してようやく大尉。
そしてやっと少佐への昇進の内示を得た自分とは大違いである、しかも年下。
・・・思えば【原作】のバルクホルンがシャーリーに対して喧嘩腰なのもそうした所があったかもしれない、苦手な機械が大得意な点も含めて。

「経験についてまだまだ少ない。
 加えて撃墜数で言えばシャーリーは少ない方だ。
 だが、普段から気配りしている癖かもしれないが戦闘では目の前のネウロイだけでなく、
 部隊全体、戦場全体を広く見る事ができ、得意のスピードで突撃する勇気を持ち合わせている」

大尉になっても中尉どころか新米少尉気分が抜けていないが、
自分が得意とする技術を生かし、部隊、仲間を助ける献身的な姿勢と態度は素直に評価したい。
そして、原隊では燻っていたシャーリーにそうしたやる気を引き出させたミーナのカリスマもまた凄い。

「そして戦果も挙げるし、
 仕事もやる気があればキチンと出来る。
 だからシャーリーは大尉に昇進できたんだ。
 飛行時間と軍隊生活が短い割にあの実力・・・まったく大したウィッチだよ」

何年もかけてようやくここまで辿りついた自分とは大違いである。
シャーリーと同じ年齢の時は負傷したり、過労で寝込んだりと色々苦労したな・・・。

「・・・んん、でも大尉だって大したウィッチじゃナイカ。
 だってさ、2か国語話せる上に今年中に撃墜数が300機達成されるかも、なんて言われているだろ?」

「あぁ、まあ・・・巷ではそう言われているが」

スオムス最強のエースが急に真顔で語りだした。
「あの」エイラがワタシに対して敬意を込めてこちらを見ている。
繰り返し言うが「あの」エイラである、おっぱいとか言わずに真面目な態度をしている。

「・・・あの、バルクホルン大尉。
 ハルトマンさんから聞いたのですけど、
 昔はハルトマンさんだけでなく、指揮していた中隊にマルセイユさんもいたって本当ですか?」

「・・・事実だが?」

今度はサーニャだ、珍しいな。
サーニャまでワタシの過去を聞くなんて・・・というか話をしたのはエーリカか、
あの子は昔から聡い子で、孤立しがちなサーニャの話相手になってあげたりと気配りが上手な子だしな・・・。

「うぇっ!?マルセイユって、
 もしかして北アフリカのマルセイユの事か!?」

「そのマルセイユで間違いないが、そんなに驚く事か?」

マルセイユ、と聞いてエイラがさらに驚く。
なんか今日のエイラは今まで見たことがない反応ばかりしている。

「いや、フツーは驚くぜ大尉!
 だってマルセイユ大尉もハルトマン中尉と並んで世界トップクラスのウィッチなんだぞ!
 おまけにマルセイユ大尉も今年中に撃墜数300機行くかもって、話だし。
 そんな2人を大尉が指揮していた上に大尉自身も300機行くかもダロ・・・凄いだろって」

「マルセイユさんって、
 あの映画俳優みたいな!すっごくカッコいい人ですよね!
 バルクホルンさんはそんなに凄い人と一緒だったんだー!!」

「凄い、です」

畏怖、畏敬、尊敬の感情を3人から貰い受ける。
ここ最近。陶芸に茶の湯、書道やらアレコレ趣味に目覚めて深酒喫煙を控えるようになり、
精神的、体調的に絶好調なマルセイユが一気に撃墜数を250機まで伸ばしたから話は分かるが、
自分がマルセイユと同じく凄いウィッチ扱いを受けるなんて・・・第三者から見ればそう見えるとはいえ。

