二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.10「苦悩」

2016-11-20 20:11:45 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐ、は――――――」

足取りは重く、呼吸するたびに喉が焼けるような乾いた感触。
体力は消耗し、疲労で睡魔が絶え間なく襲いかかっている。

このままこの場で睡眠を取ることができればどんなに楽か。
そんな誘惑にシオンは心を動かされるが、それでも体は動き続ける。

何故ならいくら人気がないとはいえ、
彼女の計算によれば再度代行者に捕捉され、
今度こそ生命活動を強制的に停止させるに至るだろう。

ふと、その時シオンは思った。
今の自分はどんな姿になっているのだろうかと。
視線を下に向け、路地裏に散らばっている窓ガラスの破片に映る己の姿を見出す。

そこに映るのはこれまでになく酷い表情であった。
顔は青白く、目元は何日も徹夜してきたように疲労の極みであるのを示し、
おまけに代行者に傷つけられた生傷まであった。

「ふ―――――、なんて無様」

シオンの口から自嘲の言葉が漏れる。
何せこうも酷い状態となったのは全て自分自身が原因なのだから。

「長年の疑問が解決したにも関わらず、それを拒否。
 挙句タタリ打倒に必要な協力者とは戦闘状態に入る・・・。
 ふふふ、私と言う人間は計算ではなく感情的な人間だったとは初めて知りました」

自虐の台詞がシオン自身から発せられる。
自らを演算装置と見做す高速思考で感情という要素は省かれる。
計算において感情という計算できない要素は必要でなくむしろ邪魔である。

シオン・エルトナム・アトラシアという人間はだれよりもそれを実現してきた人間で、
これからもそうした生き方に疑問を抱いていなかったが・・・。

「異世界人、それもこの世界を俯角することができた人間の介入など計算外にもほどがあります」

壁に背を預け、シオンが嘆息する。
始めは遠野志貴の記憶から読み取ったなかに登場する重要人物、という程度の認識でしかなかった。

だから実際に弓塚さつきと邂逅した時、
『いつものように』エーテライトで情報を抜き取った。






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弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.9「対立」

2016-11-04 23:23:16 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐっ――――!」

シオンの叫びと同時に魔力を放出。
身体に突き刺さっているであろうエーテライトを無理やり取り除く。

そして、後ろに跳躍する。
が、間に合わず両腕がエーテライトで切断された。
飛び散る腕、そして血が志貴の部屋を汚してしまう。

「しっ!」

申し訳ないと考ええるよりも先にシオンの第ニ撃が迫る。
腕がないから鋭い蹴りを体を捻ることで避けるけど―――駄目だ!

「がっ!?」

次の一撃をまともに受けてしまったっ…!!
その細い体から出せたとは思えない程重い正拳突きだ。

骨が軋む、いや肋骨が折れた。
肺から強制的に空気が排出され意識が飛ぶ、痛いっ!!

「さつき!」

一連の出来事が終わった直後、志貴が立ち上がる。
けど、多分ボクを助けることは、

「遠野志貴、貴方はそこで止まっていなさい」
「な、何を言っているんだシオン!大体―――な、動け、ない!?」

やはり無理だ。
魔術回路もない志貴ではエーテライトで簡単に体を操られてしまう。
で、こっちは吸血鬼が苦手な朝な上にとっくにダメージを受けていると来た。

状況は極めて悪い。

「弓塚さつき。貴方はここで亡くなるべきだ。
 貴方という存在がタタリを強化させ、手に負えない存在にしてしまう。
逆に貴方が亡くなればタタリへの勝算は最低3パーセント向上するのですから」

さっきまでラブでコメっていた人間とは思えない程淡々とした声で彼女は言葉を綴った。
いや、しかしそれにしても・・・。

「・・・何が可笑しいのですか弓塚さつき?」

ああ、いけない。
面白すぎて思わず顔が笑顔を浮かべている。
両腕がなくなっているのに我ながら実に陽気なものだ。

「いや、あははは、
 想像通りの人間だなって」

「――——―――——不愉快ですね、
 私の考えを見抜いているとでも?
 『キャラクター』相手だから何でも知っているつもりですか?」

シオンはご機嫌斜めのようだ。
すんごい表情で今睨まれている。

うん、ここは正直に話した方が良さそうだ。
元々頭が良い彼女相手に小手先の誤魔化しなんて通用しないだろうし。

「まあ、それもある。
 けど知ってはいたけど、
 勝算が3パーセント上がっても『タタリに絶対勝てない』
 と内心理解しているはずなのにそんな言葉を口にする人間だったから、ね」

