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バターワースの「青柳の堤」、第1次世界大戦がもたらしたもの

2007-11-01 07:03:12 | 古典~現代音楽イギリス編
昨日は、ウォーキングを休みました。
今回とりあげるのは、1885年ロンドン生まれの
夭折の作曲家ジョージ・バターワースの曲。
31歳という若さにして亡くなったこの作曲家は、
イートン校とオックスフォード大学で学び、
民謡の採譜にも興味を持ち没頭したが、
第1次世界大戦が勃発すると徴兵されフランス戦線に出征した。

「2つのイギリス田園詩曲」は1911年に作曲された。
ところどころでイギリス民謡をふんだんに使い、
魅力あふれる曲であり、田園風景を感じさせる。
どこまでいってもなだらかな丘陵地帯、
そこにもわずかばかりの変化があり、発見がある。
何かがあるわけではないが、自然の豊かさを考えたら、
イギリスの田舎の風景はうらやましい限りだ。
そんな素朴な風景すら今の日本ではなかなか見ることができない。
2つの曲はそんなイギリスの牧歌的な雰囲気を見事に描いている。

「シュロップシャーの若者」はシュロップシャーの自然と、
そこに住む若者たちの生と死、そして愛を描いたようだが、
激しい部分はワグナーの音楽からの影響を感じる。
「青柳の堤」は、1913年に作曲された代表作。
やはりワグナー的なところがあり、
一方で印象派の音楽の影響も想起させる。
一枚の田園の風景画を見ているようで、
フルートを中心に奏される旋律が魅力的だ。

あの有名な1916年のソンムの戦いで彼は戦死した。
だからというわけでもない残された曲はわずかしかない。
私がロンドンの南東部にある村(Hastingleigh)を歩いた時は、
第1次世界大戦で戦場に行って亡くなった人たちの墓を見かけた。
第1次世界大戦で多くの若者を戦場に送られたのだろう。
戦争の傷跡はそんな片田舎でも強烈に残っている。

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