二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【完成】ヴァルハラの乙女 第26話「芋大尉とスピード娘の驚愕」

2016-06-19 23:07:25 | ヴァルハラの乙女

「おはよう、トゥルーデ」
「こちらこそ、おはようミーナ」

昨夜の夜食は終わり、朝が来た。
起床ラッパと共に目覚め、自室での腕立てを終え、
いつも通りて食堂に向かう道中でミーナと出会った。
表情もまた何時ものように人を安心させる爽やかな笑みを浮かべている。

しかし、よくよく見ると書類仕事をしていたのか、目元がやや疲れているように見える。
現に仕事の事前確認でもしていたのかミーナの手には書類を挟んだボードがあった。

「あ、これね。
 御免なさいね。
 普段食堂までは持って行かないけど、
 食事を終えたら直ぐに格納庫に保管してある部品を見ておきたいから」

こちらの視線に気づいたミーナが書類を隠すように持ち直す。

「あ、いや。すまない。
 単に珍しいな、と思っただけだ」

気を使われたので謝罪の意を表明する。
別に食事の場に仕事の事を持ち出したことにワタシは気にしていない。
むしろ、20にもなっていないのにここまで熱心なのに感心したいくらいだ。

前世でミーナ位の歳だったころなんて阿保な学生だったし・・・。
その後もやっぱり阿保な社会人だったし、頭が上がらないという・・・。

「ところでトゥルーデ。
 ルッキーニさんを見なかったかしら?
 さっきシャーリーさんがあの子を探していたのだけど見当たらないらしいわ」

脳内で阿保な前世の自分を殴る妄想が浮かびあがっていた中。
ミーナがルッキーニの行方を尋ねて来た。

「施設の外に作った秘密基地にでも隠れているじゃないのか。
 あるいは木の上か、格納庫の梁とかに寝ているのでは?」

ミーナの質問にワタシは一般論で対応した。
これまでの彼女の習性からすれば自室で寝ているなんてことはまずない。
大抵は木の上や梁、それに秘密基地で寝泊まりしている。

自室にいない。
とはいえルッキーニが寝る場所は大体限られているし、
起床時間になればサボタージュすることなく素直に食堂に来る。

にも拘わらず行方が知らないとは、

「珍しいな、シャーリーも知らないなんて」

「ええ、そうよね。
 ルッキーニさんの事を一番よく知る彼女が分からないなんて珍しいわ」

そしてさらに珍しいのはシャーリーがルッキーニの居場所を知らないことだ。
まさかあまり考えたくないことだが……。

「脱走か?」

「以前は母親に会いたい、という理由であったけど。
 シャーリーさんが来て以来はそうしたことはなくなったからないと思うわ」

「まあ、確かに・・・」

14、15の少女が当たり前にように最前線で戦うのがウィッチの宿命とはいえ、
ルッキーニはその更に下の12歳で精神的に極めて幼く、母親に会いたいがために脱走を繰り返したせいで、
厄介払いも兼ねてこちらに送り込まれたが、501でもシャーリーが来ていない間しばらくの間は脱走騒ぎを起こし、
ミーナに少佐、それにワタシも含めその対策に頭を痛めていたのがシャーリーのお陰でその問題はなくなった。

「だとするとますます分からない。
 単に新しく作った秘密基地で寝泊まりしているだけ。
 そう思いたいが…わざわざミーナがこうしてワタシに聞いてきた、
 ということは、ミーナは何か嫌な予感でも感じたのか?」

「ええ、そうよ。
 あの子は気を抜くと何かをやらかすから……」

こちらの質問にミーナは憂鬱な表情を浮かべ答えた。
・・・あのお子様に一番苦労しているのはミーナだったな、うん。

大事な機材を破壊されてその後の後始末に頭を痛め、
罰として拳骨やお尻叩きに処してやった側のミーナが手を痛めたり、と色々あったな、本当に……。

「見かけたら直ぐに連絡する」
「お願いね」

一先ずワタシに出来ることはこれだけだ。

「まあ、だけどもうすぐ朝食の時間だから案外直ぐに来るかもしれないな。
 あのお子様は何があっても食事を抜くなんてことは今までしてこなかったから」

イタリア人。
いや、こっちではロマーニャ人だったな。
兎に角ルッキーニが食の快楽を無視するなんてありえない。
おまけに「お腹が空いたら即座に食堂に向かって走る」程度の子供だ。

だからあの無邪気な性格と相まって可愛いといえば可愛いのだが、
機材を破壊したり、武器をなくしたり、脱走するような問題児でなかければさらに良かったけどな!