「・・・黙りなさい」

シオン・エルトナム・アトラシア。
という人間は理論を重んじる魔術師である一方で、
タタリに執着する感情的な人間であり、その内心は矛盾を含んでいる。

例え吸血鬼化しても魔術の研究は不可能ではない、
むしろ寿命が短い人間以上に研究時間を確保できる、
と喜ぶのが『普通の魔術師』である・・・衛宮切嗣の父親がそうだったように。

「どこまでボクの頭を覗いたか分からないけど、
 そもそもこんな事をして意味がないことぐらい理解しているはずだよ。
 ボクを殺せばアルクェイドさんとシエル先輩から狙われることくらい知っているはずだよね」

「・・・・・・・・・」

この場でボクを殺害すれば2人は間違いなくシオンを脅威と看做す。
場合によってはより倒しやすい敵としてタタリより先にシオンの排除を試みるだろう。

志貴の記憶や思考を読み取っているならば、
方や真祖の姫、もう片方は埋葬機関の殺し屋と、
通常ならば手を組むなどありえないと思われる2人が実のところ仲が良く、
彼女らの知り合いに手を出せばただでは済まないことが想像できるはずだ。

ではなぜこうなったのか?

「戸惑い?それとも困惑?
 あるいは混乱して何が何だが分からない状態なのかな?
 まあ、でもこの行為はどちらかと言えば八つ当たりと言えるか」

「黙りなさい!」

シオンのエーテライトによる一閃。
しかし先ほどとは違い大振りな動作ゆえに簡単に避けることができた。

「冷静じゃなないね、
 やっぱり八つ当たりだね」

「その口を閉じなさい!
 貴女に何が分かると言うのですか!?
 己が抱いていた矛盾に無理やり気づかされた苦悩を!
 そして身体を蝕む吸血鬼としての衝動、飢えと渇きを彷徨う苦しみに!」

絶叫。
それは彼女が数年に渡って蓄積された感情の発露でもあった。

負の感情が盛大に爆発したせいか吸血鬼の力を制御しきれず、
紫色の瞳も今はボクと同じく吸血鬼の血のような紅色の瞳へと変化している。

「まあ、たしかに分からないね。
 事前に【知っていた】としても何せ他人様のことだから」

嘘ではない。
現にシオンがこうして激高するなど予想できなかった。
事前に彼女の事を知っていたとしても所詮紙の上だけの知識にすぎなかった。

それを今痛感している。

「だけど、その苦しさは理解できる。
 ボクだって経験したから、吸血鬼の衝動には」

今だって覚えている。
人の生き血を啜りたいという止められない欲望。
人を人として見ず、血袋として認識する欠落した論理感。
吸血鬼という二次元の世界の住民に成れた喜びよりも自身に恐怖を覚えた。

「だからお互いに【これから】理解し、分かり合えるはず。
 このタタリの騒動がシオンの想定よりも悪化していたとしても、
 協力しあえばタタリを抹殺できなくても退けることぐらいできるよ、きっと」

「戯言を・・・」

「うん、まあ。
 戯言なのは知った上での発言だよ、勿論。
 だけど、このままだと勝ち目何て最初から皆無だと思うけど?」

「・・・・・・・・・」

沈黙するシオン。
何かと理由を付けていたけど、
結局のところ感情的な行為でしかなにのは薄々理解していたみたいだ。

特異の計算でもしているのだろうか、
視線はボクや志毅ではなく何もない場所を向いている。

「・・・私が事前に知っていた遠野志毅の戦闘能力。
 そして貴女と貴女の知識を持ってもしてもタタリへの勝率はさほど変わりません」

そして静かにシオンが口を開いた。

「しかし、分岐する可能性。
 という要素が非常に変化に富んでいました。
 特に真祖の姫の手によって「朱い月」を再現させることが鍵であり、
 これ以外にタタリを完全に打倒する手立てはなく、姫と協力関係を結ぶことが肝心。
 そのためには目の前にいる異邦人、弓塚さつきを通じて姫と協力関係を結ぶことが必要――——そう結論がでました」

