大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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大田区平成26年度決算から見えてくる「日本の自治体財政のまやかしと危機」その1/2

2015年10月12日 | ├財政・金融

第三回定例会は決算の認定を行う議会です。

予算は賛否を問われるのに対し、決算が認定という言葉を使っているのをご存知でしょうか。首長は、監査の意見を付けて決算を議会に送付すれば、その時点で決算は成立したことになります。使ってしまったものについて、議会がいい悪い言ったところで、予算で認めたのだから、という理屈かもしれません。

そういった位置づけであることも関係しているのか、何人かの議員から、決算は、どう見ればよいのかという質問も受けました。

今回の大田区議会の決算の討論を聞いていても、決算への評価は、監査の報告に大きく影響されているように感じました。

監査は、公債費率、自主財源比率などについて、一般的な指標をもとに、基準の範囲内であるから良好だとし、経常収支比率が適正の範囲を超えていることについては、自主財源の確保や収納率のアップせよ、と言っていますが、それが、そのまま議会の決算の評価の論調になっています。

そのうえで、会派、あるいは、議員の要望を満たした次年度予算を要望し、賛成、あるいは、反対というのが一般的な決算の討論です。

私は、ここ何年か、予算は増えるのに、住民ニーズが満たされないのはどうしてなのか、民営化や民間委託とは何だったのか、という視点で発言してきました。

ある年は、高齢化や生活保護世帯の増加を経常収支比率悪化の要因とした大田区に対し、高齢化や生活保護世帯の増加率も、また割合も23区の平均並みなのに、高齢化や生活保護を理由にするのはおかしい。と指摘しました。

今回は、区民負担の増加と区民ニーズの解決の関係に注目して評価してみました。

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フェアな民主主義 奈須りえです。

ただいま上程されまし第85号議案 平成26年度大田区一般会計歳入歳出決算第86号議案平成26年度大田区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 第87号議案平成26年度大田区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算 第88号議案 平成26年度大田区介護保険特別会計歳入歳出決算のすべての議案の認定に反対の立場から討論いたします。

この約10年と少しの間に、大田区の民営化や民間委託は大きく進みました。
【民営化や民間委託で肥大化した行政、放置される区民ニーズ

私が区議会議員になった2003年は、小泉構造改革の中の三位一体改革と言われる、国庫補助負担金を廃止縮減し、地方にできることは地方にという最初の年でしたから、民営化や民間委託の流れを追いながら過ごした10数年だったといってもいいと思います。

大田区は、保育園、図書館、障がい者施設、特別養護老人ホーム、アプリコなどの区民施設や区営住宅、工場アパート、プールなど、ありとあらゆる分野について民間委託、指定管理者制度導入、民営化してきました。

担い手も社会福祉法人やNPO、公益財団法人、株式会社など様々です。

民営化や民間委託は、効率化とサービス向上がうたい文句でしたが、たとえば、保育園の民間委託が始まるまえの平成15年度と平成26年度の決算で比べると、平成15年度の歳出決算は1845億円で平成26年度決算が2407億円ですから562億円と30%も増えています。

歳入決算でみれば、平成15年度が1919億円で平成26年度の歳入決算は2526億円ですから607億円、31.6%の増加です。

民営化や民間委託により、行政はスリム化したどころか、逆に肥大化しています。


歳入が31.6%増えたということは、私たちの負担もそれだけ増えたということですが、保育園の待機児も特別養護老人ホームの待機者も依然として解決していません。

【増大した保育園や特別養護老人ホームより優先される区民ニーズとは?】

確かに、保育園の入園希望者は増え続け、毎年定員を増やしてきています。生活保護者は増え、高齢化も進みました。ニーズが増えたから、財政規模が大きくなったという説明が行われているのもそのためでしょう。
しかし、地方分権により社会保障の責任主体は基礎的自治体である大田区に整理されています。
子育てや介護、障がいや、生活保護、教育など社会保障や教育など憲法に規定された基本的人権より優先されるものは何だったのでしょうか。
区民負担が3割以上も増えているのに最優先されなければならない子育てや介護などが足りていないのです。

【大田区歳入決算金額と区民負担とのかい離】
~歳入決算額外で増え続ける区民負担~


しかも、民営化や民間委託したことにより決算における様々な指標が意味をなさなくなってきているようにも感じます。
たとえば、3割増えた財政規模ですが、ここには、認可保育所の保育料は入りますが、認証保育所の保育料は含まれません。


◆指定管理者制度の利用料金制による利用料金


区立特別養護老人ホームの利用料金は、以前は大田区の歳入に含まれていましたが、指定管理者制度の利用料金制を採用したことにより、予算決算から消えてしまいました。

◆認証保育所保育料・明律特別養護老人ホーム利用料金

そもそも、民立の特別養護老人ホームに支払う利用料金は、大田区の予算決算には反映されていません。
一部民営化されましたが、池上長寿園が運営する大田区立特別養護老人ホームが利用料金制を採用した平成21年度予算から、利用料金制でなかったら計上されるべき40億円が大田区の歳入歳出から消えてしまっています。
こうした利用料金制を採用している、アロマの駐車場、公園プール、体育館、産業プラザなど施設の利用料金の総額は、計算が複雑なので障がい者施設の利用料金約13億円を除いても平成26年度決算で約50億円にもなります。
しかも、認証保育所の保育料、民立特別養護老人ホームの利用料金も、運営形態が異なるために大田区の歳入歳出決算には入りませんが、社会保障負担と言っていい費用です。

区立幼稚園が廃園になる前は、区立幼稚園の利用料は大田区の歳入に計上されていましたが、廃園になったのでそのぶん歳入は減っています。

幼稚園に通わせたり認証保育所に通わせるなど区民のお金は、教育や社会保障など、生きていくうえで必要なサービスで、お金は民間事業者に流れていますが、税金の流れの外側ですから大田区の決算にはのりません。こうした、民営化や民間委託に伴う、様々な区民負担をみていると、平成26年歳入決算総額2526億円は大田区民にとってどれほどの意味のある数字なのかという気持ちになります。

◆増え続けた国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険、各保険料

しかも、このほかに国民健康保険特別会計741億8千万円、後期高齢者医療保険会計14億3千万円、介護保険特別会計467億2千万円があり、それらの保険料はこの間、上がり続けてきましたから、私たち区民の負担は、金額から見ればさらに増えます。

◆住民税が一律10%と実質の増税、消費税も5%から8%、保育料値上げ

この間、住民税が一律10%と実質の増税になりました。消費税も5%から8%にあがりました。保育料は二回上がり、介護保険料も、国民健康保険料もあがっているのに、それでも、保育園も特別養護老人ホームも足りていないのです。

保育所でいえば、保育料が安く、面積基準や保育士配置基準の厳しく保育料の安い認可保育所と認証保育所との保育料の差は解消されないように、保育園も特別養護老人ホームも数は増えてきましたが不公平は残ったままで、大田区全体の財政規模は大きくなっていくばかりの現状です。

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大田区平成26年度決算から見えてくる「日本の自治体財政のまやかしと危機」1/2


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