二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.11「変化」

2017-07-02 21:38:55 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「・・・知っている天井だ」

目が覚めたらよく知っている天井だった。
というか吸血鬼になった後に遠野家からあてがわれた自室だった。

太陽の光を直撃すると即死してしまうから基本締めっぱなしな窓のせいで全体的に薄暗い部屋。
後、吸血鬼の跳躍力で天井にタッチさせる遊びでうっかり爪を立てて天井に出来た傷なんてここしかない。

翡翠さんや秋葉さんにバレていない間に修復しないとなあ・・・・。

で、現実逃避はさて置き。
切り落とされた両腕はくっつけば治るので問題はない。

あるとすればまるで病院に運び込まれた恋人を心配するように、
しっかりとボクの右手を握ったまま寝ている遠野志貴がそこにいたことだ。

いや、さ。
心配してくれたいるのはありがたいよ。
だけど、そりれよりも志貴の方が体の具合を心配しなきゃいけないはず。
まあ、今は体調が良さそうなのは手から伝わる体温から分かるけど・・・ああああ、というか正直、気恥ずかしい!!

「目が覚めたようね、さつきさん。
 兄さんは寝てしまっていますけど相変わらず仲が宜しいようで」

「・・・あ、あははは」

何たってこの部屋には志貴以外の人間も同席しているのだから。
志貴の傍に座る秋葉さんが嫉妬交じりの視線と共に嫌味を零して来た。
髪の色こそ変わっていないけど、部屋の温度が数度下がりつつある気がする!

・・・それと緊張感で胃が痛い。

「腕の方は・・・まあ、あのアーパー吸血鬼と同類ですから問題なさそうね。
 例の錬金術師と戦って怪我をしたと聞いて館の主人として様子を見に来ましたけど、その必要はなかったようね」

ジト目でこちらを見つつ突き放すように秋葉さんはそう述べる。
事実とはいえ、怪我をした身でそう言われると結構キツイなー・・・。

まあ、でも。

「早速秋葉様による言葉のストレートパンチに面食らっているようですけど、ご心配なく。
 これは素直じゃない秋葉様なりの感情表現ですから、何たって弓塚さんが両腕を落とされたと聞いて・・・」

「お、おだまり琥珀!」

「やーん!暴力反対!パワハラだー!」

うん、こうなるのは分かっていた。

 


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【完成】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.10「憂鬱」

2017-01-23 22:31:47 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐ、は――――――」

足取りは重く、呼吸するたびに喉が焼けるような乾いた感触。
体力は消耗し、疲労で睡魔が絶え間なく襲いかかっている。

このままこの場で睡眠を取ることができればどんなに楽か。
そんな誘惑にシオンは心を動かされるが、それでも体は動き続ける。

何故ならいくら人気がないとはいえ、
彼女の計算によれば再度代行者に捕捉され、
今度こそ生命活動を強制的に停止させるに至るだろう。

ふと、その時シオンは思った。
今の自分はどんな姿になっているのだろうかと。
視線を下に向け、路地裏に散らばっている窓ガラスの破片に映る己の姿を見出す。

そこに映るのはこれまでになく酷い表情であった。
顔は青白く、目元は何日も徹夜してきたように疲労の極みであるのを示し、
おまけに代行者に傷つけられた生傷まであった。

「ふ―――――、なんて無様」

シオンの口から自嘲の言葉が漏れる。
何せこうも酷い状態となったのは全て自分自身が原因なのだから。

「長年の疑問が解決したにも関わらず、それを拒否。
 挙句タタリ打倒に必要な協力者とは戦闘状態に入る・・・。
 ふふふ、私と言う人間は計算ではなく感情的な人間だったとは初めて知りました」

自虐の台詞がシオン自身から発せられる。
自らを演算装置と見做す高速思考で感情という要素は省かれる。
計算において感情という計算できない要素は必要でなくむしろ邪魔である。