「・・・そうね、ルッキーニさんなら案外先に食堂で待っているかもしれないわね」

ワタシの予想にミーナは微笑と共に肯定した。

「ああ、それとトゥルーデ。
 オリエンテーションも兼ねた例の海水浴の件だけど…」

「ん、それなら大丈夫だ。
 朝確認したけど、機材に問題はない」

「それなら安心ね」

部隊で海水浴と遊ぶ予定だが、
宮藤とリーネは先にユニットを装着した状態での水泳訓練を受けてもらう予定だ。
同時にこの海水浴の日が次のネウロイ襲撃の合図であり、転生者として色々準備する必要がある、万が一に備えて。

そうだな、ネウロイが高速で振り切る可能性を考えると進行ルート上で待ち伏せできたらいい。
ワイト島の部隊にも根回しをして、『偶然』ネウロイを待ち伏せできるように誘導しよう。

「なあ、ミーナ」

と、そこまで言いかけた所で、
ふと窓の外に一条の飛行機雲が伸びているのに気付く。
大陸からブリタニアに向かう航路をとっており、味方の強行偵察が帰ってきた。

なんて考えは基地に鳴り響いた警報のせいで一瞬で打ち破られた。

「こんな朝から敵襲・・・!?」

ミーナが驚愕の言葉を零す。
しかし、それ以上にワタシはまた歴史が変わったことに驚愕していた。

・・・いや、あるいは変えたのは自分のせいかもしれない。
次のネウロイ襲撃の日は【部隊での海水浴の日】であるのは事実だ。
しかし正確な日付は分からず想定がされた日時が【原作より遅れている】ので、今このタイミングでネウロイが来たのだろう。
空母「赤城」の時は入港日とかが正確に分っていたら対処できたが、やはり日時が定かでないものには対処に限界がある・・・っ!

「兎に角格納庫へ向かいます!
 バルクホルン大尉は直ちに出撃してください」

「了解した!」

愚痴は置いといてまずはネウロイを倒すか。
・・・シャーリーのユニットの実験がまだできていないが、何とかするしかない。



※   ※   ※



格納庫は混乱の渦中にあった。

「なんで私ハルトマン中尉のユニットを履いているのーーーっ!!?」

真っ先に格納庫に駆けつけたのは意外な事にリーネであった。
偶々近くを通っていたために誰よりも先にストライカーユニットを何時もの定位置で履き、
始動、そして離陸、という段階まで来たが履いているユニットが何時ものスピットファイアではなく、
エーリカ・ハルトマンが使用するメッサーシャルフであることに気づき、慌てる。

そして履いたこともないユニットの操作などリーネには難しく、結果。

「ひゃあああああ!!?」

離陸に失敗。
派手に横転し滑走路を転がる。
怪我こそウィッチの魔法力とシールドでなかったがユニットが損傷。
自動的にリーネの足から脱がされ、その後ろに吹き飛ぶ。

「ちょっ!?」

そこには丁度リーネの後から離陸しようと滑走を始めたペリーヌがおり、
即座に避けようと試みるがこちらも何時も通りの場所で自分のユニットを履いたつもりが、
今まで履いたことがないサーニャのユニットを履いてしまい、そのせいで細かい挙動が疎かになり。

「な、なあああああ!?」

咄嗟に避けようとして壁にぶつかりペリーヌも離陸に失敗する。

「何やっているんだヨ!
 ・・・って、私のユニットがない!?
 何でここにツンツン眼鏡のがあるんだヨー!
 どこに行った!というか何でペリーヌがサーニャのを履いているのだヨ!」

駆けつけたエイラがリーネとペリーヌの失態に叫ぶが、
本来あるはずのユニットが何故かツンツン眼鏡ことこペリーヌのが設置されていることに驚く、
同時にサーニャのをペリーヌが履いている事実に嫉妬し、頬を膨らませる。

「どいてくれ!リーネ、ペリーヌ!」

混乱の最中。
唯一無事自分のユニットを履けたシャーリーが離陸準備に入る。
しかし、表情には陽気な彼女には珍しく焦りを浮かべていた。

(まさか普段と違う場所にユニットがあっただけでこんなに混乱するなんて。
 しかも、こんな事をしたのはルッキーニだけだ、この混乱の責任を取らされ最悪・・・。
 ルッキーニを守るためには『ネウロイを撃墜した』という部隊の名目を守って帰らなきゃだめだ!)

ユニットを入れ替える悪戯で、スクランブルに支障を応じさせた。
しかも器物破損の損害を引き起こす原因を作ったのは重大な軍機違反で処罰は免れず、
最悪501から追放される可能性があり、それを防ぐためにシャーリーはネウロイを必ず倒す必要が求められた。

(銃は宮藤の奴で何時もと感覚が違うけど、
 銃は銃だから何とかなる、しかしどういうことだ?
 今日のユニットはやたらと魔力を食らう上に馬力の上限がなくなっているみたいだ。
 朝からルッキーニは見かけないし・・・まさかまさかリミッターが外れている!!?)

長い付き合いゆえに、
ルッキーニの行動原理を理解したシャーリーは、
ユニットの不調について1つの結論を下した。

(リミッターが外れたユニットなんて魔法力をユニットに吸い尽くされ、
 空中で気絶、墜落する危険があるから私でもしなかったけど・・・。
 いや直ぐにネウロイを撃墜すれば問題ない、あああくそ!帰ってからお尻を叩いてやる!)

自分が墜落する可能性について迷いを振り切るとシャーリーは叫んだ。

「シャーロット・E・イェーガー、出る!」

そして彼女は空へと飛んだ。
















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