Mars&Jupiter

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セルのグスタフ・マーラーの交響曲第6番イ短調を聴きながら西谷から三枚町まで歩く

2010-06-04 05:08:40 | グスタフ・マーラーとアルマ・マーラー
昨日は西谷駅から三枚町まで歩きました。
途中聴いたのはグスタフ・マーラーの作品で、
1903年から1904年にかけて作曲された交響曲第6番イ短調である。
今回聴いたCDは、ジョージ・セル指揮、
クリーヴランド管弦楽団の演奏による。
1967年10月12日に行われたコンサートのライブ録音のものである。
ソニーからも同じ10月頃に行われたコンサートのライブ録音盤があるが、
時間が違うので別な日に行われたものなのであろう。

第1楽章アレグロ・エネルジコ・マ・ノン・トロッポは、
重々しく低弦から始まる短い序奏に続き、
行進曲風で暗い感じの第一主題がヴァイオリンにより奏される。
対照的な第二主題は情熱的でロマンティックな旋律である。
この提示部は、スコアで反復するように指示がされているのだが、
この盤ではその反復は行われずにそのまま展開部に入っている。
第一主題から変形による展開が始まり、第二主題も展開される。
冷徹に思えるセル盤であるが、ライブ盤らしく情熱的で、
行き詰るような緊張感があり、聴いていて聴き応えがある。
セルの時代のクリーヴランド管弦楽団というと、
統制のきいたすぐれた弦楽器群のことが話題になりがちだが、
金管楽器の素晴らしさも見逃せないところである。
再現部の前の金管楽器の低音がしっかりきいている。
再現部を経て、最後のコーダで金管楽器中心に盛り上がり、
輝かしい感じの終わり方をするが、このあたりの演奏も満足できる。

第2楽章スケルツォは、低弦とティンパニが刻むリズムの中、
不気味でグロテスクな主題が奏されていく。
トリオはかわいらしい感じの優雅な主題が流れる。
そしてまた再び最初の主題が現れ、トリオの主題と絡み合い、
最後は低弦と木管だけが残り、静かに終わる。
第3楽章アンダンテ・モデラートは三部形式を採り、
ヴァイオリンが優雅な感じの主題を奏する。
一方でイングリッシュ・ホルンが奏でる悲しげな旋律、
ホルンが奏でる牧歌風の旋律などが登場し、
これらの旋律を中心に曲は展開されていく。

第4楽章終曲は、序奏とソナタ形式の主部からなる。
チェレスタとハープによる分散和音に乗って、
ヴァイオリンが序奏の中心となる旋律を奏でていく。
金管楽器が加わり色彩豊かな音楽となり、やがて主部に入る
ヴァイオリンと木管楽器により示される第一主題と、
ホルンによる力強い第二主題が提示され、
これらが展開部で何度か変形されるが、
その中でハンマーを叩く音が何度か現れる。
「英雄は敵から三回攻撃を受け、三回目に木のように倒れてしまう」
このようにマーラーが妻アルマに語ったことは有名である。
曲は再現部を省略し、コーダに入っていく。
悲劇的で重々しくティンパニと管楽器が鳴り響き、
最後は弦のピッチカートで弱々しく終わる。
それは抵抗することをやめた英雄の最後を象徴している。
セル盤はライブ録音なので録音は悪いのだが、
セルの音楽に対する情熱が伝わる気がして、
終わったあと聴いたなあという充実感が残る。
やっぱりラトルよりはセルかなあと思ってしまう。

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2 コメント

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Unknown (gkrsnama)
2011-05-30 17:48:50
この曲のポイントは終楽章、セルは純音楽的に対位法を描いていきます。ほかではこういうのは聞けないんですよ。誰のどの演奏でも大仰な身振り。ショルティやアッバードさえ。

ということで、セルのこの演奏は、マーラーが大の苦手の私にとって、唯一無二のものとなっています。

(テンシュテットの全集とライブを山ほど=EMIの箱とMemriesの箱、入手したんで、大仰身振りのまーらーも少しづつきいていますが。)
セルのマーラー (おおくぼっち)
2011-05-31 06:10:46
gkrsnamaさん、コメントありがとうございます。
セルのマーラーは、高校時代に聴いた中で、印象を持っていたのでとりあげてみました。
セルのマーラー演奏の特徴を的確に指摘していただきありがとうございます。まさに、そんなバラス感覚好きですね。このような曲は、大げさすぎる演奏はどうかと思うし、また冷徹で録音がいい最近の指揮者の演奏もどうかと思うところがあって、多分皆さんの好みもそれぞれだと思います。でも、大げさに聴こえる演奏かもしれませんが、テンシュテット指揮によるマーラー交響曲第6番はセルとは対極的ではありますが、私は好きな演奏です。

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