シオン・エルトナム・アトラシアという人間はだれよりもそれを実現してきた人間で、
これからもそうした生き方に疑問を抱いていなかったが・・・。

「異世界人、それもこの世界を俯角することができた人間の介入など計算外にもほどがあります」

壁に背を預け、シオンが嘆息する。
始めは遠野志貴の記憶から読み取ったなかに登場する重要人物、という程度の認識でしかなかった。

だから実際に弓塚さつきと邂逅した時、
『いつものように』エーテライトで情報を抜き取った。
そして得られた情報にシオン・エルトナム・アトラシアは全てを知った。

弓塚さつきが平行世界、否。
『この世界を物語として』観測できる存在は平行世界、
と言うよりも異世界人と表現した方がこの場合適格であろう。
そしてそんな存在などアトラス院の院長補佐に上り詰めた頭脳を以てしても理解不能であった。

「どう、すればいいのでしょうか?」

月を見上げるシオンからそんな言葉が漏れた。
これまでの人生で積み上げて来た物が通用せず、否定されたことにシオンは途方に暮れた。

「妹から聞いたけど、
 随分と派手に暴れたみたいね、錬金術師」

――――第三者の声が突然路地裏に響き渡る。
女性の、凛と響く声だ。
シオンは顔をゆっくりと下げ声の主を確認する。

暗闇にでも輝く黄金の金髪。
爛々と燃え盛る紅の瞳に造形美を極めた肉体と表情。
何よりも彼女が作り上げる空気は「人の形をした何か」をこれ以上なく主張していた。

「・・・真祖の姫」

「こんばんわ、エルトナムの末裔。
 今夜は良い月ね、私達みたいな魔性の者にとっては」

アルクェイド・ブリュンスタッド。
全ての吸血鬼の生み親である真祖の生き残り。
どういうわけか、極東に長期滞在しているのを把握しており、
タタリ打倒と吸血鬼化の治療に協力を求めるつもりであったが・・・。

「成程、ここが私の旅が終焉する場所ですか。
 ・・・いいでしょう、好きにしてください」

真祖の姫に関わる人間を害して生き残れるとはシオンは考えていない。
もはやこれまで、という心境で終わりを受け入れる。

しかし、シオンの諦めに対しアルクェイドは予想外の言葉を投げかけた。

「何勘違いしているのかしら?
 さっちんが傷ついた事には腹が立ったけど、
 私は別に貴女をここで殺すつもりなんて無いわ」

「なっ・・・!?」

呆れと共にシオンの決断を否定したのだ。
やれやれ、と言わんばかりの身振りすらしている。

「馬鹿な、何故です?
 目の前に吸血鬼がいる。
 それだけでも姫が動くだけの理由があるはずです!!」

魔術師の常識が崩れシオンはアルクェイドに問いただす。
吸血鬼を前にして行動を起こさない真祖の姫、という事実は受け入れがたい物であった。

「そんな事言われても意味がないし。
 ・・・そうね、強いて言うなら貴女の様子を見に来た、それだけよ」

「・・・・・・・・・」

殺す価値もない、
と言われての衝撃と様子見という想像の範疇外の回答にシオンの思考は停止する。
弓塚さつき、遠野志貴から抜き取った記録から魔術師が考える真祖の姫と、
実際の人物の間に大きな亀裂があることを知っていても予想外であった。

「それにしても、正直がっかりだわ
 てっきり私に突っかかって来るものかと期待していたけど、
 世界を知り過ぎて自ら絶望に捕らわれた歴代のアトラス院と同じ道を歩むなんて」

「――――——――—」

アルクェイドの言葉に対しシオンは沈黙を保つ。

「まあ、それが貴女の選択、
 ということなら別に私は止めないわ。
 ここのタタリは私やシエルで何とかするから三咲町から出ていくといいわ。
 それじゃ、もう会うこともないと思うけど、バイバイ――――」

