仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

海よりもまだ深く

2018年10月08日 | ムービー
『海よりもまだ深く』(2016年/是枝裕和監督)を見た。
物語は、「15年前に小説の島尾敏雄文学賞を受賞した経歴を持っている篠田良多(阿部寛)。その後は鳴かず飛ばずで、現在は小説のリサーチと称し山辺(リリー・フランキー)の興信所で探偵業をしていた。同僚の町田(池松壮亮)に金を借りながら競輪をするほどのギャンブル好きな篠田は、出版社からギャンブルものの漫画の原作をやらないかと勧められたが、純文学作家というプライドから二の足を踏んでいたのだった」という内容。
離婚した元妻の響子(真木よう子)には毎月50,000円の養育費を支払うことを条件に息子の真悟(吉澤太陽)との面会を許されている良多だが、実際その金額を用意するのも大変で、姉の千奈津(小林聡美)や、年金暮らしの母親・淑子(樹木希林)を頼ることも度々。
興信所の調査で掴んだ情報を元に、対象者をゆすることもする仕事の仕方は何とも酷い。
これは長くは続かないだろうと想像できる生活ぶりだ。
響子に出来た恋人・福住(小澤征悦)のことも調べあげ、まるでストーカーのようにも見えて、気持ち悪くもあるほどで、どうしようもない人間に見えてくるのだった。
(^_^;)
母親が住む団地のベランダに、良多が高校生の時に植えたミカンの木の鉢があり、「花も実も付かないんだけどね、あんただと思って毎日水をやってるのよ」と言われる時のエピソードは少し情けない。
また、疎遠だった父親の話をしてくれる質屋の主人・二村(ミッキー・カーチス)が良い感じだった。

チョコレート・ファイター

2018年06月04日 | 映画サークル
ましけ映画サークル5月例会は、小○企画『チョコレート・ファイター(原題 ช็อคโกแลต/Chocolate)』(2008年/プラッチャヤー・ピンゲーオ監督/タイ)だった。
物語は、「日本ヤクザの幹部・マサシ(阿部寛)は、敵対しているタイのマフィアのボス、ナンバー8(ポンパット・ワチラバンジョン)の女であるジン(アマラー・シリポン)と惹かれ合い、恋に落ちた。密会を重ねる二人に激怒したナンバー8は、マサシの命をつけ狙うようになり、彼の身を案じたジンは、マサシを一人で日本に帰国させたのだった。マサシの子を身籠っていたジンはマフィアの世界から足を洗い、女の子を産んだ。しかし、その子には生まれながらに脳の発達障害があり・・・」という内容。
ゼン(禅/ジージャー・ヤーニン)と名付けられたその子は、他人とのコミュニケーションをほとんど取ることができなかったのだが、一つ特別な能力を持っていた。
彼女には優れた動体視力があり、窓から見えるムエタイジムの練習生の動きを見よう見まねで会得していったのだ。
それに加えて、テレビのカンフー映画も随分と役に立ったようだ。
(^_^)
「あれっ!?これは!!」とワクワクしたのは、ゼンが初めて単身乗り込んだ製氷工場の場面。
製氷工場!!
これはまさしく『ドラゴン危機一発(原題:唐山大兄/The Big Boss)』(1971年/ロー・ウェイ監督/香港)の、ブルース・リー(チェン・チャオアン役)を彷彿とさせるエピソードだ。
これは最高!!
(^。^)
全編を通し、カンフーの突きや蹴りを駆使して戦う場面が多いのだが、撮影中に出演者が怪我を負うリスクは相当に高かったはずだ。
最後の最後にメイキング映像が流れたけれど、無傷で撮影を終えられた現場というのはあまりなかったのではないだろうかと思えた。
身体を張った演技は何とも素晴らしく、スピード感もあり、とても面白い作品だと思った。

