アルフレッド・ベスターの傑作である。(1956年発表)
amazonで調べたところ、新刊が714円で古本が1100円~
なに?どうしてそうなるの?と、事情に詳しくないおっさんは思う。
15年前の発行1100円、21年前1200円と2200円、19年前で3000円。本の状態にもよるのだろうが…
ちなみに、私の持っているのは昭和53年の初版?らしきもの。ただし、美本ではない。紙は焼け見るからに古本であるばかりでなく、いくつかのドッグイヤーと私の書き込みやマーキングがある。
2008年2月復刻版が出ています。なので、中古の値段も下がってますね。
出会いは古本屋で表紙を見たこと。生頼さんのイラストに惹かれての衝動買いであった。牛丼を大盛りにするかどうか悩む頃であったから、当時としては結構な出費であったが、それがいま、心を満たしてくれる「お宝」のひとつとなり、大成功であったと喜んでいる。
さて、この作品は「モンテクリスト伯」をもとに作られたそうだが、本家は出会いがあれば読むということで、わざわざ買って読むつもりはない。
amazonの星評価は当てにならないだろうし…
内容や作者や時代もわざわざ紹介したりしない。
漫画にするなら
原哲夫さんにお願いしたい。
「アキラ」で〈燃える男〉のシーンを使った大友克洋氏も考えたが、主人公ガリヴァー・フォイルの野蛮さを表現するには、あの「北斗の拳」が適当であると思えた。また、オリヴィア・プレスタインの外観イメージがユリアとシンクロするのだ。(あくまで外観イメージであり、かなり性格は違う)
登場する女性たち
誰もがテレポーテーションできるジョウント社会は、女性が蹂躙される世界であり、それでもしたたかに生きている。
フォイルと出会う女たちはフォイルを憎み、そして愛する。この女性たちがフォイルを助け、高め、また貶めるのだ。愛と憎しみがこんなにも自然に共存している。
宗教
フォイルの宗教批判は、フォイルの野蛮さを際立たせるための手法なのか、それともベスターの思いを代弁しているのかはわからない。
だが、科学の進歩は確実に宗教のあり方について見直しを迫るものであり、それがなければその存在は社会の中で異端とならざるを得ない。
パイア
「現代科学」そのものを物質に置き換えて表現しているのか?
または、情報化社会を予見し、愚鈍で卑劣な民衆が「パイア」を持つ事に対する警告?
狂ったロボットの発言
終盤にダーゲンハムの放射能により故障したロボットが話す内容は、狂っているようでもありながら真実を言い当ててもいる。その中での特にお気に入りのセリフが、
「あなた方はみな奇形なのです。しかしいつでも奇形だったのです。人生は奇形ですから。だからこそ、それがその希望であり栄光なのです」
「諸君は豚だ!」
ピカデリーサーカスの中心、エロスの像の頂上、フォイルが叫ぶ。
いわゆる「人並みの幸せ」を考える暇を与えない作品である。
だから、ガリヴァー・フォイルに感情移入する人間は少ないだろう。
だが、だからといってフォイルを完全に否定もできない。好きになれないが、その存在と行動を認めざるをえなくなっていく。
とにかく、盛りだくさんで様々な読み方ができる作品ですよね。
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