「――――——――待ちなさい、アルクェイド・ブリュンスタッド」

踵を返し立ち去ろうとしたアルクェイドに沈黙を保っていたシオンが言葉を投げかけた。

「先ほどから随分と好き勝手に私を評していましたが、
 認めましょう、確かに私は所詮アトラス院という穴倉の住民。
 自らの行き先とこの世界の未来に絶望と狂気を覚える錬金術師です」

「ふぅん・・・?」

批評を素直に認めるシオンの話す内容にアルクェイドは足を止めた。
先ほどまで失せていた関心が再びシオンに向けられる。

「その上自分の矛盾を認められず癇癪を起した未熟者です。
 ・・・ですが、貴女が言うようにタタリから逃げることなど有りえません!
 タタリとの戦いは私が決着を付けねばならない事情で、そのために此処まで来たのですから」

僅かに残った意地と勇気を頼りにシオンは己の内心を口にした。
これまで自分自身を欺いていた事実を認めつつタタリから逃げないという発言。
その内容にアルクェイドは・・・。

「・・・あは、あはははははは!!
 成程、貴女は意地だけを頼りにしているのね。
 愚かね、貴女程度でタタリに敵うとは自分で分かっているはずよ?」

腹を抱えて爆笑した。
金髪の髪が乱れ、瞳には涙さえ浮かべている。
眼の前にいる人間が抱える矛盾と愚かさに笑い続ける。

「魔術師としては失格だけど―――――――私はそういう人間の事嫌いじゃないわ」

だが、遠野志貴に『壊され』た後、
そうした人間という種族の性質を理解しそれを良し、
とするアルクェイドはシオンの発言に対しそう締めくくる。

「じゃあ、今夜はこれで。
 貴女の健闘を期待するわ」

再度踵を返し、
今度こそ立ち去ろうとする、その時。

「ところで、真祖の姫はどこまで知っているのですか?『弓塚さつき』という異物を」

シオンの質問が飛ぶ。
夜の路地裏に響いたその声は冬の様に冷たく、
肌を突き刺す緊張感がこの場を支配し、重い空気が流れる。

「――—―――—さあ、私が知るさっちんは、私が認識するさっちんしか知らないわよ」

一拍間を開けてアルクェイドが質問に答える。
しかし顔は振り向かず背をシオンに向けたままだ。
そしてその声の音は先ほどまでの感情豊かな音声と違い抑制された音調である。

「好奇心が強いのは感心するわ。
 でもね、あまり深入りすることをお勧めしないわね。
 今回は腹を立てた程度にしたけど――――――—次はないから」

「――――――——っ!!?」

刹那、濃厚な殺意が夜の路地裏を制する。
人には耐えがたい強烈な意思と気配に気圧され、
シオンは吐き気を堪えるように口を手で塞ぎ堪える。

「今度こそ、ばいばい。
 せいぜい足掻きなさい。
 それが未来を目指す人間のあるべき姿であり、
 過去にしがみ付く吸血鬼との最大の違いだのも」

言い終えるとシオンの方へ顔を振りことなく、
手をひらひらと手を振りアルクェイドはその場から立ち去る。

残されたシオンはただ茫然とその後ろ姿を見送る事しかできず、
より深い夜の闇に消えゆくアルクェイドの姿が見えなくなるまでその後ろ姿を見つめた。







 
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.10「苦悩」

2016-11-20 20:11:45 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐ、は――――――」

足取りは重く、呼吸するたびに喉が焼けるような乾いた感触。
体力は消耗し、疲労で睡魔が絶え間なく襲いかかっている。

このままこの場で睡眠を取ることができればどんなに楽か。
そんな誘惑にシオンは心を動かされるが、それでも体は動き続ける。

何故ならいくら人気がないとはいえ、
彼女の計算によれば再度代行者に捕捉され、
今度こそ生命活動を強制的に停止させるに至るだろう。

ふと、その時シオンは思った。
今の自分はどんな姿になっているのだろうかと。
視線を下に向け、路地裏に散らばっている窓ガラスの破片に映る己の姿を見出す。

そこに映るのはこれまでになく酷い表情であった。
顔は青白く、目元は何日も徹夜してきたように疲労の極みであるのを示し、
おまけに代行者に傷つけられた生傷まであった。