「うわ、アルクェイドさんと協力するためだけにボクが必要なだけか、傷つくな。
 こっちでも仲良く路地裏同盟を結成して、夜のプールに忍び込んだり、ピラミッドで遊びたかったのに」

「生憎、貴女となれ合うつもりはありません。
 それに、その可能性を歩んだ私と弓塚さつきが友好関係を結べた理由は、
 例え吸血鬼なっても弓塚さつきが魔術をまったく知らない一般人であったからでしょう。
 ロアの知識を継承し、半分魔術の世界の住民である貴女には魔術師として接していただきます」

こちらの冗談に対して、
冷ややかな目でセメント対応されてしまった。

魔術師として対応、か。
まあ、それは仕方がないと言えば仕方がない。
【原作】で弓塚さつきとシオンが和気藹々とやれたのも、
強力極まりない吸血鬼にも拘わらず、一般人感覚が抜けていなかったからだ。

だけど・・・。

「つまり【魔術師として】協力し合えるわけかな?」

「その通り、魔術師としてタタリ打倒の契約を交わすことを提案します」

友達感覚で協力こそできなくとも、
魔術師として協力し合うことは可能だ。

行き成り腕を切り落とされ、
殺されかけたことには思うところがある。
だけど、タタリ打倒にはシオンの協力も必要だ。


だから回答は――――。


刹那、窓を打ち破って黒鍵が部屋に飛び込んできた。
投擲された剣とは思えぬ威力を保ったそれは部屋を派手に破壊する。

「っつぁ・・・!?」

一振りがシオンに命中し、吹き飛ぶ。
ドアを打ち破り、廊下へとたたき出される。
黒鍵なんて代物を操る人間は1人しかいない。


「御無事ですか遠野君!弓塚さん!!」


シエル先輩だ。




 










 


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【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.9「対立」

2015-08-03 21:46:47 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐっ――――!」

シオンの叫びと同時に魔力を放出。
身体に突き刺さっているであろうエーテライトを無理やり取り除く。

そして、後ろに跳躍する。
が、間に合わず両腕がエーテライトで切断された。
飛び散る腕、そして血が志貴の部屋を汚してしまう。

「しっ!」

申し訳ないと考ええるよりも先にシオンの第ニ撃が迫る。
腕がないから鋭い蹴りを体を捻ることで避けるけど―――駄目だ!

「がっ!?」

次の一撃をまともに受けてしまったっ…!!
その細い体から出せたとは思えない程重い正拳突きだ。

骨が軋む、いや肋骨が折れた。
肺から強制的に空気が排出され意識が飛ぶ、痛いっ!!

「さつき!」

一連の出来事が終わった直後、志貴が立ち上がる。
けど、多分ボクを助けることは、

「遠野志貴、貴方はそこで止まっていなさい」
「な、何を言っているんだシオン!大体―――な、動け、ない!?」

やはり無理だ。
魔術回路もない志貴ではエーテライトで簡単に体を操られてしまう。
で、こっちは吸血鬼が苦手な朝な上にとっくにダメージを受けていると来た。

状況は極めて悪い。

「弓塚さつき。貴方はここで亡くなるべきだ。
 貴方という存在がタタリを強化させ、手に負えない存在にしてしまう。
 逆に貴方が亡くなればタタリへの勝算は最低3パーセント向上するのですから」

さっきまでラブでコメっていた人間とは思えない程淡々とした声で彼女は言葉を綴った。















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【完了】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.6「シオン」

2015-03-02 22:32:15 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

弓塚さつきがタタリと交戦を始めた頃。
アルクェイドと秋葉に散々絞られた遠野志貴は再度眠りについた。
いつもなら無理をしてでもタタリの捜索に行って行くところであったが、
シエル先輩の安静するようにとのお願いに従い、眠りについていた。

