【中皮腫・じん肺・アスベストセンター 事務局長 永倉冬史さん】
皆様はよくご承知の通り、奈須りえさんはとても有能で誠実な方です。
また、何より子どもたちや支援を必要としている人たちに寄り添ってものを考え、かつその考えに従って実際に行動する人です。
このようなマンパワーは民主主義にはぜひとも必要です。社会を構成するうえで公共の財産を分配する議会制民主主義には、支援を必要とする人々の声を代表し、弱者の犠牲を顧みない利益追求や既得権益を許さない、冷静で論理的なマンパワーが必要とされます。
奈須さんと私は、以前から大田区のアスベスト問題に取り組んできました。大田区内の元アスベスト工場跡地の土の中からアスベストの塊が大量に出てきた問題、解体建物のアスベスト調査と住民への説明会、学校の周辺に散乱したアスベスト建材問題など、奈須さんはいつも果敢に行政に問題提起し事業者に説明を求め、住民にとって最良の解決策を模索してきました。
アスベスト問題は分かりにくい問題です。粉じんを吸い込むことでがんを発症する危険性があります。しかしいまだにアスベストは建材の中に大量にストックされたままです。東日本大震災では、アスベストが粉じんになり被災地を汚染しました。大きな震災が発生する以前にアスベストを計画的に撤去することは政治的な大きな課題です。
このようにすぐには目に見えないが重大な問題を、奈須さんはほとんど単独で取り組んできました。
奈須さんにはまたぜひとも議会に戻っていただいて、ご活躍してほしいと思います。私も微力ながら、皆さんとともに奈須さんを応援します。奈須さん、頑張ってください。
*中央が永倉さん
◆奈須りえと永倉冬史さん◆
平成17年12月に梅田小学校の体育館建設用地として東京都から購入した土地にアスベスト建材が放置されていたことがわかり、そこからアスベストセンターの事務局長永倉冬史さんとアスベストの問題に取り組んでいきました。
それまでのアスベスト被害は、アスベストを使ったり作ったりする労働現場での問題でした。
クボタショックに象徴されるように、アスベストの問題は、仕事でアスベストを使わない人たちにも広がっていて、過去にアスベストを使った建物などを解体したり改築したりする際にいかに飛散させないかという問題に変わった頃でした。
公共建物に使われているアスベストの除去(池雪小学校など)、区営都営住宅(中馬込区営住宅、下丸子都営アパートなど)の改修・改築、大田区内の建物解体工事(池上旧トーヨーボールなど)、アスベスト工場跡地(現在の大森南出張所・交通公園)の地中から出てきたアスベスト処理など、数え上げられないくらいたくさんの問題についてアスベストを飛散させない安全な工事をするために、永倉さんとともに取り組んでいます。
アスベストセンターの専門性を備え、かつ、草の根で活動する姿勢はアスベスト被害者の大きな支えであり、法令改正においても国の審議会などで委員として発言しています。
アスベストを作り、除去する企業と市民の考えは必ずしも一致しませんが、ともすれば声が小さくなりがちな市民の声を代弁するアスベストセンターの存在は非常に大きく、貴重です。