二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

オットー・クレンペラーに親しもう

2010年09月20日 | 音楽(クラシック関連)
クラシック音楽ファンの愉しみはいろいろ。
アマチュアながら仲間と楽器を弾いて演奏会をやったり、合唱団に所属し、プロのオーケストラのバックコーラスをエンジョイしたり、定期会員となってコンサート会場へしげしげ足をはこんだり・・・。リアル友にもいろいろなタイプがいて、たまにおもしろい話が聞けたりする。
わたしの場合、ことし4月から、およそ20年ぶりにクラシック熱がぶり返し、もっぱらCDを蒐集しながら、深夜、スピーカーから響いてくる音楽に浸りこんでいる。

CDマニア・・・のヒヨコ。
まあ、まだその程度のレベルなのでたいしたことはないのだが(^^;)

このCDマニアの愉しみの中心にあるのが「聴きくらべ」なので、同曲異演のCDがしだいに増えてくるのは、自然のなりゆきだろう。
そんなわたしが近ごろ急に意識するようになってきたひとりが、この人――オットー・クレンペラー。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BC

よく売られている名盤ガイドやら、音楽雑誌の記事で、この指揮者の変人奇人ぶりはなんとなく知ってはいた。はじめて「おや」と耳をそばだてたのは、
交響曲第3番イ短調「スコットランド」 オットー・クレンペラー&フィルハーモニア・フィル(1960年)
〃 第4番イ長調「イタリア」 〃
・・・を聴いたとき。
あのいかめしい顔をした、音楽の権化のような男が、こんな官能のうねりに陶酔している。そのめくるめくような落差!






しばらくして、モーツァルトの交響曲41番をふくむCDを聴いて、またびっくり。ベートーヴェンの最良の交響曲にも通じる演奏で、この一曲が「ジュピター」と称されている理由がはじめて納得できたのであった。クレンペラーで聴くまで、この第41番が、これほど壮大華麗な楽想をもった音楽だとは、どうしても思えなかったのである。

『私グスタフ・マーラーはオットー・クレンペラー氏を推薦します。彼はこの若さで既に卓越した音楽家であり、指揮者として世に出ることを望んでいます。私は彼がカペルマイスターとしての職務を全うできると保証します。また私は彼に関する問い合わせについて、何なりと答える用意があります』

かのマーラーから、こんな推薦状をもらった指揮者がほかにいるだろうか。

YouTubeには、こんな画像がupされていた。
最晩年のクレンペラーは、立ったまま指揮をすることができず、椅子に座っている。
http://www.youtube.com/watch?v=pD5KzF93XBs

ケガや病気で半身不随・・・半分は「神様」になりかけている貴重なすごい動画で、しばらくはこの光景から目をはなすことができない。

このあとで聴いたブルックナーの第4番もよかった。
ミーハーで熱くなりやすいわたしは、それですっかりクレンペラー・ファンとして名のりをあげたくなって、ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)」と、マーラーの第9番のCDを探して買ってきた。




しかし、どちらの1枚も、おいそれと登頂ができるような音楽ではない。
わたしはまだ、それぞれ1回だけ登頂をこころみたけれど、あまりの険しさに途中であきらめ、ひきかえしてきた。そのへんにある山に、ハイキング気分で出かけていくのとは、わけが違うのである。
When we emerged from the forest, an open plain spread out before us.

こういう感動の瞬間がくるのだろうか?
それを期待して、また耳をすまし、心をすますしかあるまい。



※写真は3枚とも借り物、お借りした方々に御礼申し上げます。
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