アルクェイドと秋葉はそれぞれタタリの捜索に出ており、
ゆえに今部屋にいるのは志貴のみ、寝息だけが部屋の中で小さく音を立てていた。

そんな中、静かにドアが開かれる。
するりと忍び寄るように人影が部屋に入る。
人影はゆっくりとベットで眠る志貴の元へ近寄る。
やがて、枕元まで来た人影は何もせずじっと眠れる王子を見た。

直ぐそばに人が立っているにも関わらず志貴は相変わらず寝息を立てて寝ている。
これだけなら、何ともない事実であるがしばらくその姿を見ていた人影は、ふと違和感を覚えた。
人影は人より遥かに優れた頭脳を回転させ、その違和感について考える。

解答は直ぐに出た、そうあまりに静かなのだ。
魔術で自己暗示による精神洗浄をしているならともかく自然の眠りにしては生気がない。

志貴の眠りはまるで、

「まるで死体のようですね、貴方の眠りは」

そうシオン・エルトナム・アトラシアが感想を呟いた。

そして、そっと手を志貴の頬を撫で、エーテライトを接続し志貴の体調を見る。
傷は回復傾向にあるが体温は平均より低く、心拍数も少ない。という解が直ぐに頭脳にはじき出された。

「よかった」

その結果にシオンは思わずそんな言葉を発し、
刹那、自分の口から出た言葉の内容に動きを止めた。

何故ならシオン・エルトナム・アトラシアが、
他人を気遣ったような経験は、今は亡き友人であるリーズバイフェ以来だ。

アトラス院にいたころは他人に対して全て無関心で、
ここ最近は教会とアトラス院から逃げる日々であったためそうした余裕は一切なく、
加えて言えば、タタリを追うことのみで他人に興味関心を持つという発想自体まったくなかった。

それがどうだ?
たった今他人を気遣った。
それも初対面は殺しあった人間だ、おまけに異性だ。
何がシオン・エルトナム・アトラシアにこのような行動に移させたのか?

遠野志貴の異能の希少価値?
たしかに研究材料として魅力的であるが解に合わない。
何故ならその眼だけを奪う隙はあったはずだがしなかった理由が見つからない。

タタリ打倒のための協力者であるから?
それはあるかも知れないが、何故遠野志貴なのか?
協力者ならば真祖に代行者、吸血鬼と選択肢は複数あったはずだ。

しかも彼とはタタリが襲来する直前まで殺しあっていた関係だ。
彼が単独でタタリを迎撃しただけで、協力者という関係には至っていない。

「……くっ」

高速思考を展開し、思考を深めるシオン。
だがそれでも解は得られず、謎が深まるばかりである。

「私は、」

私は一体どうなってしまったのか?
そんな疑問と不安がシオンの内心を蝕む。

じっと志貴の顔を見るが、答えは当然出ることはない。
だが、ふとシオンは思いついた、もしかすると彼なら答えを知っているかもしれない、と。

そう思い志貴を起こすため手を伸ばし――――。

「悪いけど、志貴を起こさないでくれるかしら?」

手を伸ばした所で第三者の声が介入してきた。
声の主に聞き覚えがあったシオンは主がいるであろう方角に振り返る。

「真祖の姫君……」
「こんばんわ、錬金術師。もう体調は大丈夫みたいね」

声の主はいつの間に開いていた窓に座っていた金髪の女性。
真祖の姫であるアルクェイド・ブリュンスタッドであった。

「…昨晩は姫君のご好意、深く感謝致します」

「まー、屋敷に置いくれないか妹に頼んだのは私だけど、
 最終的に決断したのは妹だから明日にでもそっちの方にお礼を言っておいてね」

「はっ、」

アルクェイドであることが確認できたシオンは即座に姿勢を正し礼を述べる。
そして、改めて己の名と願いを続けて口にした。

「改めて 私の名はシオン、シオン・エルトナム・アトラシア。
 この街に来訪したのはタタリの打倒と共に姫に願いたいことがございます」

「ふぅん、その年で穴倉の院長補佐?すごいわねー。
 そして外部との接触を一切絶つアトラスの人間が私に願い、いいわ、聞いてあげる」

遠野志貴とその周囲の人間以外にあまり興味がないアルクェイドであるが、
錬金術師が提示した変わったお願いにその内容を話すことを許した。

「私の研究課題は吸血鬼の完全な治療。
 すなわち吸血鬼から元の人間に戻すことです、姫」

「…続けなさい」

アルクェイドが催促する。

「吸血鬼を生んだのは星の精霊である真祖の血。
 ならば、その血を解析することで吸血鬼から人間に戻すことも可能なはず。
 無礼を承知ですが、どうか姫の血を提供して頂けないでしょうか?」