「ふ―――――、なんて無様」

シオンの口から自嘲の言葉が漏れる。
何せこうも酷い状態となったのは全て自分自身が原因なのだから。

「長年の疑問が解決したにも関わらず、それを拒否。
 挙句タタリ打倒に必要な協力者とは戦闘状態に入る・・・。
 ふふふ、私と言う人間は計算ではなく感情的な人間だったとは初めて知りました」

自虐の台詞がシオン自身から発せられる。
自らを演算装置と見做す高速思考で感情という要素は省かれる。
計算において感情という計算できない要素は必要でなくむしろ邪魔である。

シオン・エルトナム・アトラシアという人間はだれよりもそれを実現してきた人間で、
これからもそうした生き方に疑問を抱いていなかったが・・・。

「異世界人、それもこの世界を俯角することができた人間の介入など計算外にもほどがあります」

壁に背を預け、シオンが嘆息する。
始めは遠野志貴の記憶から読み取ったなかに登場する重要人物、という程度の認識でしかなかった。

だから実際に弓塚さつきと邂逅した時、
『いつものように』エーテライトで情報を抜き取った。






コメント
この記事をはてなブックマークに追加

弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.9「対立」

2016-11-04 23:23:16 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐっ――――!」

シオンの叫びと同時に魔力を放出。
身体に突き刺さっているであろうエーテライトを無理やり取り除く。

そして、後ろに跳躍する。
が、間に合わず両腕がエーテライトで切断された。
飛び散る腕、そして血が志貴の部屋を汚してしまう。

「しっ!」

申し訳ないと考ええるよりも先にシオンの第ニ撃が迫る。
腕がないから鋭い蹴りを体を捻ることで避けるけど―――駄目だ!

「がっ!?」

次の一撃をまともに受けてしまったっ…!!
その細い体から出せたとは思えない程重い正拳突きだ。

骨が軋む、いや肋骨が折れた。
肺から強制的に空気が排出され意識が飛ぶ、痛いっ!!

「さつき!」

一連の出来事が終わった直後、志貴が立ち上がる。
けど、多分ボクを助けることは、

「遠野志貴、貴方はそこで止まっていなさい」
「な、何を言っているんだシオン!大体―――な、動け、ない!?」

やはり無理だ。
魔術回路もない志貴ではエーテライトで簡単に体を操られてしまう。
で、こっちは吸血鬼が苦手な朝な上にとっくにダメージを受けていると来た。

状況は極めて悪い。

「弓塚さつき。貴方はここで亡くなるべきだ。
 貴方という存在がタタリを強化させ、手に負えない存在にしてしまう。
逆に貴方が亡くなればタタリへの勝算は最低3パーセント向上するのですから」

さっきまでラブでコメっていた人間とは思えない程淡々とした声で彼女は言葉を綴った。
いや、しかしそれにしても・・・。

「・・・何が可笑しいのですか弓塚さつき?」

ああ、いけない。
面白すぎて思わず顔が笑顔を浮かべている。
両腕がなくなっているのに我ながら実に陽気なものだ。

「いや、あははは、
 想像通りの人間だなって」

「――——―――——不愉快ですね、
 私の考えを見抜いているとでも?
 『キャラクター』相手だから何でも知っているつもりですか?」

シオンはご機嫌斜めのようだ。
すんごい表情で今睨まれている。

うん、ここは正直に話した方が良さそうだ。
元々頭が良い彼女相手に小手先の誤魔化しなんて通用しないだろうし。

「まあ、それもある。
 けど知ってはいたけど、
 勝算が3パーセント上がっても『タタリに絶対勝てない』
 と内心理解しているはずなのにそんな言葉を口にする人間だったから、ね」

