二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ8 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2015-10-17 21:14:13 | 習作SS

続いたネタ8 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


この世界における避難行は極めて過酷だ。
不足する水、蔓延る盗賊に大自然の驚異、人間の命なんて簡単に失われる。
ゆえに炎龍に食べられるより前に避難行で大勢の命が失われる可能性が非常に高かったが、

どうした理由か分からないが炎龍到来を伝えた武装した人間。
とりあえず服装からコダ村の住民が緑の人、茶色の人と呼んだ人たちはその避難行についてきた。
おまけに彼らの仲間と思われる空飛ぶ鉄の蜻蛉から投下される物資で飢えに悩むことがなかった。

「これなら、死なずに済む」

馬車が壊れ、持ち運べぬ財産は放棄するしかなかったが、
死なないで済んだのだから大丈夫、何せ彼らがいるのだから。
そうコダ村からの避難民は自衛隊、日本軍に対して感謝していた。

のだが、恐れていた炎龍が襲撃してきた。

「くそ、キャリバーを叩き込め!!」

農家の夫婦が炎龍に襲われる寸前、
伊丹が叫ぶと同時に軽装甲機動車に搭載している重機関銃が重い音を立てて射撃を開始する。

『こっちも、撃て!』

同じく小野田少尉指揮下の日本軍側からもジープのような車両から同じブローニングの重機関銃が火を吹く。
ブローニングM2重機関銃の弾は人間に当たれば胴体が2つに引き裂かれる威力を持つ代物であるが、
炎龍の鱗の硬さは想像以上で、金属音を立てて全て跳ね返していた。

「あんなのアリかよ!」

「いいから撃て!
 眼だ、眼を狙え!
 眼なら弾き返すことなんてない!」

笹川の弱音に伊丹が叱責し眼を狙うように指示する。
眼に刺さっている矢を見つけた伊丹がので矢が効いて銃弾が効かない道理はない。
と確信し、部下達に続けて全ての火器を龍の眼に向けるように命令を下した。

『あの矢を見ろ!全員眼を狙って撃て!』

同じく日本軍側もそれに気づき射撃を龍の頭部に集中させる。
自衛隊の64式小銃、ミニミ、日本軍の二式小銃、軽機の射撃が頭部に命中弾が続くと、
炎龍は首を動かし、翼で顔を隠すように動きを止める。

「よし、勝本!
 このままパンツァーファウストをぶち込め!
 小野田さん、そっちも対戦車弾を用意してください!」

『心得た!』

軽装甲機動車に搭載している110mm個人携帯対戦車弾を勝本が取り出し、
日本軍は九五式対戦車噴進弾を用意し、狙いを定める。
しかし、翼で顔を隠す炎龍は地を蹴り突進、走り幅跳びのごとく飛翔する。

「やべえ、避けろ!倉田!!」

伊丹が叫ぶと同時に倉田がハンドルを左に切り、
先ほどまでいた所を炎龍が通り過ぎ、轟音と土ぼこり、突風が走る。

伊丹は間一髪、避けることができたが、
日本軍側の車両が炎龍に突進され、派手に宙に浮かんだ。
乗っていた人間も宙に投げ出され炎龍が口を空けてその1人を丸呑みした。

『舩坂!!』

小野田の悲壮な叫びが伊丹の無線から届く。

「畜生が!」

伊丹が悪態と共に握り拳を叩きつける。
これまで協力してきた戦友の喪失に自衛隊員に動揺が走る。

「安心、死、なし」
「え?」

道中で拾った黒ゴスの少女の言葉に伊丹が呆ける。
特地の言葉だったのでそう断片的にしか理解できなかったが、
どうやら先ほど丸呑みされた船坂軍曹はまだ死んでいないと言っているらしい。

何を言っているんだ?
そんな疑問を覚えた伊丹だが、
銃撃への対抗策を覚えたらしい炎龍が再度翼で顔を隠し、突進すべ身構えた時……。

「■■■■―――!!?」

突如炎龍が苦しげに絶叫する。
両腕で喉を掻き毟る仕草をする。
一体何が起こったのか理解できない日本軍、
自衛隊員は様子を伺うが、炎龍が嗚咽と共に人を吐き出す。
そして、爆発音が炎龍の腹から響くと同時に口から血を大量に吐き出した。

「な、何があったんすっか、伊丹隊長!?」

「……手に銃剣を持っているようだから多分丸呑みされた時、
 咄嗟に銃剣を喉に突き刺したんだと思う、それとあの吐血は手榴弾を放り込んだんじゃないか?」

倉田の疑問に伊丹が推測するが、
そんな馬鹿な、という空気が自衛隊員の間で流れる。
普通に考えたらそんな事できる人間なんていないからだ、おまけに見たところ五体満足だし。

(無線で船坂という名前を聞いて驚いたけど、
 まあ、あの人はマジモンのリアルチートだからなぁ…)

ネットでよくネタにされるその人物をよく知る伊丹だけは1人納得する。
栗林が好きそうな人間だよな、と思いつつも彼が作った機会を伊丹は逃さなかった。
苦しげにのた打ち回る炎龍は動きを止めており、絶好の的であった。

「勝本、後方安全確認した後に撃て!」

伊丹への返答は軽装甲車から放たれたパンツァーファウストであった。
日本軍側からも対戦車噴進弾が放たれ、弾頭が炎龍に迫る。

炎龍は苦しげに避けようとするが、
伊丹と共に乗っていた黒ゴス少女が荷台から投擲した巨大な戦斧が炎龍の足を払う。

弾頭が炎龍に命中したのはその時であった。
メタルジェットが炎龍の鱗を貫通し、その下の強靭な筋肉を次々に破壊。
爆発が発生し、自衛隊の弾頭が炎龍の左肩を吹き飛ばし、腹を穿いた。
再度の絶叫、そして炎龍は苦悶と憎悪の表情を浮かべつつ逃げるように飛翔した。














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