懇願する言葉に徐々に熱が入るシオン。
そして最後に、再度頭を下げた。

その姿を黙ってみていたアルクェイドは、
シオンの願いに即答せずしばらくの間沈黙を保つ。
数十秒ほどの静寂な時間が流れたが、ゆっくりと口を開いた。

「…死徒になりたがる魔術師はごまんといるけどその逆とは、ね
 もしも私の眷属になりたいなんて言い出したらこの場で殺していたわ。
 でもね、死徒から人間に戻るなんて――――無理よそれは」

「なっ!?」

それは否定。
その内容にシオンが絶句した。

「な、何故です!!大本である真祖の血を解析すれば吸血鬼化に治療に…」

「無理なものは無理なのよ」

必死に問うシオンにアルクェイドが顔を横に振り否定を重ねる。

「貴女は知っているはずよ、
 人間が吸血鬼になることは肉体的な変化だけでなく魂そのものが改変されること。
 もしも人間に戻るならそれこそ魔法、それも時間を戻す魔法を使わなければならない、と」
 
「黙りなさい!!」

考えていたがあえて見ぬふりをしていた事実の羅列にシオンが感情を爆発させる。
何時もなら感情を露にすることすら稀であったが、吸血鬼化治療の中でも最後の希望が消滅してことで感情のタガが外れた。

「だいたい、元はと言えば貴女達真祖が撒き散らした病魔ではないですか!
 それを治療できないと言うのはあまりにも身勝手すぎます!」

「怒りで我を忘れているようだけど、大昔から神様や魔物。
 それに貴女達魔術師という人種が生きる世界はそうしたものでしょ?」

「そ、それは……」

アルクェイドの正論に頭が冷やされたシオンがたじろぐ。
「理不尽な魔が人間を襲う」この図式は遥か神話の時代から続いた現象だ。
そして英雄と呼ばれる人種を除けば人間の大半はこの魔に対してまったくの無力だ。
たとえそれが科学技術が発達し、神秘が薄れた今日でもその図式に変化はない。

「それに、教会の受け売りになるけど、魔さえ神の創造物らしいわよ。
 よかったわね、錬金術師。貴女の肉体が半分魔であっても嘆くことはないわ。
 貴女の存在を何せカミサマが保障してくれているのだから、何がいけないのかしら?」

「――――っっっ!!!」

吸血鬼の存在を良しとするアルクェイドの言葉にシオンに衝撃が走る。
朱色の瞳を細め人を皮肉する姿はまだに人ならざる魔の傲慢さを具現化させていた。

「――――志貴の情報から実りのある会話を期待していましたが、どうやら私の思い違いのようでしたね」

「あら悪いけど、自分の事すら分かっていない人間と仲良くしようなんてこれっぽちも思っていないから」

「…自分のあり方がわかっていない?何を一体、」

自分の事すら分かっていない人間。
そんあ評価にシオンは疑問を覚えアルクェイドに尋ねる。

「貴女のあり方と吸血鬼になりたくない、
 という願望に矛盾を生じているのが分かってないのよ」

「何を馬鹿な……」

アルクェイドの言葉を即座に否定する。
吸血鬼にならない、それはあの蒸し熱い夏に友人を失って以来誓ったもの。

そこに矛盾など一切入る余地はない。
シオンは続けて語ろうとしたが言葉が出なかった。

ほんの少し。
ほんの少しだけ違和感を覚える。
アルクェイドの言葉を即座に否定することができなかった。

「やっぱり答えはでない、か。
 じゃあね、錬金術師。私これでも忙しい身だから」

「あ……」

己に迷っているシオンを見て興味を失ったアルクェイドが窓から飛び降り、颯爽とその場を後にした。
部屋に残されたのは眠りを続けている志貴、そして答えを言い出せなかったシオンだけとなった。