「・・・黙りなさい」

シオン・エルトナム・アトラシア。
という人間は理論を重んじる魔術師である一方で、
タタリに執着する感情的な人間であり、その内心は矛盾を含んでいる。

例え吸血鬼化しても魔術の研究は不可能ではない、
むしろ寿命が短い人間以上に研究時間を確保できる、
と喜ぶのが『普通の魔術師』である・・・衛宮切嗣の父親がそうだったように。

「どこまでボクの頭を覗いたか分からないけど、
 そもそもこんな事をして意味がないことぐらい理解しているはずだよ。
 ボクを殺せばアルクェイドさんとシエル先輩から狙われることくらい知っているはずだよね」

「・・・・・・・・・」

この場でボクを殺害すれば2人は間違いなくシオンを脅威と看做す。
場合によってはより倒しやすい敵としてタタリより先にシオンの排除を試みるだろう。

志貴の記憶や思考を読み取っているならば、
方や真祖の姫、もう片方は埋葬機関の殺し屋と、
通常ならば手を組むなどありえないと思われる2人が実のところ仲が良く、
彼女らの知り合いに手を出せばただでは済まないことが想像できるはずだ。

ではなぜこうなったのか?

「戸惑い?それとも困惑?
 あるいは混乱して何が何だが分からない状態なのかな?
 まあ、でもこの行為はどちらかと言えば八つ当たりと言えるか」

「黙りなさい!」

シオンのエーテライトによる一閃。
しかし先ほどとは違い大振りな動作ゆえに簡単に避けることができた。

「冷静じゃなないね、
 やっぱり八つ当たりだね」

「その口を閉じなさい!
 貴女に何が分かると言うのですか!?
 己が抱いていた矛盾に無理やり気づかされた苦悩を!
 そして身体を蝕む吸血鬼としての衝動、飢えと渇きを彷徨う苦しみに!」

絶叫。
それは彼女が数年に渡って蓄積された感情の発露でもあった。

負の感情が盛大に爆発したせいか吸血鬼の力を制御しきれず、
紫色の瞳も今はボクと同じく吸血鬼の血のような紅色の瞳へと変化している。

「まあ、たしかに分からないね。
 事前に【知っていた】としても何せ他人様のことだから」

嘘ではない。
現にシオンがこうして激高するなど予想できなかった。
事前に彼女の事を知っていたとしても所詮紙の上だけの知識にすぎなかった。

それを今痛感している。

「だけど、その苦しさは理解できる。
 ボクだって経験したから、吸血鬼の衝動には」

今だって覚えている。
人の生き血を啜りたいという止められない欲望。
人を人として見ず、血袋として認識する欠落した論理感。
吸血鬼という二次元の世界の住民に成れた喜びよりも自身に恐怖を覚えた。

「だからお互いに【これから】理解し、分かり合えるはず。
 このタタリの騒動がシオンの想定よりも悪化していたとしても、
 協力しあえばタタリを抹殺できなくても退けることぐらいできるよ、きっと」

「戯言を・・・」

「うん、まあ。
 戯言なのは知った上での発言だよ、勿論。
 だけど、このままだと勝ち目何て最初から皆無だと思うけど?」

「・・・・・・・・・」

沈黙するシオン。
何かと理由を付けていたけど、
結局のところ感情的な行為でしかなにのは薄々理解していたみたいだ。

特異の計算でもしているのだろうか、
視線はボクや志毅ではなく何もない場所を向いている。

「・・・私が事前に知っていた遠野志毅の戦闘能力。
 そして貴女と貴女の知識を持ってもしてもタタリへの勝率はさほど変わりません」

そして静かにシオンが口を開いた。

「しかし、分岐する可能性。
 という要素が非常に変化に富んでいました。
 特に真祖の姫の手によって「朱い月」を再現させることが鍵であり、
 これ以外にタタリを完全に打倒する手立てはなく、姫と協力関係を結ぶことが肝心。
 そのためには目の前にいる異邦人、弓塚さつきを通じて姫と協力関係を結ぶことが必要――——そう結論がでました」