「・・・待てよ、大尉の原隊はJG52だったから、
 クバニスキー・ライオン・・・ブリタニア語で言うと『クバンの獅子』と知り合いだとか・・・?」

「ヨハンナ・ウィーゼの事か?
 知っているも何も原隊ではワタシは第Ⅱ飛行隊司令。
 ヨハンナは第Ⅰ飛行隊司令と同じ飛行隊司令で階級、年齢も同じだから当然知ってるし、
 エーリカやミーナと出会う前、軍隊に入隊してから一番最初に出来た戦友、友人なんだ・・・」

エイラの口から出た二つ名につい顔がほぐれるを自覚する。
右も左を訳が分からない軍隊生活な上に、一癖も二癖もある人材が揃ったJG52。

あの懐かしき第52戦闘航空団に来て初めてできた友人、ヨハンナ。
彼女には色々助け助けあい、例え今は離れていてもその友情は続いているし、続けたい。

「・・・オラーシャだけでなく、
 スオムスでも結構有名なんダゾ『クバンの獅子』は。
 つーか、大尉自身結構強いけど、その戦友も揃いも揃ってウィッチとして強い人ばかりダナ本当に・・・」

「ふぇー!何かだが今晩はバルクホルンさんの凄いとこ、
 色々聞けて勉強になります!そうだよね、サーニャちゃん!」

「うん!」

エイラからは歴戦の将校に対して敬意を払う下士官のような態度をとられ、
宮藤、サーニャからは「流石お兄様!」と今にも言いそうである。

・・・いや、さ、どうしてこうなった?

「・・・あのな、3人供。
 ワタシが凄い、というわけでなくて知り合いがたまたま凄いんだ。
 例えばエーリカは出撃2回目、マルセイユなんて初出撃初撃墜したけど、
 自分の初撃墜なんて出撃120回目でようやく1機、と割と遅い方なんだ」

「えっ!?本当カヨ。
 意外だな、大尉は何でもできる方だからてっきり・・・」

「ええぇー!!本当ですか!?」

如何に自分が劣るか力説するが反応はよろしくない。

「加えて言うと、
 一週間に2度も撃墜された事もある」

「ニパなんて毎日そんな感じだったゼ。
 それどころか一度、燃えながら格納庫に突っ込んでさ、
 ルーッカネン隊長とラプラ、ハッセのストライカーを纏めて壊したなぁ・・・」

しくじり先生を披露してみたが、どうやら上には上がいたようだ。

「えぇー・・・」

「・・・えっと、」

懐かしそうに語るエイラに対し、
宮藤だけでなく、サーニャまで非常に困惑した表情を浮かべ、
どう反応すべきか非常に困っている・・・味方3人のストライカーを破壊するなんて。
ロスマン先生から手紙で「ニパさんは毎回毎度ストライカーを破壊する」と愚痴を綴っていたけど・・・。

「ストライカーは宮藤の父親が発明したのだから、少しは大切にしろよな・・・」

「バルクホルンさんの言うですよ~、だから大切にしてくださいよ~」

「お前が威張ってどうすんダ?」

えへんと胸を張る宮藤にエイラが突っ込みを入れる。

「だって、私の自慢のお父さんだもん!
 それに・・・あのね、今日は・・・!」

20歳になれば魔法力を喪失する現実を突きつけれるから、
今ではすっかり素直に祝えない自分と違って宮藤は無邪気に誕生日を告白しようとしてーーーー。

「づっーーーー散開、!!」
「エイラっ!?」

のだが、突然エイラが叫び、
ロッテの僚機であるサーニャを引っ張って回避行動をした。

「・・・っ、宮藤!こっちだ!」
「え、ひゃ!?」

こちらも突然の事でついて行けていない宮藤を引っ張って急旋回する。
くっ、まさかサーニャの魔道針による探知より先にエイラの未来予知が発動するなんてっ・・・何?

「あ、あれ・・・ネウロイの光線が来ない?」

だが、ネウロイの攻撃はなかった。
来るはずの光線が来ない事にエイラもサーニャを抱えて困惑していた。

ーーーーエイラの未来予知が外れた!?


 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする