Mars&Jupiter

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ショスタコーヴィッチの歌曲集「ユダヤの民族詩より」を聴きながら横浜から星川まで歩く

2008-03-22 10:48:36 | ショスタコーヴィチの作品
昨日は横浜から星川駅まで歩きました。
途中聴いたのは、ショスタコーヴィッチの歌曲集。
「ユダヤの民族詩より」作品79は、
1948年に作曲されたが、この曲が初演されたのは、
スターリンが亡くなってから2年後の1955年である。
ソプラノ、コントラルト、テノールと管弦楽のための作品で、
歌詞の内容からみると暗い影のある音楽だ。
マーラーの「亡き子をしのぶ歌」を想起させる。
しかし、内容的にはそれとは違っているし、
彼らしく管弦楽の伴奏もすばらしく、
なかなか聴きごたえのある作品である。

第1曲「死んだおさな子を嘆く」は、
オーボエが奏でる悲しい旋律とともに
管弦楽の伴奏にのってソプラノとコントラルトが、
息子を失った母親の嘆きが沈鬱な感じで歌われる。
第2曲「心配性の母と叔母」では、
ソプラノとコントラルトが子どもの体を心配する
母親の姿が、東洋的な旋律にのって淡々と歌われる。
第3曲「子守歌」もオーボエが東洋的な旋律を奏でて始まる。
コントラルトにより歌われるのは子守歌ではあるが、
歌詞をみると父親は今シベリアの牢獄にいるのだと
母親が子どもに話すのだから、けっして明るくはない。
第4曲「長い別れの前」は、ソプラノとテノールによる曲。
男女二人の別れを告げる場面が、嘆きとともに歌われる。

第5曲「警告」は、東洋風の旋律にのってソプラノが、
外出しようとする子どもに警告する歌である。
第6曲「捨てられた父親」は、
コントラルトとテノールによる曲。
娘に捨てられた父の手を振りほどいて、
父親から去っていく娘の姿と父親の嘆きが歌われる。
第7曲「貧乏の歌」は、テノールによる短い歌。
管弦楽の伴奏は彼らしい軽快な諧謔的な曲であるが、
内容は生活の苦しさを歌っているのだから暗い。
第8曲「冬」は、瞑想的な感じの曲であるが、
歌詞の内容はまた冬の厳しい寒さが
戻ってきたことの絶望感が、
テノールとソプラノで歌われている。

第9曲「よい暮らし」はテノールの曲で、前曲までとは違い、
絶望的な歌曲集にようやく救いが訪れたような感じである。
第10曲「娘の歌」は、コントラルトの曲で、
東洋的な旋律の管弦楽の伴奏にのって、
今の生活に満足している娘が心境を語る。
第11曲「しあわせ」は、コントラルトと、
ソプラノ、テノールによる歌で、終曲にふさわしい。
息子が医者になったことを母親が喜び、
自分たちの上に星が輝いていると今の幸せを歌う。
第1曲目の暗さとは正反対に、
ハッピーエンドで華やかに終わる。

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