「うわ、アルクェイドさんと協力するためだけにボクが必要なだけか、傷つくな。
 こっちでも仲良く路地裏同盟を結成して、夜のプールに忍び込んだり、ピラミッドで遊びたかったのに」

「生憎、貴女となれ合うつもりはありません。
 それに、その可能性を歩んだ私と弓塚さつきが友好関係を結べた理由は、
 例え吸血鬼なっても弓塚さつきが魔術をまったく知らない一般人であったからでしょう。
 ロアの知識を継承し、半分魔術の世界の住民である貴女には魔術師として接していただきます」

こちらの冗談に対して、
冷ややかな目でセメント対応されてしまった。

魔術師として対応、か。
まあ、それは仕方がないと言えば仕方がない。
【原作】で弓塚さつきとシオンが和気藹々とやれたのも、
強力極まりない吸血鬼にも拘わらず、一般人感覚が抜けていなかったからだ。

だけど・・・。

「つまり【魔術師として】協力し合えるわけかな?」

「その通り、魔術師としてタタリ打倒の契約を交わすことを提案します」

友達感覚で協力こそできなくとも、
魔術師として協力し合うことは可能だ。

行き成り腕を切り落とされ、
殺されかけたことには思うところがある。
だけど、タタリ打倒にはシオンの協力も必要だ。


だから回答は――――。


刹那、窓を打ち破って黒鍵が部屋に飛び込んできた。
投擲された剣とは思えぬ威力を保ったそれは部屋を派手に破壊する。

「っつぁ・・・!?」

一振りがシオンに命中し、吹き飛ぶ。
ドアを打ち破り、廊下へとたたき出される。
黒鍵なんて代物を操る人間は1人しかいない。


「御無事ですか遠野君!弓塚さん!!」


シエル先輩だ。




 










 


コメント
この記事をはてなブックマークに追加

【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.9「対立」

2015-08-03 21:46:47 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

「ぐっ――――!」

シオンの叫びと同時に魔力を放出。
身体に突き刺さっているであろうエーテライトを無理やり取り除く。

そして、後ろに跳躍する。
が、間に合わず両腕がエーテライトで切断された。
飛び散る腕、そして血が志貴の部屋を汚してしまう。

「しっ!」

申し訳ないと考ええるよりも先にシオンの第ニ撃が迫る。
腕がないから鋭い蹴りを体を捻ることで避けるけど―――駄目だ!

「がっ!?」

次の一撃をまともに受けてしまったっ…!!
その細い体から出せたとは思えない程重い正拳突きだ。

骨が軋む、いや肋骨が折れた。
肺から強制的に空気が排出され意識が飛ぶ、痛いっ!!

「さつき!」

一連の出来事が終わった直後、志貴が立ち上がる。
けど、多分ボクを助けることは、

「遠野志貴、貴方はそこで止まっていなさい」
「な、何を言っているんだシオン!大体―――な、動け、ない!?」

やはり無理だ。
魔術回路もない志貴ではエーテライトで簡単に体を操られてしまう。
で、こっちは吸血鬼が苦手な朝な上にとっくにダメージを受けていると来た。

状況は極めて悪い。

「弓塚さつき。貴方はここで亡くなるべきだ。
 貴方という存在がタタリを強化させ、手に負えない存在にしてしまう。
 逆に貴方が亡くなればタタリへの勝算は最低3パーセント向上するのですから」

さっきまでラブでコメっていた人間とは思えない程淡々とした声で彼女は言葉を綴った。















コメント
この記事をはてなブックマークに追加