二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ガールズ&ドリフターズ!!(ドリフターズ×ガールズ&パンツァー「ゆきゆきて戦車道」より)上『修正』

2016-02-02 21:07:18 | 習作SS


「家に帰ったら作りかけだったタイガーⅠ、黒森峰・西住みほ使用を完成させなきゃ…」

――――秋山優花里


「それより…行き先を行ってくれ。
 早く…命が保っている内に、そのために戻って来たんだ…」

――――冷泉麻子



※  ※  ※



「…………う?」

西住みほが目を覚ました場所は、
白い壁と天井で出来た廊下が地平線の先まで延々と続く場所。
両側の壁にはあらゆる時代、国の扉が延々と並んでいる。

「ここは――――いったい?」

異様な光景だった。
人が住むにしては奇妙な構造である。
そして、何よりもこの場所の異様さを演出する存在が目の前にいた。

「…………」

男がいた。
四角眼鏡を掛けた白人の男性がデスクに座り新聞を読んでいた。
この廊下のような場所のど真ん中にデスクを構えていることも可笑しいが、
男は優雅に珈琲を片手に新聞を読んでおり、脇には待合カードの発券機とまるで役所の窓口だ、とみほは思った。

「…………」
「っ…!」

男がみほを一瞥する。
突然自分を見たことにドキリとするが、
男は市役所の職員のように愛想のない態度で口を開いた。

「次」
「えっ?」

男が机の上にある書類を手に取ると、
面接官のようにみほを書類とみほを見比べる。

「あ、あの。 
 ここはどこですか?
 まあどうせ地獄の裁判所でしょう、分かってますよ。
 ええ、どうせ自分は天国なんかに行けるはずがないですから」

「…………」

そう自虐するみほ。
今では憎悪の対象である硬式戦車道。
その最後の戦いであるかつての母校である黒森峰との戦い。

ここで大洗のチームはみほを除き全滅。
普通の女の子だったが黒森峰のSSにも劣らぬ彼女らの最後を見届けた後、
その死を無駄にせさないため、ただ1人で大洗が黒森峰に勝利した事実を作るべく黒森峰女学園に向かい、
その頂上に大洗の旗を打ち立てたことで、今まで犠牲を意味のあるものにした。

その後の長い人生はあの時ほど波乱に満ちたものではなく、
平穏であったが、安全な戦車道の普及に人生を奉げ半世紀以上生き延びた。
否、10代そこらで仲間を殺しておいて自分だけが生き残ってしまった。

老いに負け、体が徐々に動かなくなり、みほは意識を失い死を確信した。
しかし、こうして生きている事実にみほは混乱していた。

「………」

だが男は、紫はそんなみほの様子を無視するかのように書類に万年筆を走らせる。

「――なに、これ?」

気づいた時。
みほは廊下に並んだ扉の1つに片手を吸い込まれていた。
開いた扉の先には何も見えない暗闇で、徐々に飲み込まれてゆく。

「な、何を――!?」

みほは扉の角に手を掴み、
足に力を入れて抵抗するが無意味であった。
ずるずると扉の中に引きづられ、やがてみほは消えうせた。

「…………」

残ったのは男のみ。
そして男は次の来訪者を待つ。

「次」



※  ※  ※



「よし、大丈夫だ」

草むらの中から1人のエルフの青年が飛び出した。
懐には釣った魚を抱えており、森に近い草原を疾走する。
周囲を警戒し、怯えるように、辺りに視線を動かして村へ帰るべく走る。

(くそ、戦争に負けていなかれば、こんな風にこそこそとする必要がないのに!)

本来ならば誇り高い森の民であるエルフ。
だが今から40年ほど前の戦争でエルフは最下層の農奴階級へ落とされた。

以来、エルフが森に入ること、さらには弓を作ることが禁じられ、
昔ならば森の木の実、野鳥、川の魚を取ることもできたがその全てが出来ない。
慣れない農作業で収穫した作物も税として取られ、生きるにギリギリの日々である。
だからこそ、生きるためにこうして隠れるように森の産物をエルフの青年シャラは取っていた。