カラスの親指

2017年09月04日 | ムービー
『カラスの親指』(2012年/伊藤匡史監督)を見た。
物語は、「競馬場。馬券を買い終わった入川鉄巳(テツ/村上ショージ)は、券売機を前にして立ちすくむスーツ姿の男(タケ/阿部寛)が気になって声を掛けた。男は"競馬は初めてなのでどうしていいのか分からない"という。競馬関係者は馬券を購入してはいけないので獣医の自分が頼まれて代わりに買ってあげているという入川は、自分が関係者から聞いているという裏情報をその男に教え、教えられた通りに買ったその馬券は見事に的中したのだった。その一部始終を近くで見ていた別の男(ユースケ・サンタマリア)は、"あの男はコーチ屋だ。あんたはこれから金をむしり取られるぞ。大変なことになる前に俺がその馬券を買い取ってやるよ"と言う。どうせ競馬の素人だろうからと騙して安く40数万円で買いたたく。その馬券は400万円ほどになるはずだったが、いざ換金しようとして、それが偽造馬券だと知る。なんとそれはタケとテツ2人による手の込んだ詐欺だったのだ。それぞれ辛い過去を持っているタケとテツは詐欺師として生きていて、半年ほど前に知り合って以後はチームを組んでいたのだが・・・」という内容。
その2人が借りた一軒家に河合やひろ(石原さとみ)と河合まひろ(能年玲奈)の姉妹と、やひろの彼氏・石屋貫太郎(小柳友)が転がり込んできて、まるで家族のような共同生活が始まるのが面白い。
赤の他人の集まりとはいえ、ひとつの部屋に集まってくつろいでいる場面や、食事の場面など、結構楽しそうにしているように描かれているのだが、それはきっと、それまで彼等にとって決して叶うことがなかった"団らん"というものを、例え疑似体験とはいえ味わうことができたということなのだろう。
姉のやひろはどうにも頼りがいのない女性に見えたが、妹のまひろは料理が得意で随分としっかりしている女のコのようだった。
スリを生業としているだなんて、若いのに彼女も訳ありな人生を背負って生きているようで切ない展開だ。
芸人・村上ショージの演技はお世辞にも上手だとは言えないのだが、劇中映し出されるあの笑顔がすべての不備をチャラにしているように思える。
(^_^;)
本編160分という長さには驚いたものの、飽きることなく見られた面白い作品だった。

つやのよる

2016年12月26日 | ムービー
『つやのよる/ある愛に関わった、女たちの物語』(2013年/行定勲監督)を見た。
物語は、「伊豆大島。ペンションを経営している松生春二(阿部寛)の妻・艶は、島の病院で人生を終えようとしていた。春二は家から持ち出した包丁で意識がない状況の艶を刺そうとするができない。帰宅後、義母に電話を入れ、艶の従兄・石田行彦(羽場裕一)の連絡先を聞き、艶が危篤であることを知らせる。その後も、離婚後24年経つという元夫・太田(岸谷五朗)など、縁のある男達に艶の危篤を連絡し続けるのだが・・・」という内容。
痩せこけて無精ひげが伸び、尋常ではない表情の春二が自転車で病院へと向かうのだが、着いた病院の廊下は照明が消され、どうしようもなく寂しい雰囲気で、看護婦・芳泉杏子(田畑智子)も恐る恐る春二に声をかける。
楳図かずお(1936年~)の漫画を実写化すると、こういう描写になるのではないかと思える、何だかおどろおどろしい演出だ。
(^_^;)
春二が家で電話を掛ける際の話し方も、まるで何かに憑りつかれたかのようで、この雰囲気も尋常ではない。
艶が亡くなってしまうことへの恐れが、彼をそうさせるのか。
しかし、電話を受けた側にとって艶の存在はすでに過去の人だったり、行彦の妻・環希(小泉今日子)など(家族にとって)は初めて聞く名前。
死にゆく艶の存在を知って、そこから新たな展開が生まれることになるのだが、それが春二の目的だったのか!?
それほど面白いと思える物語ではなかったので、オカルトチックに演出したほうが面白かったのではないかと思う。
「昏睡状態にある艶の思念がそうさせるのか!?」等というふうに。
(^_^)
アパート経営をしているという太田の風変わりな容姿だけでは、退屈さを払しょくできなかった、少しばかり残念な作品。

