仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

デュプリシティ / スパイはスパイに嘘をつく

2017年10月04日 | ムービー
『デュプリシティ/スパイはスパイに嘘をつく(原題Duplicity)』(2009年/トニー・ギルロイ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「かつてアメリカの諜報機関CIAに所属していたクレア・ステンウィック(ジュリア・ロバーツ)と、イギリスのMI6に所属していたレイ・コヴァル(クライヴ・オーウェン)。現在は2人とも産業スパイとして、新興企業エクイクロム社のCEOディック・ガーシック(ポール・ジアマッティ)に雇われていた。彼の目的は、ハワード・タリーCEO(トム・ウィルキンソン)率いる業界の最大手B&R社の新製品情報をいち早く入手し、あわよくば自社製品として先に売り出すことだ。潜入スパイまで送り込み、何としてでも情報を奪い取ろうとするガーシックだったが・・・」という内容。
クレアとレイは同業者とあって何年も前から知り合っていたが、互いに相手のことを信用できずにいた。
ホテルの支配人にジョンとヨーコに例えられるほど、とても長い時間2人で一緒に過ごしても、自分の任務を妨害するのが目的だったのではないかと相手を疑うほどで、疑い出したら切りがない。
何においても疑ってかかるのがスパイの仕事だというような台詞があったのだが、そんなんじゃ気の休まる暇がないだろうに、よく一緒にいたいなどと思ったものだ。
(^_^;)
2人の過去のエピソードを振り返る場面が妙に多いし、何人もの産業スパイが登場しては、はっきりしたことを言わない台詞が多いものだから、どうにも分かりにくいモヤモヤした展開が続いた。
「よく分からなかったから、もう一度見てみよう」とも思えない、そんな物語だった。
かなり残念な作品。

シン・シティ

2017年02月08日 | ムービー
『シン・シティ(原題Sin City)』(2005年/ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー、クエンティン・タランティーノ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「退職の日、ハーティガン刑事(ブルース・ウィリス)は、ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)の息子である幼女連続殺人犯ロアーク・ジュニア(ニック・スタール)を追い詰めたが、相棒ボブ(マイケル・マドセン)に裏切られる。一方、ナンシー(ジェシカ・アルバ)目当てにバー通いを続けている殺し屋マーヴ(ミッキー・ローク)は、店で知り合ったゴールディ(ジェイミー・キング)と夜を明かすのだが、同じベッドで寝ていた彼女は翌朝何者かに殺害されていた。双子の姉ウェンディ(ジェイミー・キング/2役)に拉致されたマーヴは娼婦街に監禁された。その街は女王ゲイル(ロザリオ・ドーソン)の下、武装した娼婦達が自立し、マフィアや警察も介入出来ない場所だったのだが、ドワイト(クライヴ・オーウェン)とジャッキーボーイ(ベニチオ・デル・トロ)のいざこざが原因で・・・」という内容。
この作品の舞台は、"シン・シティ"という犯罪の街。
そこで繰り広げられる3つの毒々しいエピソードが描かれているのだが、ハーディガン、マーヴ、ドワイトの3人につながりはなく、それぞれに独立した物語になっている。
ただ、同じ街で繰り広げられる物語とあって、バーや農場などいくつかの場所と"ロアーク"という名前が複数のエピソードに登場する。
全編を通してモノクロ映像なものの、明かりの色や唇の色など、一部分だけが着色されているのが特徴的だ。
途中、死体が話し出したりする不思議な演出もあるのだが、3人の監督がそれぞれの特徴を出そうとしたということなのだろう。
元々がイカレた話なので、それほど気にはならなかったのだが、複数の人間が監督をすると演出の統一性が保てなくて、作品の質が低下してしまうことになると思うのだが、どうなのだろうか。
"復讐"という生き甲斐を見つけることになるマーヴの「地獄とは何の目的もなく生きることだ」という台詞と、「いいコート着てるな」という相手に死を宣告する(!?)台詞が良かった。
(^_^)