「…………」

開けっ放しの窓を黙って見るシオン。
しばらくの間アルクェイドがいた場所を見ていたが、思いを口にする。

「貴女の言うとおり、私は私のあり方が分からない」

顔を俯かせシオンは彼女の言葉を肯定するしかなかった。












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弓塚さつきの奮闘記外伝 午後14:00(完結)

2014-11-04 22:42:48 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

どうも、久々の憑依弓塚さつきだ。

いや、本当にすごかった…。
DEENのfateもそれはそれで楽しんだし、
セイバーと衛宮士郎とのイチャイチャにはニヤニヤと出来たから。

でも、流石uftable。
戦闘シーンといい、背景といい実に精巧だ。
一体何人のアニメスタッフの睡眠時間を犠牲にしたのか分からないけど……。

「次は士郎の出番ね…あれ、士郎は?」

引き続き2話を鑑賞しようと思ったが、
遠坂さんが衛視さんの名を呼ぶがいない。
ボクも振り返り喫茶店の中を見渡すが赤毛の青年はどこにもいない。
可笑しいな、さっきまでその辺で寝ていたはずだけど。

「あの…姉さん、何か手紙がありますよ?」
「手紙……?げ、これって、まさか…」

皆で頭を傾げるが、衛宮さんの行方に関するヒントは直ぐに出た。
桜さんが妙に古風な手紙を見つけ、遠坂さんが嫌悪感を表情に浮かべる。
…なんだろう、凄く嫌な予感がする。

「あ、それ聖堂教会の事務報告用の手紙ですね」

シエル先輩がカレーライスを頬張りつつ言った。
……それって、衛宮さんを浚った犯人って。

「一体何が…こ、これは!!?」
「また、何かあったのっ……!!」
「先輩……え?」

そして、手紙を開けて絶句し、石になるヒロイン3人。
一体その手紙には何が書かれているのやら……どれどれ?


雑談にうつつを抜かした駄目ヒロインへ。
カレンルートが解禁されるまで、衛宮士郎を永久租借します。


……う、うわー。
煽る、煽る、煽りおる。
公式で明言はしていないけどあの父にして子あり、と言った所か?

む、それに2枚目か?
……写真か、あ、これは…。


追伸:駄犬に責任を取らすので結婚式は言峰教会で行います、ぜひ来て下さい。


なんて素敵な言葉が綴られると同時に、
写真には花嫁姿の銀髪金眼の少女カレンが、
白のタキシード姿の衛宮士郎に寄り添う姿が写っていた。

新郎と花嫁の年が少々低いが、
純朴そうな赤毛の青年に銀髪一見ミステリアスな外見をした銀髪美少女。
その組み合わせは奇妙ながらも、婚姻衣装で着飾った2人の行く末に妄想を膨らませるには十分であった。

…タキシード姿の赤毛の青年が手足、さらに口を封じられているのを除けば。
なんかベットの上だし、カレンが衛宮さんの太ももに手を伸ばしているし、エロイな。

で、だ。
どう見ても幸せな結婚式の記念写真です、本当に(以下略)。
そして、この次にFate勢のヒロイン達が移す行動は言わなくても分かる。


ぶちん、ぶちん、ぶちん。


「ふ、ふふふふふふ」
「あは、あはははは」
「クスクスクス、せんぱーい」

魔力を噴出させブリテンの覇王の王気全開のセイバーさん。
腕の魔術刻印を光らせ、米神に青筋を立てて笑う遠坂さん。
そして、全身に影を纏い、顔を下に向けて嘲笑する桜さん、もとい黒桜。

ああ、全力で関わりたくない。
そして渦中の衛宮士郎は……うん、生きろ。
カレンの元から奪還されても、この調子だと八つ当たりの対象になるしない。

「さて、どうしてくれようかしら……って、
 まだ続きがある…あ、これ貴女たちの方のだわ、弓塚さん」

「え?」

喧嘩上等オーラを背負った遠坂さんであったが、
どうやらボクの方、ボク達がらみの内容らしい。

あーーうん。
すっごい、すっごい嫌な予感がする。
こうしたイベントが大好きな割烹着とか割烹着の影がちらつく。

どうせ琥珀さんが銀髪シスターが衛宮さんを拉致ったように、
拉致監禁、そしてヒロインに挑発でもしているだろうな……どれどれ。


シキをエルトナムの婿とします。


実に素っ気無い一言。
付随する写真には先と同じく花嫁姿の紫髪の少女が、
恥じらいつつも学生服の黒髪の青年、志貴に膝枕をしていた。

愛らしいというより学者のような理知的な面影が強い少女であるが、
今の少女はまさに恋する乙女、否、恋する乙女そのものであった。

……え゛

「ってシオン!!?」

どう見てもシオン。
シオン・エルトナム・アトラシアじゃないか!!
あ、あの子は一体何をしているんだ!?