テルマエ・ロマエ

2012年06月16日 | ムービー
ユナイテッド・シネマ札幌で『テルマエ・ロマエ』(2012年/武内英樹監督)を見た。
物語は、「より素晴らしい施設を作り上げるために苦慮していた古代ローマの公衆浴場設計技師ルシウス・モデストゥス(阿部寛)は、入浴中に21世紀の日本の銭湯にタイムスリップしてしまった。しかし、(彼が名づけた)"平たい顔族"の入浴施設には目を見張るようなアイディアや設備が満載で、元の世界でそれらを再現させたルシウスの名は一挙に高まる。ついには、第14代ローマ皇帝ハドリアヌス(市村正親)の浴場設計を依頼され・・・」という内容。
随分前から見たいと思いながらも、見に行ったのは上映開始後1ヶ月以上経ってからだった。
それでも、平日だというのにそこそこ入場客がいた所を見ると、相当人気があるのだろう。
面白かったのは【Bilingual】の表示。
問題を簡単に片付けられてしまった。
(^。^)
これは面白い映画だった。

みなと食堂の生うに丼

2011年08月29日 | 美味しんぼ
みなと食堂(羽幌町)で【生うに丼】(確か2000円)を食べた。
御飯が見えないほどのうにが載っているのは画像の通りだが、そのうにの身の大きさに驚いた。
これほどまで大きなうにを食べた記憶は過去にない。
ただ、日によって当たり外れがあるとのことなので、(量は変わらないのだろうが)いつもいつも大きな身とは限らないようだ。
まぁ、この日の仁左衛門と連れはラッキーだったということなのだろう。
(^_^)
さて、この店の何とも気さくなおばちゃんと食後にいろいろ話をしたのだが、面白かったのは最近1カ月ほどかけて羽幌町で撮影したというテレビドラマ『幸福の黄色いハンカチ』の撮影エピソード。
この店を物語の舞台として提供し、女優の夏川結衣が厨房などで連日演技をしていたのだそうだ。
「○○ちゃん、冷や奴ちょうだい」「はーい」という場面が多かったので、「羽幌にはもっと美味しいものが沢山あるよ!!」と撮影スタッフに言ってやったのだそうだ。
(^。^)
また、「主演の阿部寛も3回ほどここに食べに来たよ」と言っていた。
ちなみに、窓にかかっている緑色のカーテンは撮影用の小道具だったのだが、スタッフがそのまま置いていってくれた物なのだそうである。
放送は確か10月10日だと言っていた筈なので、忘れずに見ることにしよう。

サイレン

2009年07月18日 | 映画サークル
2009年7月8日(水)に開催された"ましけ映画サークル7月例会"は、仁左衛門企画『サイレン』(2006年/堤幸彦監督)だった。
物語は、「昭和51(1976)年に全島民が一瞬にして失踪するという怪事件が起きた離島・夜美島。事件の29年後、天本由貴(市川由衣)は弟・英夫(西山潤)の療養のため、父・真一(森本レオ)と共に島へとやって来た。出迎えた島民達の表情は硬く、「サイレンがなったら外に出てはならない」と由貴に告げる。その言葉は、かつての事件の際に島で唯一発見された男・土田圭(阿部寛)が繰り返し呪文のようにつぶやいていた言葉だった。やがて、島に大きなサイレンの音が鳴り響き・・・」という物語。
プレイステーション2用の"SIREN2"というゲームソフトが元ネタのようだが、真一が娘を襲う場面等、後から考えると辻褄が合わないエピソードが、すべて"妄想"で片づけられてしまっている。
また、謎が謎のままに残されてしまっているのだが、それはゲームや映画の続編を考慮してのことなのだろうか。
発想の段階では面白かったのかもしれないが、物語としては創り上げ切れなかったという感じだ。
残念。