二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

店番の日曜日

2012年11月25日 | 音楽(クラシック関連)

日曜日は相棒がお休み、わたしはアポイントがなければ、ほぼ終日店番、電話番をしている。
うらうらとしたお天気で、風のないおだやかな一日になってくれそう・・・。
マイミクの皆さん、どちらへ出かけているだろうと想像している(^_^)/~
中には豪勢な3連休という方もおられるんだろうなあ。
今夕遅くには、皆さんの日記やつぶやきが、きっと続々アップされることだろう。

世間が連休中は不動産屋は大抵はヒマ。
というわけで、「詩を書こう」という気分にかられているけれど、まずは日記を片づけてしまおう。

さて、このあいだから、グスタフ・マーラーという高峰の裾をうろうろしていることは、過去の日記にしるした。



今日はマーラーの交響曲4枚とベートーヴェン(フルトヴェングラー指揮の7番)、計5枚のディスクをクルマに積んでもってきた。
現在はバーンスタイン&ベルリン・フィルがやった「伝説の名盤」が、会社のラジカセから流れているが、どうにも退屈で、耳を素通りしていくのはどうしたことか(^^;)
マーラーという高峰の、二合目付近から上を目指す登攀ルートが、なかなかみつからない。
本を読んでいると、なんだかわかったような気分になるが、彼の交響曲が、毛穴のような部分から体内に入ってきて、細胞の一つひとつに沁みわたっていく・・・というふうにはならない。

《マーラーを聴くとは、もちろんこの甘美な、あるときは苦渋に満ちた、あるときはシニックな冷笑の仮面をつけた、あるときは幼年の遠い記憶につながるようなナイーヴでしかも夢のような生々しさをもった――音楽を聴くことは、それが私たちを誘ってゆく国に、私たちの身をまかせることを意味するにほかならないのはもちろんだが、この音楽をより全面的に、より全身的に受けとめるためには、聴き手である私たちは、ただ追随し、自分を忘れるだけでは十分ではないのである。この音楽には、それ以上のものが含まれているのである》(吉田秀和「マーラー」河出文庫35~36P)



この河出文庫に、生前吉田さんが公表したマーラーをめぐる考察の何パーセントが収められているのだろう。この人と、宇野功芳さんのお二人は、わたしにとってはクラシック音楽のまことに頼りがいのある導き手だったし、いまでもそうである。
わたしには理解不能な専門的な分析はすっとばして読んでいく(笑)。
そうしないと、とても最後のページまで、読み通せないからである。
しかし、基本的に、マーラーといえども、音楽がそれほど難解なはずはない。すべての音楽は“聴衆”を必要としているのだし、“聴衆”向かって作られている。

感動はいったい、どこからどんなふうにやってくるのだろう。
わたしにいわせれば、マーラーは「過剰な音楽」に聞こえる。
ではいったい、なにが過剰なのか? そこのところが、漠然と聴いているだけではわからない。マーラーの第9番は、どうにもやりきれない退屈な音楽として、はじまった。それが、聴きこんでいるうちに、部分的には、わかりかけてきてはいる。
「ああ、ここ。ここだ! マーラーの音楽だな」
つかまりそうでつかまらないウナギのしっぽ(笑)。
・・・・というと、きっとマーラーの熱心なファンにはしかられるだろう(~o~)

吉田秀和さんもまた、ある時期まではマーラーの「よき聴き手」ではなかった。
苦心惨憺というとおかしな表現だけれど、そうとうな努力をはらって、マーラーにアプローチしている。そこが参考になると、わたしはかんがえる。
ほんものの山塊のような、巨大な音の塊がそこにある。演奏時間もとても長く、長時間集中して聴きつづけていくには努力がいる。
わたしにいわせれば、マーラーのこみ入った音楽に比べ、演奏時間は同じように長いといっても、ブルックナーの音楽のほうがずっと単純で、親しみやすい。二合目あたりから見あげるマーラーは、そんな印象がある。

あと、200mか300mはよじ登ることができそうな気がする。だが、そこからさきはわからない。これまでのわたしなら、ここいらで登攀をあきらめ、投げ出してしまうところだけれど、いまのところ、まあなんとかもっている(笑)。
高校のころから聴いている第1番はさすがに聴きあきたけれど、第4番、第5番、第6番あたりは「うん、いいね! なかなかやるじゃないか、マーラーさん」というあたりにさしかかってきている。

すばらしい音楽につつまれている時間は、わたしにとっては、なにものにも代えがたい至福の時間である。
「こういう音楽を聴くために生まれてきたんだ」
いずれマーラーに耳をすましながら、そんな感動の瞬間に出会えるのではないだろうか。

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