「ん?」

草原で人が倒れているのを発見する。
それだけならば、それで済んだのだが、
問題は倒れている少女はこの周囲では見慣れぬ姿であったことだ。

「耳なし、いや……まさか、漂流者!」

みほに気づいたシャラが恐る恐る近寄り――――。

「止マレ」
「っ!!」

突然横から、筒にような物を構えた黒髪の少女がシャラに制止を呼びかけた。
見た目は小柄の10代の半ばをようやく過ぎた少女であるが驚愕の声を漏らした。

「ドリフターズ…っ!!」

漂流者、ドリフターズ。
それはこの世界に流れついた異邦人の総称。

通常、そうした漂流者たちの管理は「十月機関」の魔術師が行い、
オルテ帝国の最下層人種であるエルフに関わることは許されていない。
そして、目の前の少女は約半年前から独眼の男と共にやって来た漂流者であるのをシャラは知っていた。

「何ヲシヨウトシテイタ?」
「お、俺は何もしていない!」

小柄な少女から出される殺意に慌てる。
だが、少女は同じ弓使いのドリフターズと同じく一切の隙はでない。

何もしていないのにこの仕打ち。
この理不尽、だからシャラはありのまま心境をヤケクソ気味に叫んだ。

「あ、あんた等の仲間だろ!
 放っておいたら領主の怒りを買うし、
 関わったら関わったで領主に怒りを買うから早く引き取ってくれ!」

「…………」

シャラの言葉に少女は沈黙している。
だが、腰から下げたもの、捕獲した野鳥をシャラに投げ渡す。

「受ケ取レ、礼ダ」
「っ!」

森に入ることが許されず、
取れなくなった貴重な食料である野鳥。
鶏も飼ってはいるが同じく税として取られるため碌に口にしてない。

思わず唾を飲み込むが、同時に人間から施しを受けた。
その事実に心が一瞬揺れるが、空腹がエルフのプライドよりも優位に立った。

「感謝はしない!だが受け取ってやる!」

だがそこで感謝の言葉を言わないのがエルフの矜持の高さであり、
シャラは野鳥を抱えて少女から直ぐに去って行った。

「……みほ、やっぱり来たんだなこっちに」

残された少女は銃を降ろし、
気を失っている少女を改めてみてそう呟いた。



※  ※  ※



「あ―――れ、ここは?」

古びた石の部屋の中でみほは目を覚ました。
固い石の床で寝ていたせいで背中が痛く、体の彼方此方が固い。
数秒ほど、ボンヤリと天井をみほは眺めていたが、横からみほの様子を見に来た。

「ん、起きたか。優花里、みほが起きたぞ」
「え、嘘。麻子さん!どうして、貴女は、あの時、」

冷泉麻子だ。
あの時と変わらぬぶっきらぼうな口調であった。
だが、みほは有り得ない光景に声を震わせる。

何故なら彼女は黒森峰との最終決戦で負傷。
みほを中心街に送り届けた所で、その命を燃やし尽くしたはずだから。

「それに今、優花理って。ゆかりもいるのですか!?」
「はい、自分はここに居ます西住殿」
「っ!!」

声が聞こえた方向に顔を向ける。
廃墟の中、彼女、秋山優花理がそこにいた。
榴弾で引き裂かれた腹はなく、五体満足で彼女は立っていた。

「お待ちしていました。
 そして、お疲れ様です西住殿」

「ゆかり……」

みほに敬礼を送る優花理。
これにみほは彼女の名を呟く程度の反応しかできなかった。

「おう、お前らの大将が目覚めたのか?」

感傷に浸っていた中。
野太い男性の声と共に第三者が現れた。

「え、あ、あの誰ですか?」

年は50ほど。
髪や髭は伸び放題で清潔感がまったく見られない。
だが、肌蹴た服の上から見える肉体には一切の贅肉は見られず鍛えられているのが分かる。

そして、何よりも片方しかない眼に宿す光りは鋭い。
そう、硬式戦車道で命のやり取りをした者だけがあの鋭い瞳だ。

「結構、結構。それは何よりです」

さらに20代の青年が独眼の男の背後から現れる。
中性的な顔立ちで、長い黒髪と相俟って女性のように見えるが、肩の形状から男性であることが分かる。

「ゆかり、この人たちは誰?」
「あーそのー、多分話しても信じられませんが……」

みほが優花理に疑問を投げつける。
何せ独眼の男に、美青年のコンビなど今まで接点などなかったはずだ。
おまけに2人が着込んでいる服装はまるで京都の映画村に出てきそうな姿をしている。
これで、疑問を覚えるなと言うほうが可笑しいだろう。

「まずはご飯をたべましょう、西住殿」

優花理はみほを食事に誘った。





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