あれか?ボクの記憶とか読んだせいか?
あるいは、そこまでしてゴールドヒロインに成りたいのか?

委員長キャラで真面目一直線だけど、
結構思考が乙女なのは【原作】でも薄々分かっていたけど、分かっていたけど。

まさか琥珀さんじゃなくてシオンがイベントを張るなんて…。
後、なんか、指に指輪があるのですけど…シオン、まさか本気なのか?

「………妹が錬金術師には気をつけろ。
 って耳が蛸になる程言っていたけど……本当に、そうね」

「ええ、まったく同意ですアルクェイド。
 手段を選ばないことは承知してましたけど、ここまでやるとは…」

背後から声。
ヤバイ、すっかり忘れていたけど、
この場には月姫のメインヒロインであるアルクェイドさん、シエル先輩がいる。
2人は揃って肩越しにボクが手にしていた手紙を読んでいた、つまり…そのシオンの写真も。

「シエル、私さ、エクストラ以来暴れていないし、暴れていいよね?
 後、あの錬金術師のことだから途中で障害とか妨害があるだろうし、コンビを組まない?」

「奇遇ですねアルクェイド、今の私もまた少し暴れたい気分です。
 何時もなら断る所でしたが、貴女とコンビを組むのもやぶさかではありません」

「じゃあ、決定。よろしくね、シエル」

「こちらこそ、アルクェイド」

がっしり、と握手を交わす吸血鬼と代行者。
2人の口元は綻んでいるが――――眼は全然笑っていない。
あの泥棒猫を殴ッ血KiLL!!と怒りに爛々と眼を輝かせている。

シオン、そして多分八つ当たりされるであろう志貴。
すまん、この2人を止めることできない、出来るのは君達の骨を拾ってあげることだけだ…。

「ねえ、貴女たちも朴念仁を奪われた口でしょ?
 どうせ行き先は同じみたいだし、一緒に行動しない?」

「あ、同じなんだ。いいよー」

「同じく賛成です」

さらに遠坂さんの連合提案。
その申し込みに2人はあっさりと承諾した。
かくしてここに魔術師、ラスボス、英霊、真祖、代行者の連合が結成された。

……うーむ、相対する相手は骨どころか灰すら残らないような面子だな。

「で、さっちんも行くよね?」
「あ、いや、その、だな」

なんて考えていたけど、アルクェイドさんから話し掛けられたー!?
ボ、ボクとしてはシオンは自分から喧嘩を売ったからいいけど、うん。

寝ている姿をニコニコ動画でアップしやがった恨みとかあるし。
翻って、完全にとばっちりな志貴のために参加を辞退したいところだが、

「い・く・よ・ね」
「イエス・マイ・マスター」

だが、すまん。
志貴、真祖が眼を金色に輝かせて睨んでくる中で断る言葉なんていえない。

「話しは済んだようね、さあ、行くわよみんな!!」

怒りの炎を背負った遠坂さんの掛け声にヒロイン勢は無言でうなずいだ。
言葉は要らない、一斉に立ち上がり其々の得物を手にして出発しようとしたが、

「ふっふっふっふー。だがその前に私達を倒すのだな!」

背後から楽しげな声。
思わず全員振り返る。

というか、誰だこの声は?
普段は耳にしないけど、どこかで聞いたことがあるような?

