仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

日本一のショック男

2017年06月04日 | ムービー
『日本一のショック男』(1971年/坪島孝監督)を見た。
物語は、「東北の寒村・出唐子村。住人は次々に東京に出て行き、遂に巡査・日本一作(植木等)ただ一人になってしまった。それでもパトロールをしている時、かつての恋人・香川花子(酒井和歌子)にそっくりな若い女性を見かける。恋人・前川昭夫(田中邦衛)との結婚を兄・啓太(谷啓)に反対されたことを悲観して自殺しようとしたその女性・山上春子(酒井和歌子/二役)を助けた一作は、辞令が出るのが半年後であることを本署に確認し、彼女の恋の手助けをしようと上京するのだったが・・・」という内容。
バス停に向かう佐藤茶助(加藤茶)と小川三三子(梅田智子)が耕運機に乗っているのだが、明らかに歩くほうが早い。
何とものんびりした村なのだが、蒸気機関車で出発し、東京到着の際は電車という演出になっている。
この当時(1971年/昭和46年)は、田中角栄(1918年~1993年)氏の『日本列島改造論』が発表される前であるし、地方と都会の格差が相当に大きかったのだろうか。
(^_^)
春子と一緒に上京した一作は、春子に手錠をかけ、犯人護送のふりをして無賃乗車するという無茶苦茶な警察官ぶりを見せるが、それは序の口で、その後に訪ねた茶助の勤務先のキャバレー・ポルノでは結果的に無銭飲食になってしまい、働いて返すことになる。
しかも、ボーイ→フロアマネージャー→支配人と出世し、計画的に店をつぶした後は、カネマル化学・八木沢社長(北竜二)の秘書になるという"日本一シリーズ"ならではの出世劇だ。
(^。^)
所々に、戦争中ではあったものの自分と花子の幸せだった頃に思いを馳せるという場面が出てくるのだが、本作は1962(昭和37)年に始まった東宝の"植木等の日本一シリーズ"、"クレージーキャッツの喜劇映画"の最終作品だったようなので、戦時体験が物語の基本を構築しているという一連の作品も、おそらくこの作品が最後だったのではないだろうかと想像する。
劇中、カネマル化学による環境破壊のエピソードが展開されたりと、すでに戦争を意識する時代ではなくなっていたのだろうと思う。