ザ・バンク 堕ちた巨像

2016年12月02日 | ムービー
『ザ・バンク 堕ちた巨像(原題The International)』(2009年/トム・ティクヴァ監督/アメリカ・ドイツ・イギリス)を見た。
物語は、「ルクセンブルグに本社がある国際メガバンクIBBCの違法行為を捜査しているインターポール捜査官ルイ・サリンジャー(クライヴ・オーウェン)の目の前で捜査員トーマス・シューマー(イアン・バーフィールド)が死んでしまった。当初は急性心筋梗塞と診断されたが、それは巧妙な手口で実行された殺人だと判断したサリンジャーは、共同で捜査に当たっていたニューヨーク地方検事局検事補エレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)を呼び寄せ、ドイツ連邦警察の捜査官達に事情説明をするが、ドイツ国内での活動を禁じられてしまう。間もなくして、IBBC・M&A部門統括責任者アンドレ・クレマンが不審な交通事故で死亡する。フランス・リヨンの本部に戻ったサリンジャーはクレマンの死に関する憲兵隊の予備報告書に矛盾を発見し、頭取ジョナス・スカルセン(ウルリク・トムセン)との面会を求め、IBBC本部に乗り込んだのだが・・・」という内容。
IBBCの取引相手とみられたヨーロッパ最大の武器開発メーカー社長で次期イタリア首相と目されるカルビーニ氏(ルカ・バルバレスキー)から、「IBBCは中国から途上国へ流れる武器を独占して仲介することを狙っている。武器取引での儲けはなく、紛争が生む借金を支配することを目的としている。借金を支配すればすべてが支配できるからだ」(確かそんな台詞)という情報を得るのだが、メガバンクもなかなかエグい。
しかも、中国製のミサイルが不良品だと知っているのに、金だけ払わせようとして、そりゃぁ酷いぜという感じだ。
(^_^;)
全編にわたってサリンジャーらの緻密な捜査が続くのだが、ニューヨークに舞台を移してからは、それにド派手な銃撃戦が加わってさらに事件は緊迫する。
殺し屋のコンサルタント(ブライアン・F・オバーン)を探し出す過程で、ドクター・アイザクソン(ティボー・フェルドマン)に捜査協力を求める場面は面白かったし、何かと機転が利くホイットマンは妙に格好良かった。
(^_^)
これはとても面白い作品だった。

クローサー

2015年06月05日 | ムービー
『クローサー(原題Closer)』(2004年/マイク・ニコルズ監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ロンドン。新聞社で死亡記事欄を担当している編集者のダン(ジュード・ロウ)は小説家志望。ある日の通勤途中、信号待ちで一人の女性と出会ったのだが、目の前でタクシーにはねられたその女性を病院まで連れて行く。ニューヨークからの旅行者だというので、治療後はロンドンの街を案内して歩いたのだが、立ち寄った公園でアリス(ナタリー・ポートマン)と名乗ったその彼女といつしか一緒に暮らすことになった。そして、その1年半後、アリスをモデルにした小説を出版することになったダンは、撮影スタジオで出会ったフォトグラファーのアンナ(ジュリア・ロバーツ)に一目惚れする。しかし、ダンはチャットでのいたずらで、医師のラリー(クライヴ・オーウェン)とアンナを引き合わせ・・・」という内容。
退屈な仕事を続けていたダンの人生がアリスとの出会いによって動き出し、上り調子の時にアンナと出会い、退屈を覚えてきた時にラリーの人生と関わることになる。
うまく立ち回っているかのようにも見えたダンだったが、他人の人生を手玉に取るかのような行動はやがて自分に返ってくるようだ。
何ともマヌケな登場の仕方でアンナと知り合ったラリーはダンの一番の被害者だったかもしれないが、最終的には彼が一番の勝者になったのかもしれない。
この物語のキーワードは、開始早々にアリスがダンに向かって使った"ストレンジャー"という言葉だったが、見終わってみると、それはダンではなくアリスのほうだったように思えた。
調べてみると、これは"世界中でヒットした舞台劇の映画化"なのだそうだが、最初はダンの物語と思いきや、最終的に美味しいところはアリスがすっかりかっさらっている。
(^_^)
原作者(パトリック・マーバー)がこの映画の脚本も担当しているらしいのだが、台詞やそれぞれの設定が充分に練られているということなのか、これはなかなかに面白い物語だった。