「久しぶりだな、あかいあくま!!。
 ブラウニーを奪還したければ先にわたし達を倒すのだな!
 あかいあくまを倒せと私のガイアが囁く、カレイド・ブラック、ここに参上!」

何かの戦隊ヒーロー物のポーズをとった、
褐色肌で和服の似合う日本美人さんがそこにいた。

あかいあくま…?遠坂さんを知っている人か?
いや、この人はそうだ。遠坂さんとはいわゆる悪友関係である蒔寺楓さんだ。

うん、確かに和服が似合う美人さんだ。
中々凛々しい顔立ちをしているし、体型も体育会系なのかスリムで羨ましい。
…パンツ見えそうな位短く、色合い的にも派手な改造和服を着用している魔法少女コスをしているのを除けば。

「えっと、カレイド・ブラウンです。ど、どうか宜しくお願いします」

次は普通に挨拶をされた。
あ、どうも此方こそ宜しくお願いします。
先と違い栗毛の愛らしい少女は、陸上部の三枝由紀香さんだな。
今日は由紀香リリィでなくカレイドスタイルで行くつもりですか?

「恋愛相談と人間観察は魔法少女の仕事、カレイド・シルバーここに」

痛ったい服装だが、クールな口調を崩さず銀髪眼鏡の少女。
こちらは氷室鐘さんだな、たしか人間観察が趣味らしいけど、
カレイドなステッキの洗脳が解けた後の自分に果たしてどんな評価を下すのだろうか?

「魔法少女といえばツインテールだ!
 萌豚よツインテールを崇めよ、カレイド・グリーン、爆・誕!」

4人目は緑のツインテールの少女だ。
緑を基調にやはりカレイドな魔法少女姿であった。
ただしポーズがその、某北斗の腕を空に突き上げるポーズなのは如何なものか。
萌え豚兼ツインテールキャラの先輩の助言として、もっと萌え豚に媚びて…げふん、げふん。

で、隣でケータイ電話が浮いているけど、魔法少女のマスコットキャラのつもりか?
何で吸血鬼の気配がするのやら……ああ、アルクェイドさんが前に言っていた南京錠の吸血鬼だなあれは。
だとすれば彼女は「まほうつかいの箱」の桂木千鍵さんだ、間違いない。

「魔法少女は愛と勇気の物語、カレイド・オレンジ。みんなーよろしくーー!」

そして、その隣で向日葵のような笑顔を振りまく少女は、日比乃ひびきさんだ。
一見普通の女子高生だが、その正体は月姫で言うところセブン、俗にななこの愛称で親しまれている者と同じ。
つまり人間ではなく、死徒二十七祖コーバック・アルカトラスが生み出した聖典「トライテン」だ。

同じ聖典のななことは偶にマスターへの愚痴を聞いてあげる仲だけど、彼女と気が合いそうだ。
そして、彼女、さらに例のケータイさんとは色々面白い事が聞けそうだ。

「「「「「5人揃ってカレイド戦隊、ここに登場!」」」」」

掛け声と同時に戦隊ヒーロー物のお約束的な感じで背後で爆発した。
5人は揃って魔法少女姿で、これ以上ないドヤ顔で各々がキメポーズを決めていた。

……あ、あいたたたたたたた。
痛い、痛い、痛い、痛い、見ている側の心が痛い。
こんな姿を遠坂さんはされたのか…確かにこれは精神的にキツイ。

アルクェイドさんやシエル先輩はあまりの痛々しさに天を仰ぎ見ているし、
セイバーさんや桜さんも俯いたり、顔を背けたりしている。
ふと、カレイドな魔法少女では先輩格の遠坂さんはどうだろうか、と彼女を見る。

「―――――――」

彼女は操られている知り合いたちを見て、
ただ無表情で道化を演じる彼女達を無表情で見ていた。
哀れみといった感情もなく、ただただ痛々しい姿を見つめていた。

「――――笑い飛ばしてあげる。悪い夢はここで終わりよ、みんな」

凜ルートバッドエンドを彷彿させる台詞を口にした遠坂さんが宝石を手にして呟いた。

――――ああ、その通りだ。

遠坂さんの言う通り、ここで楽にしてあげるのがせめての慈悲なのだろう。
そうだ、悪い夢はここで終わりにしよう、彼女達のためにも終わらせよう。

「さて、新たな魔法少女の仲間は遠坂の野郎は兎も角、
 間桐は腹黒だから魔法少女的に合わないし、そうだなマジカル☆さつきをデビューさせ…」

よし、全力で殺ろう!








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